横道 アリス
アリスの話です。少しだけ暗い感じだけど結果的には良い話に出来れば良いと思い書きました。
誤字脱字があるかもですがご了承ください。(報告頂ければ修正します)
私はアリス。
師匠のユエさんと親友のセシリアちゃんと吹雪さんの3人でお店をしています。
森で熊に襲われていたところを助けてくれたユエさん。
ユエさんの強さを見て憧れとセシリアちゃんを危険な目に合わせてしまい、その出来事から、守る強さが欲しくて弟子入りしました。
セシリアちゃんもその出来事で何か思う所があったのか、吹雪さんに弟子入りしました。
師匠と私と吹雪さんは加護持ち(プレイヤー)ですが、セシリアちゃんは現地人(NPC)なので、死んでしまうと復活は無いので、絶対に私が守らないと駄目だと思っています。
凄く死に近い環境なのですが、師匠や友達、仲間に囲まれた、ここの生活は私にとって幸せな場所です。
今日も師匠が不在の中、セシリアちゃんと私が店番をしています。
「アリスちゃん、先に休憩取って良いよ」
「わかったよ」
セシリアちゃんに言われて私はすぐに、店舗2階にある住居スペースの自室へ向かった。
「ふぅ」
椅子に座り一息付くと、懐から音がする。
「またか…」
音のする物は、青い宝石の様な物で通信アイテム【現実の鏡】と言う物だ。
このアイテムはとある事情を抱えるプレイヤーのみ支給された物で、私もその一人だ。
このアイテムは現実と連絡が出来る物なのだが、私が起動すると宝石から光が放たれ、光の向こう側が見えて来た。
「愛美ちゃん元気?」
白い病室の様な場所で30台後半の女性が私の現実の名前を呼ぶ。
「元気だよ、叔母さん」
この人は私の叔母さんで母親の妹だ。
「愛美ちゃんが無事なら良かった。危険な世界なんでしょ?大丈夫?」
「大丈夫だよ。友達も出来たし、良い人達と居るから私は幸せだよ」
「なら良かった」
叔母さんは私の言葉に胸を撫で下ろして安心した笑みを浮かべた。
「そうそう、定期健診が来週あるから、その時は戻ってきてね」
「分かった。その時、連絡ちょうだい」
その言葉で通信を切る。
通信を切ると当時の事を思い出した。
あの時は肉体的にもだが、精神的にはもう死んでいたのと同じだった。
私の家は父が中小企業の重役でそこそこ、裕福な家だったと思う。
父と母と姉の4人家族で家族仲も良好と幸せだった。
私と姉はピアノとテニスを習っており、ピアノはコンクールで金を取り、テニスは強化選手に選ばれる実力があった。
姉妹で実力があったので、地元ではそこそこ有名だったと思う。
事故にあった日は珍しく大雨で、テニスの強化合宿で海外へ行く予定だった。
空港まで、両親が休みを取って送ってくれたのだが、その向かう途中で大雨の為、事故の渋滞に嵌ってしまったのが不幸の始まりだったのかも…いや…強化選手に選ばれたこと…もしかしてテニスをしてなかったらなど、今も色々と考えてしまうが、もう過去には戻れないのでどうする事も出来ないと思うけど…。
そう、私達の乗る車の後ろから大型トラックが突っ込んで来たのだ。
父、母、姉は即死。私も意識不明の重症。
偶然、私は後部座席の真ん中に居たので、潰された時、少し余裕が合ったらしい。
トラックのタイヤが古くて大雨で濡れた路面でブレーキが利きにくかった事と、凄い豪雨だった為、前方が見えにくく、反応が遅れたことがこの事故の原因だった。
私達の家族の他にその前の乗用車でも後部座席の子供2名が亡くなる大事故だった。
私は6時間以上の大手術で何とか一命を取り戻したが、潰された部分はどうする事も出来ず、両足、右手を失うことになった。
何より、一気に大好きな家族を失ったショックで茫然自失だったと思う。
後から聞いた話で、私はこの時「殺して」と呟いて居たらしい。
叔母も姉夫妻と姪っ子一人を失っているのにもう一人の姪っ子も「殺して」と呟いたときにはもう、どうして良いかわからずにただ泣いたと語った時には申し訳ない気持ちになった。
そんな状態の中で、私を救った物がこの【freedomfantasy】だった。
茫然自失の抜け殻状態で始めたので、キャラも適当でただ、現実とは違う五体満足な体に戸惑いながらも、家族の失った心の傷を負ったまま彷徨って居た私に声を掛けてくれたのがセシリアちゃんだった。
「大丈夫ですか?」から始まり「私の家に来てください」と無理やり連れ込まれて。
「今日は野菜が安かったです」などの他愛も無い話を私にしてくれたいた。
私の事は一切聞かず、自分の話をするセシリアちゃんに少しずつ興味が沸いた感覚はあった。
身の上話を聞くと、セシリアちゃんはこの家に一人で住んでいる事が分かり、両親が街の外で襲われて帰らぬ人になったと言う。
なのに、私の事を気に掛けて前を向いて生きているセシリアちゃんに私は今の自分が恥ずかしくなった。
その日から、私から初めて会話をしたときのセシリアちゃんの喜んだ顔は今でも良い思い出。
一緒に家の掃除や買い物などをして、冒険者として色々街の掃除などをして生活費を稼いでいた。
現実では私がこの世界に来た時は、メンテナンスと称してプレイヤーのログインが規制されていたらしい。
だから街中に加護持ちが居なかった。
初めて受けた薬草採取で物凄い強い熊と出会う不幸もあったが師匠と出会う幸運を得られたのは間違いなくセシリアちゃんのお陰だし、叔母さんと会話をして前向きに生きる気持ちを持てたのも彼女のお陰だと私は思う。
だから、私は親友を守る力と恩返しがしたい。
色々と迷惑掛けた私だけど、これからもよろしくね。セシリアちゃん。
指摘がありました表現のミスを修正しました。
また、少し文章的に違和感が無いようにしてみました。




