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freedomfantasy  作者: 黒猫の手
クラン結成編
55/78

クランボックス

少し前回の話、誤字脱字修正と会話増やしました。


【冒険者ギルド ゴーフィン支部】~怠惰な受付嬢視点~


「はぁ~」


何時も通りの受付作業中、デスクに頬杖を付きながらため息を吐く。

人間界より危険な魔物が多いと言われている魔大陸ですが、ここに住む者には当たり前の強さなので危険度の少ない依頼しか無く、また新人も少なくC~Bランクのベテランが活動をメインとしている為、説明も不要と来たら、ただ依頼の受理と成功の確認しか仕事が無いのだ。


「はぁ~~」


その状況に付け加えて暖かい天気が体に眠気と仕事へ対するダルさを加速させる。


「眠い・・・」


普段から、眠たげな目をしている私ですが本日は3割り増しで眠たげだと思われる。


「ちょっと、フィオさん。お仕事中ですよ」


デスクで頬杖を付きながらウトウトと意識を手放していたら、背後から先輩受付嬢に注意を受けた。


「ああ~先輩。この陽気な日に仕事なんて無理ですよ~。それに、いつもと変わらない依頼の受理だけなら他の子でも出来るんですから私はここでウトウトしていますよ」

「フィオさん、貴方は仮にもこのギルドの受付嬢なのですからしっかり、働いてください」


奥の方から副ギルドマスターが鋭い目で睨んできたので重い腰を上げて受付の席に向かった。


「すみません。これの手続きをして欲しいのですが」


私が席に座ると同時に、黒髪の美人さんが話しかけてきた。

艶やかで絹の様な黒髪は長く、目はルビーの様に綺麗な赤色をした人族?は着ている物から高貴の者だと思われる。


「ギルドへ依頼ですか?」

「いえ、これを渡しに」


彼女が渡しに渡したのは【傭兵団認可書】と人数分の署名だった。

クラン結成など資金も掛かるし、手間もあるので、気軽に出来るPTで十分だったので、かなり珍しい案件が私に来たことで少し驚いた。


「少々お待ちください。少し上の者に伝えて来ますので」


彼女にそう言い、書類を持って上司の元へ向かった。

だって、一般職員じゃ対処出来ないんだから・・・




ユエ視点


周りはゴブリン族の女性が多い中、エルフ族の女性が一人居たので彼女の元へ行き、認可書を渡したら、上司の下へ向かった。

クランってかなり、珍しいのだろう。話を聞いていた職員が俺の方を見ていた。


「ユエ様、注目されていますね」


本日、側で仕えるという理由で吹雪はメイド服を装備して居たが、多分、貴方の格好も注目の要因だと思うのは俺の気のせいだろうか?


辺りを見回すと、色々な冒険者が依頼を吟味したり、居互いに情報交換を行っていた。

その様子を見ていると、後ろから声を掛けられた。


「お待たせして申し訳ない。私は副ギルドマスターを勤める。ファラン・ドルンと言います。」


ドルン?ゴブリン族の男性で家名を持つのは貴族の方だろうか?


「ああ~私はドルン家の3男ですが家は兄が継ぐので私は関係ないですよ。」


少し困惑している俺に対して説明をしてくれた。


「いや~貴方のような他国からの冒険者は私が名乗ると貴族の方と気構えるので何時も説明しているのですよ。」


ゴブリン族の男性にしては細くて知的な対応なのだが、ファランさんは魔術師らしく、ドルン家は宰相や魔術師長を輩出している名門なのだそうだ。


「って本日はクラン結成のお話の様で、本来はギルドマスターが対応するのですが、当マスターは脳筋の行動派の為、私が対応させて頂きます」


会話の中に、上司に対する毒が見受けられたが、受け流そう。

隣に立て居たエルフの女性は明後日の方向を見ながら欠伸をしていた。


「フィオ君、余裕がありますね。この方々を個室へ案内して差し上げなさい。」

「ふぇ?」


フィオと呼ばれたエルフ職員は急な仕事の指示に呆けた声を出した。


「まさか欠伸をするほど余裕のあるフィオ君が私の指示を断るわけじゃないよね?」


笑顔だが目の奥が鋭く、フィオを見つめていた。見つめられているフィオは「やばい」的な青い顔をしながら縦に顔を動かした。


「それは良かった。私も今の業務をすぐ片付けてくるので、お願いしますね」


副ギルドマスターはその言葉を残して自分の作業スペースに戻ったのを確認してフィオが動き始めた。


「ではこちらへどうぞ」


緑の髪に、半開きのダルそうな目、表情も無い訳では無いが、少し不思議なエルフ女性に部屋まで案内された。





「少し遅くなったね。申し訳ない」


案内された部屋でお茶を飲みながら寛いでいると、副ギルドマスターが入ってきた。


「認可書も署名も確認したから大丈夫だよ。あとは資金だけだね」


そう言いながら1つの箱を取り出した。


「実はクラン結成資金の殆どがこのアイテムの資金なんだよね。」


【クランボックス】…クランカードの発行が可能な箱。マスターキーを接続する事で操作が可能となる。


「これはクランカードを発行する為の箱で、各クランには渡しているのだが、これがかなり高価でね。100万MGが必要になるんだよね。これを作れるのがエルフの国の賢王とドワーフの国の武具王のみでね。けど、機能が凄くて、クランカードはギルドカードと同じく会話機能とクランカード、ボックス、マスターキーへの転移が一日1回のみだが使用できるのだよ」


会話機能は別として、転移機能はかなり優秀だと思われる。現在、プレイヤーが使える転移のアイテムや魔法は見つかって居なかった中で、クラン結成の特典で付いてくるとは思っていなかった。


即決と思い、テーブルに300枚のMG金貨の入った袋を置くと副ギルドマスターもフィオもビックリしていた。


「えーっとこれは?」

「えっ?300万MGですが?」

「ユエ君…普通はギルドに借りて仕事の報酬金から引いていく形を取るもので、一括で払う何て、普通の冒険者じゃしないよ」


そうか…普通の冒険者はギルドの報酬しか資金源が無いため、300万はかなりの大金だろう。


「私、実は自分の店を持っていて、大口の取引もあるので資金は結構あるんですよ」


俺の言葉に副ギルドマスターは「そ、そうですか…」と度肝抜かれていた。





ご指摘がありました誤字を修正しました。

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