謁見と過去
ユエの過去の話です。雪では無く、ユエの話ですので悪しからず。
少し短めですが楽しんで読んで頂ければ嬉しいです。
「ようこそ、我がゴブリンの国「ゴーフィン」へ」
玉座に座っていると思っていた王様が何と扉の前で立って両手を広げて待っていた。
普通の謁見と違う今の現状に、俺とアリスはビックリして茫然と王様を見ているしかなかった。
「うん?反応が無いな?起きているか?冒険者よ」
王様が俺たちの目の前で手をぶんぶん振り回す。
「王、そのような行動を取ると臣下でも茫然としますよ。早く玉座にお戻りください」
王様の横から現れたサージェスさんが王様を玉座に促す。
王様も渋々ながらも玉座に座るが「椅子でじっとしてるのが窮屈でストレスなのだが…」との小声の呟きは流す事にした。
「さって仕切り直すか!ようこそ、ゴブリンの国「ゴーフィン」へ。そして、我が国の危機を救ってくれた冒険者よ、名を何と申す。」
王様が玉座に座り挨拶をしたので俺たちも名乗る。
「冒険者のユエと申します。」
「同じくアリスです」
王様は俺たちを見てから口を開いた。
「ユエとやら、久しいな。洞窟の狼との戦いは楽しませて貰った。ところであの時も行ったがお前は吸血鬼か?しかもかなり上位の者と思うが」
王様の言葉で謁見の間の臣下は元より、隣のアリスもビックリした表情でざわついていた。
「はい、別に隠す事ではありませんが、私は吸血姫と言う種族になります。」
その言葉でアリス以外の周りが更に驚きざわついたが逆に王様は嬉しそうな顔をして俺を見てた。
「沈まれ!」
王様の一声で謁見の間は静かになると共に王様の圧で場を支配していた。
「やはりか、200年位か。俺はお前の母親を知っているぞ。と言うよりもそこに居るサージェスの爺さんと共に仲間だった」
王様は少し苦痛な顔をしてから俺の母親の事を語った。
昔、吸血姫を中心に色々な種族が所属するクランがあったそうだ。
その中心が俺のと言うよりこのアバターの母親らしい。
色々な冒険の間に、人族に迫害を受ける種族を助けるうちに、クランのメンバーが自身の種族を守る国を作るとの理由で解散したが互いに交友はあったらしい。
母も、種族に捕らわれない中立な国を作って、綺麗で安全な国を作っていたらしいのだが、200年前の魔人大戦の際に、中立で戦争孤児や難民を受けれて居たが、人族の連合軍に襲われ、母は国民や非戦闘員の避難の時間稼ぎの為に殿を務めて敗れたそうだ。
各親交の合った王様たちは急な事態に対して動ける兵士だけを連れて駆け付けたが時すでに遅く、綺麗な国は火で覆われ、緑と水の綺麗な空中城は地上に落下していたそうだ。
崩落する城の上部に10本の神器で貫かれた母が壁に打ち付けられていたがそのまま、空中城と共に湖の底へ沈んで行った。その光景が今でも蘇って、自身の不甲斐なさと人族へ対する恨みが出て来るが、人族全体が悪いわけでも無いので恨みを晴らすことも出来ずに悶々としていたらしい。
「あの時は早く、俺たちが駆けつけて居れば助かっていたかもしれない。済まなかった」
王様は頭を下げた。正直、俺個人としてはアバターの設定なのでそこまで気にしていないので、王様の謝罪は周囲の目が気になるので止めてほしい。
「師匠?もしかして、泣いてます?」
隣のアリスが、不思議そうに俺の顔を見る。
確かに何か冷たいと思い、目元を拭くと濡れていた。
自分は気にしていなかったので勝手に涙が出るこの現象は何だろう?
「しかし、娘だけでも無事で良かった。お前の生まれたのは、手紙で知っていたが、実際に会ったことも無かったので確信が持てなかった。しかも、加護持ちだとは余計に驚いた。」
王様は俺の前まで来て大きな手で頭を撫でた。
それから、ギルドからの依頼を伝える。
「ほぉクランを作るのか、俺は許可を出すぞ。あと、他の国の王には俺から伝えとくから安心しろ。この手続きは別にお前たちが特別では無く、その様な手続きだからだから気にするな。もしオークの国ならその国に入り、王に謁見して少し試験を受けて、承認する手はずだからな」
俺たちが試験が無いのは、モンスターパニックの事前対処の貢献度がそれ以上だから、試験は省かれていたらしい。
「と言うか、試験免除だけでは明らかな報酬不足だと思うから、この国の拠点となる建物を与えよう。まぁ今は使われていない家だから掃除と改修しなければ行けないと思うがな」
王様はその場で誓約書を書き、臣下の者に渡すとそれを俺たちに渡して来た。
2枚ある誓約書の1枚は【傭兵団認可書】もう一枚は【土地の譲渡の誓約書】だった。
「場所の案内はこっちの兵士に案内させる」
王の横から一人のゴブリン兵士が出て来た。
「ユエ、お前の国は滅んでしまったが、この国もお前の故郷と思ってくれれば幸いだ」
最後は豪快に笑いながら謁見は終了した。
誤字脱字は修正しますのでありましたらお願いします。




