ガチャ後
ガチャの空間から放り出されて気づいたら、最初に居た宿屋の一室だった。
足元にはガチャのくじ玉が入った袋が落ちていたので広い中を開けると緑の球が一杯だった。
まずは色分けを行いながら、デスクの上に並べる。
「まずは素材系から確認するかな…」
70個もあるのでかなりダブりがあると思うがそこは気にせず解放していく。
アイアンインゴットが30個、ミスリルインゴットが3個、レンガ(20個入り)15個、鶏4羽、米10個、シルバーインゴット8個
良いのか悪いのか分からないがレンガがかなり邪魔でしかも、重量もあるので一人で持ち運ぶのは無理そうだった。
「こりゃ捨てるしかないかな…」
あと鶏も素材に入るのかっとビックリしたし、そもそも生きているのでこれも扱いに困ってしまった。
冒険者のカバンには重量制限と容量制限があり、しかも生き物はカバンでは無く籠が必要で買う必要性が出て来た。
「まぁ残りを確認してから考えるか」
こんなことになるなら自分の工房がある国へ戻ってから解放するんだったっと後悔しながら残りも確認していく。
青は全て謎の卵だった。これしか出ないのでは?っと思ったが後でガチャの検証サイトでも覗いて確認してみよう。
黒は火精霊の魔導書1個 水精霊の魔導書3個 神々の契約書1個 闇精霊の契約書5個だった。
多分、神々の契約書が当たりだと思われる。
【神々の契約書】…古今東西の神々との契約が可能な書。現れる神はランダムで自身の実力を示す必要がある。
これは多分、出てくる召喚される神は分からなくてしかも、契約するには戦闘しなければならないと思うのでかなり高レベルにならないと意味が無い物だと判断。
装備系は思っていたより良い物が無く、鉄の剣、鉄の斧、アイアンメイル2個、アイアンフェイスガード、アイアンヘルム、銅の短剣、邪神(笑)の杖、レイピア2個。
【邪神(笑)の杖】…攻1 邪神が持っていた杖の劣化レプリカ。勇者ごっこの際に邪神役の子供が持つ杖として作られており、細工は細かく職人の無駄な技が込められているだが所詮はただの木なので壊れやすい。売ると高い。
運営の遊び武器だった。ネタ武器にしてはグラフィックは禍々しく物凄い物に見えるが鑑定した説明が可哀そうすぎる。
最後にアイテム系を確認したら欲しかったものが出て来た。
魔法のカバン、ポーション4個、毒消し4個、中位ポーション
【魔法のカバン】…空間魔法が施されているカバン。現在では作れるものが居らずかなり希少な物。重量不問で60種類入れれる。
キターー。これでレンガも持って帰れる。早速カバンにレンガなどのガチャの戦利品を詰め始めた。
レンガは20個で1つの扱いで済んだので魔法のカバンではレンガ(20)15で済んだ。
重さも感じないポーチの様な小型のカバンなのに凄い入るのは感激した。
しかし、魔法のカバンを良く見ると呪紋が刻まれており、多分、空間魔法の呪紋で作られているのは分かるが、今の自分ではコピー&習得するには理解できないレベルなのだが、レベルと知識が備わると作れる可能性も出て来た。
紋章術士はもしかしたら優良ジョブなのかも知れない。
しかし、5万使ってもこの結果はかなり悲惨な方なのでは無いのだろうか…
謎の卵も孵化させるのは大変そうだった。
【謎の卵】…従魔を生み出す卵。所持者は自身の魔力を卵に与える事で5日後に孵化する。生まれて来る従魔は魔力の質と与える量で変化する。
1回魔力を流すことで5日後に孵化は一応すると思うが多分、魔力の量で生まれて来る従魔の強さが変わる可能性もあるので簡単に使う事が出来ない。
この卵も検証されていると思うので後で確認しよう。
コンコンと扉からノック音が聞こえた。
「師匠、起きてますか?」
「ああ、今、起きた所」
「そうですか、今からゴブリン王の元へ行くので一緒に来てほしいと兵市さんに言われて呼びに来ました。サラさんとサリアさんはまだ、居ないので事情を説明したら私たちだけで良いとの事でした。」
アリスは俺を呼びに来たらしい。
クランクエストの主に受けているのは俺なので多分、俺の参加は必須なのだろう。
魔法のカバンを使用すると手持ちの荷物がほとんど無いので、太刀だけ帯刀して部屋を出る。
宿の女将さんに、全員分の宿代を支払い出ると、ゴブリンの兵市さんが待っていた。
「王がお呼びですので申し訳ありませんが、城へお願いします。」
種族が違う冒険者の俺に対しても兵士は深々と礼をして、お願いをしてきた。
人族よりもしっかりした礼儀と教育が出来ている感じがしてかなり、良い国なのだろうと感じながら、兵士と共に城へ向かった。
街中も子供の声や商人の呼び声で賑わっており、ゴブリン種の女の人も目に入った。
肌は緑色だが、身長が低く、顔の作りは人族の少女と変わらなかった。
「ゴブリン種は珍しいですか?彼女はああ見えて、成人しているのですよ」
俺がゴブリンの女性を見ていた視線に気づいて兵士のゴブリンが自分の種族を説明してくれた。
説明ではゴブリン種は男は筋肉で大きく見えるが基本の大きさは160~165らしい、女性は更に小さく155位との事だ。
ゴブリン王は上位種らしく、オークなどにも引けを取らない大きさと筋力を持っているとか。
毛が薄く緑色の皮膚を持つドワーフと言う認識が近いかもしれない。
「今の王がこの国を作って、ここまで発展さえて頂き。私たちゴブリン族は感謝しかありません。私たちは王を尊敬していますし、崇拝しています。また、王の様な魔王種は他の種族にも居り、それぞれの種族の英雄的存在ですね」
魔王種達は過去の戦争後、個々の領地で自身の種族の為に平和的に国を建国して繁栄させて来たらしい。
今でも王たちの会議が1月に1度あり、そこで色々な案件を話し合い対処しているらしい。
人族よりも平和的な国の作り方で、お互いに災害やモンスターパニックが発生した際の援助もしっかり行うらしい。
「城の中は武装禁止なので、門の所の兵舎で武器を預けてください」
門番に身分証を提示して説明された兵舎に武器を預けて城内へ入った。
「王様への謁見の礼儀作法とか分からないのですが」
「うちの王様は形式などを無視した大らかな方だから、無礼とか気にせずに普通に居てほしい。本当はもう少し王様らしく居て欲しいとは思うのだがね」
アリスの質問の答えを兵士の方が苦笑しながら言った。
確かにあのような豪快なで行動派な王様は下の者たちが大変だろうな。
「ほう、この者たちがあのモンスターパニックの功労者か」
謁見の間の目の前に黒と白の珍しい鎧を来たゴブリン騎士が立っていた。
「これはサージェス様。何故この場所に?」
「何、謁見前に今回の事件の功労者を拝見したかっただけだよ。お嬢さん方、私はこの国の親衛騎士団団長を務める、サージェスと申します。」
兵士の方が敬礼した人物は俺たちに対して綺麗な礼をした。
ゴブリン族にはあまり見ない、細身で長身な体、髭を少し揃えて彫りの深いダンディーな顔立ち、紳士的な雰囲気などがかなりゴブリンのイメージとかけ離れていた。
「私は、ゴブリン族とエルフ族のハーフです。母親がエルフで、父がゴブリン種ですね。ちなみに互いが好き同士の恋愛結婚ですので攫われたとかそんな、関係ではありませんので悪しからず」
この国では同種は元より、異種間での結婚も認められており、ハーフは意外と多いとの事だ。
ただ、ゴブリン女生と他の種族の男性が一般的で逆は結構、珍しいらしい。
サージェスさん曰く、母は父の容姿(かなりゴブリンの原型そのまま)と優しさにメロメロで「この人以外とは結婚しません」っとエルフの国の王様に啖呵切って出て来たらしい。ちなみに王族の末娘らしい。
「一応、王様とお祖父様が、冒険者時代の仲間で、この国に嫁ぐと言う形で処理したらしいです。一応、父も元ですが親衛騎士団団長を務めて居て、身分も高かったから成立した話なのですが…」
サージェスさんの家庭も色々大変そうだな。
「サージェス様、世間話もほどほどにしないと王様が待ちくたびれますよ」
兵士の話で俺たちは長話を終わらせ、「ではまた後で」っとサージェスさんは先に謁見の間に入っていった。
「ではユエ様方もどうぞ」
兵士が扉を開けて中へ俺たちは足を踏み込んだ。




