情報交換しましょう
あの後、ウインドの出し方、ログアウトのやり方を説明忘れたサラサが「ごめんね〜」と呑気に現れたので、AIだが一発殴ってやろうかと思ったのはここだけの話。
ゲームから戻るとソファーで寛ぐ遼が居た。
俺に気付いたのか片手を上げで「よう」と俺を出迎えてくれたのは良いのだが、テーブルの上に明らかに入れたばかりの紅茶が置かれていた。
「勝手に、人ん家の台所を漁るのはマナー違反だと思うのだが」
遼をジト目で見ながら言った言葉に「いやいや、無罪だ。そんな、人ん家の物を勝手に使うわけないだろ」と言いながら大袈裟に片手をブンブン左右に振っていた。
「これはさっき花音ちゃんが淹れてくれたんだよ」
「花音が?」
俺が疑問を感じているとリビングの扉が開いて2人の少女が入ってきた。
艶やかな 黒髪のロングヘアで身長は170位の痩せ型で、何処かの令嬢を思わせる雰囲気がある人物は幼馴染の綾で、こちらも黒髪で髪型はツインテールで身長は低く、見た感じ155位で幼さが残るのが一つ下の妹の花音である。
「いやー雪さんや、キャラメイクは完了したのかい?もし終わってるなら私達と意見交換などはどうかね?」
長い髪が邪魔だったのか、後ろに縛りながらドヤ顔で尋ねてきた。
「綾の言いたい事は分かったが、タイミングが良くないか?」
「兄さんが、キャラメイクを行ってるのは確認したからキャラクターを作成後に少し話ができれば良いと思ったので、兄さんが戻ってくるのを2人で待ってたのだよ」
眠たそうな半眼の目を擦りながら花音は、遼の隣に座ったのを見て綾はビーズソファに座った。
「その話なら俺も乗るぜ」と遼も乗り気なので、テーブルに携帯端末を音量最大にして置いた。やはり、話をするなら吹雪も参加させたいし、AIだからの視点もきになるからね。
「「花音様、華月は参加されないのですか?」」
「あー、あの子はもうoffになってるから無理だね」
吹雪や華月のOFFとは人で言う寝る行動に等しく、簡単に言えば寝てるって事だな。
「「あの子は、ご主人より先にお休みになるとか、何を考えてるのでしょうか…」」
妹にあたる存在が、役割より欲求を優先させたのが考えられないのか「「大体、私達には休まなくても、情報整理などは出来るのに全く」」と音量最大なので吹雪の愚痴という名の独り言が響き渡ったがこの際、聞き流そう。
「はいはい、まぁまずは今いるメンバーだけで話そうか、どう言う種族でどの様な名前なのか発表よろしくー」
綾の言葉で自身の選んだ種族と特徴やキャラの名前を遼、花音、綾、吹雪、俺の順で話す事になった。
人族は全種族の中でステータスが低く特化した物が無いし、種族スキルも一つしか無いのだがジョブスキルの追加数はダントツで25個もある。
ジョブを多く習得する事でかなり強くなれる種族なのだと言う。
エルフは魔防と器用の数値が高い種族で、種族スキルは3つあるらしい。ヒーラー系や森の民らしく遠隔系が得意との事。
ドワーフは力が高い事と種族スキルが生産系で、生産ジョブに付きやすい効果があるとか。
ちなみに綾と遼は人族、花音はドワーフで吹雪はエルフを選んだらしい。
「じゃあ最後に雪、どうぞー」
俺の番が来たのか…ランダムにしたから正直、β開始まで解らないのだが…まぁ正直に言うしか無いよね
「俺はランダムにしたので正直、どうなるかわからないからβ開始時に確認してくれ」
俺の発言で周りが固まった。
「ちょっと待て!雪、まじか!折角のβからのアトバンテージを無駄にするのはどうかと思うぞ」
沈黙を破ったのは遼だった。
しかし、遼の言い分はゲーマー発想だし、そもそも金を払ってまでキャラ変更は行わないから問題無いのだが…
その事を伝えたら「気に要らない、外見だったらどうする?」など言うから「どの様な外見でも使うさ!それに使っているうちに愛着も湧くだろう」と答えてやった。
うん、筋肉ダルマだろうが、陰険な奴だろうが使ってやるさ、折角のゲームなのだから現実離れした物の方が面白いだろうし。
しかし、通信端末の画面越しの吹雪からも憐れみの視線を貰ったのだが、ランダムはそこまで問題だったのだろうか?
修正しまいた。
身長の数字 169位⇒170位
妹の主人公の呼び方
誤字修正。