ガチャ1
遅くなりました。
誤字や脱字が多いかと思いますが楽しんで頂ければ幸いです。
「兄さん、おはようごいます」
部屋を出てすぐに花音から挨拶を貰う。
しかし、俺は返事を返す前に驚きの表情を見せていたと思う。
現に、花音は少し不機嫌そうに口をとがらせていた。
「兄さん…私が起きて部屋の外に居るのが不思議ですか?」
「あぁ…お前が俺より先に起きて、しかも部屋の外に出てることがビックリだ」
ビックリし過ぎて本音を話してしまった。
本当に俺より早く起きて、こうして挨拶を交わすのは多分3~4年ぶりだと思う。
花音が海外に行ってることもあるのだが、基本、夜型の引きこもりで俺が朝食を作って起こすのが日課だっただけに、やはり違和感しかない。
「実は起きた訳では無く、起きていたと言うのが正解なのですが…そこまで驚く事でしたか…」
何だ、朝まで起きていただけか、驚き損だな。
「朝まで何してたんだ?」
「実は実装されたガチャの検証サイトと掲示板を見ていたのですよ。」
ガチャは正式サービス開始と同時に始まった物で、1回500円 11連で5000円と少し高いうえに、出現するものはアイテム、装備、素材、召喚契約書、卵と基本5種類がランダムで出てくるのだ。
普通のガチャと違いSRとかURなどのランク分けはされておらず、確率の表記もされていないのだ。
運営曰く「ガチャから出て来るものは全てがURでありRである。使う人と方法で変わるし、欲しい人が手に入れるとUR以上に、必要じゃないとR以下のごみになる。ガチャアイテムは交換やゲーム内でも売買が出来るので上手く活用してくれ」とのコメントを開発陣営は残したのがかなり世間で有名な話だ。
「ってその検証サイトにはどんな内容があるんだ?」
俺は朝食の準備をキッチンで行いながら、テーブルに座る花音に話しかけた。
「う~んと基本はサイト主の実体験とその他のプレイヤーからの情報を元に確率論を展開して、当たりと思われる物を探るとかガチャの景品の交換や売買などを行う為に情報を提示してるね」
ほぉ、プレイヤー同士の交換や売買で欲しいアイテムを手に入れるのか。
「NPCに売れないのか?」
「売れるんだけど、売り過ぎると素材の価値が下がって安くなるらしい。まぁ価値が無くなるって事だね。って実は、そのサイトに素材系をゲットしてが、NPCには取り扱って無くて困っている人が多数居たの」
「どういう意味だ?」
「実はミスリルクラスは上位鍛冶師じゃないと加工出来なくて、それ以上の物を手に入れた人も居たんだけどNPCに「そんなもの加工できるわけが無い」と言われて門前払いされたらしい。今やガチャ商品で上位素材はハズレと言われてるの。」
素材が希少で強力な物になれば職人のレベルも相応の物が必要で、NPCでは出来ないとの事。
しかし、プレイヤーでNPC産の鍛冶屋で今まで不都合が無く、職人系を上げて居る物好きも少なく、情報が無いとの事。
「そこでそのサイトがプレイヤー職人をリサーチして公開したいので情報公開が可能な方連絡くださいと書かれてるの。」
花音は見ていた画面を俺に向けて来た。
内容は花音の説明通りの事で、良く見ると職人情報の欄に(2)と書いてあった。
「これは二人、情報公開を了承したプレイヤーが居るのか?」
「そうだね。やっぱり職人プレイヤーも今の流れに乗らないと稼げないからじゃない?と言うか兄さんは出さないの?」
「俺はお金には困ってないし、独自で稼ぐルートがあるからオーダーは顔と装備を見て判断してるからパスね。」
うん、装飾品の契約で国の騎士団と取れているので、そこまでお金に困らないから装飾品売るが武器や防具は使用する人を見ないと渡す気にはならない。
「まぁ面白そうだから、朝食後にガチャをやってみるわ」
朝食のパンとサラダをテーブルに乗せて席に着く。
「じゃあ私もやる。何が出たか情報交換しよう。いただきます」
「いただきます」
「兄さん、クランクエストはどんな感じですか?」
トマトをフォークで刺しながら、クランクエストの状況を聞いてくる。
「今は一応、他国へ入った辺りかな?」
「それはペース早いのですか?」
「多分、早い方だと思うよ。挫折している人が多かったからね」
パンに手を伸ばしてマーガリンを塗る。焼いた時の余熱で見る見る溶けていくマーガリンの香りを感じながら口へ運ぶ。
高級なパンは、小麦の香りもしっかり残って居て、口の中から鼻に抜けていく。
花音も瑞々しいトマトを2切れ目に手を伸ばしながら「そう」と呟く。
やはり、早めにクランを結成して繋がりや連絡手段が欲しいのだろう。
「兄さんはガチャの支払いはどうするのですか?」
トマト3切れ目に手を伸ばしながら聞いてくる花音。
「うーん、俺はカードかな?花音もだろ?ここで稼いでる分は自由にして良いと二人とも言ってたから、カードで良いんじゃない?」
トマトばかり食べる花音に全て食べられない様、一切れに手を伸ばして口に運ぶ。
うん、甘くておいしい。花音はこのトマト以外は食べない。物凄く高いのだが、青臭さが無く、甘みがあるので食べやすいのだ。
「そう。、なら私もカードにしよう」
最後のトマトを食べて「ごちそうさま」と言い、花音は食器を片付けて部屋に向かった。
俺も、食器を片付けて部屋でログインの準備をする。
今回はカードを装置の横のカードを認証する差込口へ差し込む。
ベッドに横になり、ログインをすると前と違い、カードの認証画面へ来た。
パスワード入力をして進むとゲームの世界へ入った。
最後に寝た、宿屋の一室。体を起こしてステータス画面を表示すると一か所【ガチャ】と書かれたカテゴリーを見つけたのでタップする。
タップと同時に扉が部屋に現れたので中へ入ると、このゲームの最初に訪れた、キャラクター作成の空間にそっくりな場所に、長テーブルと福引などで使うガラガラと女性二人が居た。
「「いらっしゃいませ!神様の運試しショップへようこそ!」」
設定上、ガチャは神様から加護持ちへの褒美と言うことになっている。
「「これを回して出た球が褒美になりますが、やはり欲しい物が手に入っては面白くないとの事で運試し形式になっています。」」
ガチャと言うものをこの世界の設定で言うとそんな、内容になるのか…褒美と言いつつ運試しでランダムに持って行けって普通に考えたら矛盾してないか?っと思うが何より褒美なのにリアルマネー導入で褒美では無くなっているのだが…まぁ気にしたら負けか…
「「では説明でーす。白がアイテム、赤が装備品、黒がグリモア、青が魔獣の卵、緑が素材になりまーす。また、その中でランクがありますが何がどの位出るかはお楽しみで!あと球をこの世界から持ち出して外で使用するとアイテム化しますのでこの場ではどのカテゴリーが出たかしかわかりません。」」
やっぱりレア度はあるじゃないか運営!
「それじゃあ11連を10回やりたいので良いですか?」
「「ほぉお客さん金持ちだね。良いねぇ~ブルジョワだね」」
二人の女性が同時に同じこと言うので正直、うざい。
「「じゃあどうぞ~」」
ガラガラを回す。結果は…白×10 赤×10 黒×10 青×10 緑×70
「素材出るの多すぎだろーーーー!!!!」
思わず叫んでしまった。他が均等に出て来てるのに何故、素材だけ70…
11連だから正確では無いが1:1:1:1:6位だろう…バランス可笑しい。
「「お客さん大丈夫ですよ。先ほど来たお客様は11連1回で全て白でしたから(笑)」」
(笑)じゃない!その人、ご愁傷さまです。
俺の体の両脇を女性二人が掴んで扉の前まで引っ張る。
何か…嫌な予感が…
「「ではまたのお越しをお待ちしています。(ポイ)」」
球の入った袋をと一緒に空間の外へ放り出される。
対応最悪過ぎるだろこの店!潰れてしまえ!




