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freedomfantasy  作者: 黒猫の手
クラン結成編
46/78

撤退戦

アリス視点になります。

誤字脱字があると思いますが楽しんで頂ければ幸いです。

後ろの方で爆発音と衝撃を感じた。

師匠が言った言葉を守るために、後ろを見ずに突き進む。

前方にキラーアント3体、現れた。


「どけーー!」


サリアさんが2本の剣で2体に切りかかり、残り1体をサラさんが盾で殴りつける。


「ファイアランス」


サラさんがサリアさんの所にキラーアントを吹き飛ばしたタイミングで吹雪さんが魔法を発動させて一網打尽で倒す。


「さぁ、急ごう」


サラさんがそのまま、先頭を走る。


「アリスちゃん、最悪、私たちで道を作るからセシリアちゃんと一緒に報告に向かって救助を呼んできて」

「サリアさん、それってどういう意味ですか?このペースで進めばすぐに階段に着くと思うのですが?」


階段のあるへ向かう曲道を前にレイさんが歩みを止めた。


「こういう事だよね」


サラさんとサリアさんと吹雪さんは戦闘態勢へ入った。

階段の手前でキラーアント6体が居た。

今まで戦ってきたグループで一番多い数で、しかも師匠が居ない為、かなり厳しい戦闘になると思われる。


「セシリアさん、アリスさんは突破を優先してください。私はユエ様の命令を厳守して貴方たちを守って見せます」

「盾役はメンバーを守らないとね」

「こういう場面は年上に任せなさい」


3人は私たちに笑顔を向けてきたが、何も出来ない自分が悔しくて、顔を伏せてしまった。


「貴方たちは戦闘経験が乏しいし、セシリアさんは絶対に守り通さないと行けないのですよ。ここで貴方も残ると階段を上った先の危険は無いと言い切れないのです。アリスさん、貴方が守るべき者は誰ですか?優先するものを間違えないでください」


吹雪さんの厳しい言葉で私は…巻き込んでしまったこの子を守らないと行けない。


「アリスちゃん、師匠たちに任せましょう。私が一番、足手まといですし、戦闘自体は厳しいのでアリスちゃん守ってください」


セシリアちゃんは自分が乱戦などになった場合の弱点になると理解して居るのか、言葉は普段と変わらないが、悔しいのか手を力一杯握って居た。


「セシリアちゃん、今日を一緒に切り抜けれたら一緒に強くなろう」

「うん」


私たちは弱い。だから今日を越えたらもっと強くなって、師匠の横に立てるように、仲間を犠牲にしないような強さを目指そう。


吹雪さんは私たちの頭に手を置いて微笑んでから、サラさん、サリアさんを連れてキラーアントの集団に向かって行った。

3人の戦闘を横目に階段を駆け上がる。私たちが急いで報告に向かう程、みんなの生存率が高くなる。

ゴブリン騎士が居る場所まで走る。

目の前にゴブリンが2体。

剣を取り出して突破を試みる。


「エイトスプラッシュ」


8か所を突く槍スキルに突進効果を付けたオリジナルスキル。(ただエイトスプラッシュを走りながら発動させただけなのだが)

2体のゴブリンを各4か所突きながら、突っ切る。

ゴブリンの生死を確認する事も無く走る。

見覚えのある大きな扉と黒い鎧を着たゴブリン2体が目に入った。


「おっ、もう終わったのか?」


隊長ゴブリンがこちらを確認して呑気な声で聞いてきた。


「大変なことになったんです」


セシリアちゃんが隊長ゴブリンに報告をすると、呑気そうな声は真剣な物に変わり、事態の危険度を物語っていた。


「俺は王様に報告をして2師団を導入する様に伝えてくるから、お前は嬢ちゃん達と兵舎に居る兵士を連れて先に向かってくれ」

「了解」


隊長ゴブリンは部下に指示を出して走って門の中へ入って行き、代わりに20名の鉄製の鎧と槍や剣を持ったゴブリンが出て来た。


「すまないが、その場所まで案内してくれ」


騎士のゴブリンは私たちに頭を下げて来たので、来た道を戻る様に走った。




階段を下りると目の前はキラーアントの死体の山と倒れているサリアさんだった。

サリアさんは傷が酷く、出血と部位損失のバットステータスを受けていた。

右手が無く、血の水溜りが出来ており、セシリアちゃんが急いで回復魔法を唱えた。

上位回復や教会で治療で加護持ちは部位損失でも治るが、セシリアちゃんはまだ、中位回復しか使えない為、出血を止めて、HPを回復する事しか出来なかった。


「ありがとう、二人は無事に報告出来たんだね。」


回復して出血のバッドステータスから回復したサリアさんは私たちを見て安心したとホッとした感じで言った。


「サラさんと吹雪さんは?」


二人の姿が見当たらないことに気づいて、サリアさんに尋ねた。


「私が最初に深手を負って、更にダメージを受けるのを防ぐために、ここから先の通路へキラーアントを押し返して戦っているはず。ただ、最初に居た6体が仲間を呼んで結構な数になっているから助けに行って上げて。」


サリアさんの言葉を聞いて、ゴブリン軍と私たちはサリアさんを背負って先へ進んだ。




先に進むと、傷だらけにサラさんと吹雪さんが居た。

二人は普通のキラーアントより二回り大きな個体と対峙していた。

大きなキラーアントの爪の攻撃を盾で抑えているレイさんと腹部に入り込んで拳を打ち込む吹雪さん。


「あれは、キラーアント・ガーディアン」

「どんな魔物ですか?」

「奴はクイーンを守る守護者で攻防に優れている戦闘タイプの個体だ。奴が存在すると言うことはクイーンが発生していることは確定だ。そこのお前、本国へクイーン発生の報告へ急いで向かってくれ」


ゴブリン騎士は部下に指示を出してからキラーアント・ガーディアンへ向かう。


「吹雪さん!サラさん!助けを呼んできました」


私の声を聴き、私の方へバックステップを行いキラーアントから距離を取っていた。

それを入れ替わるようにゴブリン騎士と数名のゴブリン兵がキラーアントへ攻撃を加えた。

通常のキラーアントより堅牢な甲殻はゴブリン兵の攻撃を弾いたが、騎士の一撃は防げなかったらしく、深く剣が甲殻を貫いた。


「ギギィ」


顎を擦り合わせて、甲高い声を上げる。

すぐに深手を負わせた騎士に狙いを付けるが、ゴブリン騎士は更に深く懐に入り、6本脚の内、2本を切り落とす。


「虫1匹に負けん!」


ゴブリン騎士を引き放そうと残った脚を使って距離を取ろうとしたキラーアント・ガーディアンの胴を一閃して切り離した。

上半身と下半身が分かれても顎と脚を動かすキラーアント・ガーディアンの頭をゴブリン騎士は切り落とした。

吹雪さんとサラさんが消耗していたとしても手こずっていた相手をほぼ瞬殺したゴブリン騎士はかなりの実力があるように見えた。


「助かりました。アリスさん達も無事で良かったです。」

「もう少し助けが遅かったら私が押されて負けてた可能性があった。ありがとう」


吹雪さんとサラさんのお礼の言葉を聞き、ゴブリン騎士は武器を納めてこちらに近づいてきた。


「戦闘が終わってすぐで申し訳ないが、クイーンの居る場所へ案内して貰えないだろうか?クイーンを倒さない限り、キラーアントが大量増殖の被害が拡大する」

「吹雪さん、サラさんはここでサリアさんと待っていてください。師匠の場所までは私たちが案内します」


3人は明らかに疲労困憊でこの先の戦闘が可能か微妙なところだと思うので、ここで待って貰うことにした。


「アリスさん、セシリアさん、無茶をしないように気を付けてください。あとユエ様をお願いします」


吹雪さんの言葉を胸にゴブリン騎士たちと師匠の元へ向かった。


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