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freedomfantasy  作者: 黒猫の手
βテスト編
35/78

PVP大会本戦1

本戦の最初の一試合目から、自分の番とか、かなり緊張する。

リングへの通路まで、サリアとサラが付き添いとして来てくれた。


「大丈夫。ユエさんなら瞬殺ですよ」

「そうだね。君が苦戦する相手なら現実でもかなりの武芸者になるよ」


愛刀の状態を確認する為に、鞘から出す。

刃こぼれも無く、万全の状態。これで負けたら自身の実力不足と納得できる。


「じゃあ、行ってくるね」


二人に挨拶をして、リングへ向かった。


リングの中央では対戦相手がスタンバイしていた。


「君がユキちゃんだよね。俺はマグナ、よろしくね」


フェイスはイケメンに調整されているが少しバランスが整いすぎているので、キャラメイク時に弄ってる人だと直ぐに分かった。

違和感無く、フェイスを弄れる人はかなり繊細な作業が得意な人か神経質な人だと思う位に難しく。

ネットでは上手くキャラメイクが出来る人は神と言われているとか。


審判が中央にやってくる。


試合の開始が告げられる。本戦での大事な初戦、相手の力量を図る事よりも、自身の力を出し切ろうと思う。

摺り足で徐々に間合いを詰める俺に対して、片手に剣を持ち、構えと言う構えを見せず前に立っている相手。


「はぁ」


太刀の間合いに入り、太刀を抜く。

速さと鋭さは剣よりも優れている刀の一撃、来ることが予想していたのか後方へ飛んで避けるが、予想より剣筋が早く、防具に少し切れ目を入れた。


「おっと、予選で見ていたがマジで速いな」


楽しそうな笑みを浮かべながら、こっちを見ている。


「じゃあこっちも行くぜ!」


呪文を唱える。炎の詠唱だと思うが発動すると剣に魔法の炎を纏わせていた。


「オリジナルの魔法剣だ。こっちの番だぜ」


炎の剣を構えて攻撃を仕掛けてくる。

上段からの攻撃を太刀で受け流して、腹に蹴りを入れて距離を取る。

しかし、防具もあり思っていたよりダメージが少なく、すぐに追撃を掛けて来た。


「おらおらおら」


横薙ぎ、下段からの攻撃、そこか上段、多様な剣筋をステップと太刀を使って受け流す。


軸足を起点に回転を加えて相手の懐に掌底を放つ。


「ぐっ」


回転を加えることで威力が上がった事と、掌底と言うダメージを内部に通す攻撃で相手が怯んだ。

相手が怯んだ隙に攻守が逆転する。


太刀を鞘に納めて、居合から袈裟懸け、上段からの真っ向両断、突進の威力を乗せた突き。

居合は紙一重で避け、袈裟懸けと上段からの一撃は剣で受け止めたが膝を付く、突きは胴に直接入りかなりのダメージを与えた。

金属製の鎧を貫通して刺さった太刀を抜くと穴が開いており、手で抑えている。


トドメの一撃を振るうと相手の剣と接触する。


「パワースラッシュ」


剣と太刀が触れた瞬間に相手がスキルを発動すると、予想以上の衝撃を太刀から伝わり手から太刀が離れる。


「ファイヤーボール」


武器を手放したことで隙が生まれてしまった。

相手から魔法の攻撃が来る。

自身の魔法防御を頼りに手を前に構えて耐える。

熱風と爆発で視界が遮られる。


「くらえ!」


炎の剣を持った相手が煙の中から現れて、剣を振り下ろした。


左手で剣を受ける。

(熱いし、痛い…)


相手から急いで距離を取ろうとするが、相手もこのチャンスを逃したくないのか離した距離を詰めてくる。


「うりゃ」


トドメとばかりに剣を振り下ろすが、足の裏で柄を切り上げると相手の腹が隙だらけになったので、穴の開いた鎧の部分を思い切り蹴り飛ばす。


「ぐふ」


痛みで崩れる相手の顔にローキックを放つ。

思いっきり顔に蹴りを受けて相手が後ろに倒れる。


【紡げ、纏い、降り注げ、炎、星々の輝きとなりて、彼の者討たん】


呪紋を素早く書き終えて発動する。


「メテオレイン」


上空から、小さい隕石が10個ほど相手に降り注ぐ。


落下の衝撃と爆風が会場を吹き飛ばす。

客席周りの防御結界が揺らぐ。


審判が持っていた対戦相手の身代わり石が砕け散っていた。


「勝者 ユエ」


ぼろぼろの会場で、埃と擦り傷が目立つ審判が勝者宣言をした。


本戦は中々、強敵が多そうだな…





~とある選手の視点~

次の対戦相手の試合を観察していた。

太刀とは珍しいが動きが少しぎこちない。

魔法は俺個人もあまり使用しないから解らないが、彼女が放つ魔法は現在のプレイヤーの中ではトップクラスと思われる。

しかし、スキルの使用があまり見受けられないが、攻撃を回避する足運びは現実で武芸を嗜んで居ないと出来ないと思われるのだが…違和感がある。


武芸者にしては攻撃がぎこちない。ただ、回避の力は高い。

太刀筋も居合は素晴らしいのだがそれ以外が全然遅い。

もしかして、彼女は…


(少し楽しみになって来たな。次の試合はすぐに終わらせようか。)


男は手甲だけ装着してステージへ向かった。






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