PVP大会2
文章は長めになりました。
サリア視点でこのブロック終了ですね
初戦の相手は、エルフの女性で剣と盾を装備していた。
リングの上で構える動きは盾を前面に出して、防御よりな感じだ。
彼女は多分、タンクをメインに活動していると思われる。
「お互い、全力を尽くしましょう」
「はい」
お互いに言葉を交わして、戦闘への意識を高めた
「では試合を開始します。相手のHPが10%未満、身代わりの石の破壊、ギブアップで勝者が決まります。ギブアップ宣言後の攻撃は反則と見なしますので注意してください。」
審判の試合の注意を聞き、リングの中央で構える。
俺の構えは居合の構え。
「では初め!」
開始の合図、相手は自身に防御のアビリティを使うがそれも気にせず、相手に向かって駆ける。
足首の動きと脚力で一歩で間合いまで詰め寄り、太刀を抜く。
俺の動きが予想より早かったのか相手は、ビックリした表情で慌てて盾を前に出す。
「きゃ!」
刃と盾が触れ合う。俺の技量では両断することが難しく、わずかに傷を付ける程度で防がれる。
初撃を受けきって相手は油断したのか盾を横にずらして刃を受け流したが、その動きのまま俺は鞘を抜き、相手の開いた顎へ入れる。
武器になると思っていなかった鞘の一撃で相手のペースが乱れた。
拳を使った打撃、足を使た蹴撃、太刀の斬撃、それぞれを腹に、足に、上下に攻撃していく。
足からの力を腕に流し、掌底で盾を吹き飛ばす。
「きゃー」
「これで終わりね。」
相手へ宝石を2つ放り投げて、距離を取る。
「ボム」
2つの宝石は言葉をきっかけに光を放ちながら爆発した。
2つの宝石の間に居た彼女は爆風により、装備は吹き飛ばされて、壁に激突した。
「試合終了です。勝者 ユエ」
審判の声を聴き、太刀を収める。
相手はHP10%以下になり、戦闘続行不可と判断された。
彼女は、救護班に手当てを受けながら運ばれていた。
正直、朝からの大会だから苦戦すると思っていたが、自身のステータスは思っていたより低くないらしい。
その後も、呪紋を施した宝石と元々の武術で勝ち残って言った。
タンク系でない相手は、居合の一撃で勝敗が決まり、魔導士は宝石を使って、撹乱して近接で攻めた。
やはり、自分と相性が悪いのはタンク職な気がする。
タフな防御とスキル、HPの高さも参る。
最初の相手が、こちらの戦い方を知らないからペースを乱せれて、勝利に繋げれたが、対策を練られていると考えると今後は厳しくなっていくな。
「ユエさん、お疲れ様です。凄くカッコ良かったです」
サリアがドリンクを持ってやって来た。
「変わった戦い方だね。4戦全て、決定打が違う方法なのも面白い」
サリアの隣にいたサラが俺の試合の感想を言った。
「その刀は何処で買ったのだ?ユエ以外のプレイヤーは持っていなかったが?」
「サラの疑問に答えるとするなら、この太刀は自作だよ。だから私しか持っていないね」
もはや愛刀と言って良いほどに愛着が沸いた、太刀の刃を手入れする。
油と、布を使い綺麗にする。
刃こぼれは今は見当たらず、刃は鋭くも綺麗な波紋を刻んでいた。
「サクッと、このブロックの1位入賞しますかね」
太刀を鞘に戻して、次の試合へ向かう。
「がんばって~」
「観客席で楽しませてもらうよ」
二人の声援を受けて、試合会場へ向かった。
「美しい、お嬢さん。私は剣士のアレクと申します。」
イケメンフェイスで微笑む剣士の男。正直、顔を弄っているのか少しバランスが悪いというか違和感を感じた。
「では試合を開始します。お互い、中央へ」
審判の合図で中央に立つ。相手は片手剣を持ち、剣先をこっちに向けて、何も持ってない方の手を体の後ろで構える。
「初め!」
男は剣を素早く突いてくる、フェンシングの様な感じなのだが、武器がレイプア系よりロングソード系なので、扱うスピードが遅い。
「ほう、私の剣を避けるとはなら。【ファストソード】」
兼が青く光り、先ほどよりも素早い動きで剣先が体に向かってくる。
太刀を鞘から少しだけ出して防ぐ。
「【ダブルソード】」
ほぼ同時の2撃の斬撃。これは咄嗟に後方へ飛び避ける。
「避けるのは上手いですが、攻撃しないと勝てないですよ」
男の攻撃を避けながらリングを動きまくる。
(準備が出来たし反撃開始としますか。)
動きを止めて男に向き直る。
「諦めましたか?」
武器も構えず、太刀にも手を添えない俺を見て、相手は少し油断を見せた。
「いえいえ、この一撃で終わるので、武器を使う必要が無いのですよ」
男が俺に向かって剣を構え直した。
~サリア視点~
「ねぇ。サラちゃん。何でユエさん、攻撃しないの?」
私は今の試合中のユエさんの動きに違和感があった。
ここまでの試合では、相手に接近して攻撃をして魔法のアイテム?で牽制するなど多様な攻撃とマルチレンジでの攻撃だったが、今回は回避と防御しかしておらず、攻撃をする気配が見えなかったのだ。
「そうね。良く見てればわかる事なのだが、動いていたところが大事ね。」
サラちゃんの言葉を聞き、ユエさんの動きを思い出すが、避けてる様にしか見えなかった。
「動きと言うか動いた場所ね。リングに円を描く動きとその円の中心に相手を誘導してるのよ」
「じゃあ、リングに細工を施したって事?」
「何をするか分からないけど、次、試合が動く時が決着よ。良く見てなさい」
そう言って、リングを見る、サラちゃんは真剣な目をしていた。
私も目線を戻すと、対戦相手が剣を構え直して、ユエさんに迫っていた。
ユエさん自身は、武器も構えず、自然体で立っているだけだった。
ユエさんが何かを呟いて腕を上げると、リングが光輝いて、魔法陣が浮かび上がっていた。
「中位聖魔術 広域攻撃魔法ホーリーフィールドだと…」
隣に居る人が口を開けてビックリしながら会場を見ていた。
光が一気に破裂する。フラッシュの様に眩しく目が開けていられない。
この光自体にもダメージ判定があるらしく、客席を覆うバリアで何とか防いでいた。
光が弾ける様に消えるとそこに立っている人影は1つでもう一つはリングに倒れていた。
「勝者、ユエ」
勝者を告げるコールを聞いたが客席からは声は聞こえず、先ほどの光景で固まっていた。
勿論、私もビックリしてぼーっとしていた。




