PT戦闘と意気込み
戦闘少なめです
今日は、ルークさん達とPTを組んでレベル上げです。
吹雪と俺は、すでに冒険者ギルドでゆっくり、お茶を楽しんでいた。
この茶葉は、薬草とフルーツ系の葉のミックスで渋みと甘い香りを楽しむお茶になっている。
しかも、料理人のスキルでHP5%アップとMP5%アップの効果付きである。
効果時間は30分なので、休憩時にもお茶を出す予定である。
「ユエ様、その武器は刀ですか?」
カップを置いて、俺の横に立ててある武器を見つめながら吹雪は聞いてきた。
「そう、自作の刀だね。太刀と短刀を作ったのだが、スキルは両手剣と短剣のカテゴリーに入るらしくて、スキルが使いにくいのが難点だね。」
「そうですね。ゲームの設定は西洋風なファンタジー物ですから、和物のアイテムや武器はスキルが無いのかも知れませんね。」
そう、NPCが俺より鍛冶スキルが高くても刀を作る事が出来ないのだ。
「お待たせして申し訳ない。」
ルークさん達が来たので、吹雪との雑談を終わらせて、カップを片付ける。
「いえいえ、そこまでの時間、待っていませんしお気になさらず」
そう、実際にティータイム終わるくらいに来たので、こちらは待ったと言う感覚が無かった。
「本日は、PTにお誘い頂きありがとうございます。ユエ様共々、宜しくお願いします、」
吹雪が、俺の分諸々に挨拶をしたので、俺はそのまま突っ立て居た。
だって何言えば良いのさ…吹雪の保護者っぷりには少し困るよ…
「こちらこそ、宜しくお願いします。」
ルークさんの挨拶で他の3人も頭を下げた。
「ではPTに誘いますので承諾お願いします。」
「吹雪さん、ヒーラーとして色々、教えてください」
ルカさんが物凄い勢いで、吹雪に師事している。まぁ吹雪はAIらしくなのか、秒単位で状況を把握してサポートをしていると言ってた記憶があるので、ヒーラーをやっているプレイヤーから見ると物凄いPSの持ち主に見えるのだろう。
「おや、ユエさんの武器は刀ですか?珍しいですね。どこで買われたのですか?」
ルークさんが俺の横に立て掛けてある太刀を見て聞いてきた。
「これは自作の武器ですよ。ただ、太刀スキルが無いので両手剣扱いになりますので扱い辛いですよ」
「そうですか、スキルが無いとやはり、厳しいのですか?」
「そうですね。雑魚なら良いのですがボスクラスになると中々、ダメージが通らないし、両手剣のスキルだと形状的に無理な技もありますので、苦戦しますね。」
そう、前回のダンジョンボスではかなりギリギリの戦いになってしまったのだ。種族ステータスと状況や運などどれか1つでも欠けていたら、こっちが遣られていたからな…
「話もその位にして、狩りに行こうぜ。俺たちが遅れたことが原因で少し時間が過ぎているのに、此処で長話をすると、ユエさん達にさらに迷惑をかけるぞ」
小次郎さんの言うこともその通りなので俺たちは会話をやめて、狩場に向かった。
歩きながらPTの役割を確認しあった。
タンクはルークさん アタッカーは俺 小次郎さんはサブアタッカー兼索敵 ルカさんがヒーラー マユミさんが遠隔アタッカー 吹雪がヒーラー兼アタッカーで動くことになった。
「前方に狼3匹」
小次郎さんからの発見の知らせを受けて、戦闘準備に入る。
ルークさんが盾を構えたのを確認して、小次郎さんが狼の前に姿を現す。
「グルル」
「グルルル」
威嚇をしながら見つめる狼3匹に背を向けて、こちらに向かって逃走する。
森などの狭い場所や不利な場所での戦闘を避けるために、小次郎さんが、モンスターを広い場所や戦いに有利な場所までモンスターを引っ張って倒すやり方をこのPTは行っていた。
メリットは限りなく安全に被害を少なく敵を倒せる事で、デメリットは、敵を引き寄せるので普通にモンスターを探して狩るよりは時間が掛かるという点だ。
「シールドアタック、ヘイトハウル」
一番前方に居る狼に盾をぶつけて、集団に対して敵対心を集中させるスキルを使うルークさん。
3匹はルークさんに攻撃を開始したが、盾と剣で上手く受け流す。
「ヒール、プロテクション」
「ショック、ポイズン」
吹雪がルークさんの回復と強化を施してルカさんが狼に弱体をかける。
「パワースラッシュ」
小次郎さんがスキルを使いダメージを与える。
スキルが無い俺は、狼に向かって走りすれ違いの際に抜刀して切り伏せる。
「みんな伏せて!ファイアストーム」
マユミさんの魔法で狼3体が炎の嵐に飲まれていった。
最初の戦闘から3時間、18戦程して終了した。
休憩も入れながら安全に戦闘した結果だが、なかなか楽しくPTを行うことが出来たと思う。
「しかし、本当に太刀はスキル無いんだな。それなのに狼をほぼ1振りで倒すとかステータスが凄いのか?」
小次郎さんは戦闘中に見ていて気になったことを聞いてきた。
「もともと、現実で少し剣術をやっている知り合いに習っていた事もあるので、基本的な動きなどはシステムサポートが無くても出来るからですね」
その答えに、小次郎さんは「なるほど」と答えて何か考え事をし始めた。
「ユエさん、吹雪さん、本日はありがとうございます。普段は4人で少し、火力が低くて戦闘回数が少なかったのですが今日はいつもより多く戦闘が出来ました。」
ルークさんは俺と吹雪に対して感謝の言葉を述べた。
「いえいえ、こちらもPT戦闘の経験が積めたので助かりました」
「ユエさん達はPVP大会に出場するのですか?」
ちらっと吹雪を見た後に俺は自分の事を伝えた。
「そうですね。吹雪は知りませんが私は出るつもりです。どこまで自分がこの世界で通用するのか、この太刀でどこまで勝ちを掴めるか確かめたいですから」
腰から太刀を外して手で握る。
「そうか、じゃあ大会で当たったら敵同士だけどお互いに頑張ろう。」
「そうだな。ユエさん達だけじゃなくて俺たちも敵同士だからな」
「私の魔法でコテンパンに叩きのめしてあげる」
「マユミちゃん…ほどほどにね。私は参加しないけど」
ルークさんのPTも大会に対してかなり乗り気で盛り上がっていた。
後ろの方で、吹雪とルークたちの楽しそうな声を聴いてい仲間も良い物だなっと思ってしまった。
「ユエ様、私たちも全員参加しますので、ライバル同士になりますね」
「じゃあ、私も負けてられないな」
吹雪と二人で笑いながらお互いに大会への意気込みを高めあった。




