現実での日々3
今回はいつもより少し文字数多くなりました。
「に~い~さ~~ん」
キッチンで朝ごはんの準備をしていたら、妹が大きな声で呼んできた。
基本、夜型生活の引きこもりで低血圧な妹が朝から元気なのは珍しいと言うか、この時間に俺が起こさなくても起きている事が珍しい。
「兄さん、メール見た?それと朝は何?」
「エッグベネディクトとグリーンサラダだな。それとメールって何のことだ?」
メールに関して聞き返すと「やっぱり知らなかった。」と言いながら通信端末を取り出して画面を俺に見えてくる。
妹に送られてきたメールで送り主はふ「freedomfantasy」の運営からだった。まぁ叔父の会社なのだが。
内容は、βテスト期間が少し延長して日曜日の24時までになり、ラスト2日間(土日)はPVPの大会を開催するとの事だ。
参加条件は特に無く、賞品も出るらしい。
「兄さん、参加勿論するのでしょ?」
朝食のサラダを皿に移しながら、聞いてきた。
「まぁ誰でも参加出来るなら普通に参加するよ。その前に装備とか準備してレベル上げしないと行けないのだろうがね」
生産活動がメインでやって来たので種族レベルが、まだ2で止まっているのは問題だろう。ステータスが高くても他の種族で同じステータスの人が居ないとも言えないからね。
「そこで兄さんにお願いがあるのだが、私たちの装備作って貰えないかな?素材はこっちで集めるのでお願い!」
素材が妹たちが集めて自分はスキル上げが出来るなら受けも良いな。結局、自分の分も作らないと駄目だから一緒に作れば良いし。
「それなら別に良いよ。ただし、性能は期待するなよ。」
まぁ紋章術で呪紋を彫り込む予定なのだが一応、性能は低いかもと釘を刺しておこう。
「おはよう、雪」
「おはよう、遼。今日は早いんだな」
学校に着くとすでに教室に遼が来ていた。遅刻は無い物の結構、登校するのが遅い方の遼にしては珍しく早かった。まだ、登校している生徒が少なく、教室内には俺を入れて5名しか居らず、静かなものだった。
「いや、メールの内容で興奮したのもあるのだが、雪にお願いがあって早くに来たんだ。」
「もしかして、お前も武器を作って欲しいのか?」
予想はしていたので驚く事でもなかったので引き受けた。ついでに綾の分もお願いされたので作ることになった。
「って素材だけで良いのか?金は良いんだな」
「まぁな。店舗持って商売にするなら金を貰うがまだ見習いみたいな物だし、素材さえあれば問題ないよ」
「店舗って店持つのか?」
俺の言葉にビックリしながら聞いてくる遼。確かに昨日の落ちる前にネフィーさんにしか伝えてない内容だったな。
「昨日、偶然にギルドの方から支援という形で優秀な職人や商人に店舗を持って貰う動きがあって、その話が来たから受けたんだよ」
「そうか、公式サイトのプレイヤー版に店舗持ちや持つ予定のプレイヤーが数名、名乗りを上げて居てな。事情を知らないプレイヤーから見ると真偽が不確かだったのだが、お前の話を聞いてその人たちもそれに乗ったんだな。」
やはり、俺以外でも職人ジョブを上げて居る人が居たのか。情報交換とかできれば良いのだが、今は大会へ向けての準備に集中しないとな。
話をしていたらいつの間にか教室に居る人の数が増えていた。
「村上、おはようさん」
「遼君、おはよう」
遼はクラスで人気者なのか結構、挨拶をする人が多い。俺は、早退、遅刻、欠席が多いため昔馴染み以外の人からは挨拶をあまりされなかった。
「遼くん、雪くん、おはよう。この間はありがとう」
南さんが挨拶をしてくれた。この間まで南さんの名前を知らなくて遼に聞いたら「クラスメイトの名前位、憶えとけよ」と呆れられたが、名前は桜と言うらしい。
「南さんはこの時間にいつも登校するの?」
「そうだね。私は基本的にこの時間かな?遼くんや雪くんは珍しいね」
遼は珍しいと思うが俺は基本的にこの時間には居るのだがね。仕事で遅刻や欠席が多いからほかの人から見ると珍しい部類に入るのだろうな。
「おはよう、南。雪と話中か?」
俺と南さんの間から知り合いと話し終えた遼が出てきた。
ほのぼの系の美少女の南さんと普通にイケメンの遼が並んで立っているとベストカップルと言えるくら良い感じに見える。
と言うか人気者二人が俺の席の近くで話さないで、視線がすごく集まってる。
「そう言えば、今週にPVPの大会をやるのだが、公式サイトで対戦の様子を中継するらしいから南も見ればいいよ。俺や生徒会長も出るし実際の戦闘を見た方が、ゲームの説明を見るより理解が早いかもしれないしな」
「土日なら私、予定ないから応援するね。その代わり、私が始めるときは色々とレクチャーお願いします。」
南さんの言葉に遼は「任せとけ!」と宣言できるのはさすが、面倒見の良い遼らしい返事だった。
俺も花音も、遼のそう言う兄貴肌な部分が無かったら、ここまで仲良くなって居なかった気がする。本当に色々と頼りになる友人だった。
放課後は仕事の為、柚子さんの車で現場まで移動中だった。
車の車内ではイヤホンで音楽を聴きながら、PCで今日出た課題を済ませている。
「ゆきちゃん、ゲームは楽しい?」
課題が終わるタイミングで柚子さんが声を掛けてきた。バックミラーでこちらの様子を伺っていたのだろう。
「そうですね。遼や綾がハマるのは予想していましたがまさか、自分もハマるとは思っても居ませんでしたよ。」
バックミラーに苦笑している自分の顔が映っていた。
「ハマってるついでに、良いお仕事があるのよ。」
「良い仕事?」
内容は、愛里紗と沙羅と【freedomfantasy】内でのアイドル活動だと言う。
今回の大会イベントで、二人と一緒に盛り上げ役とし歌や踊りもするとか…ちなみに周辺機器に関して、今回は運営側とプロダクション会社での契約で無償提供されるらしい。
「柚子さん、俺は大会参加の予定なのですが…」
「別に出れば良いじゃない?活動は大会の開会式と閉会式の2つと戦闘の実況席での会話がメインだけど最初と最後だけ参加して実況の方は二人に任せれば良いじゃない?」
まぁ二人がokなら良いと言うことで今日の撮影の時に聞いてみるかな。
今日の撮影は、ファッション雑誌に掲載される読者モデルに混じって、今若い世代に人気のモデルコーディネイト特集の写真なのだ。
愛里沙や沙羅は普段着だと言うのだが、俺は親の会社指定のコーディネイトである。だって俺の普段着は男物ですから…
撮影は順調に進み、俺は他の人の撮影の合間に例の話を切り出した。
「愛里紗、沙羅さん、仕事の話で少しお願いがあるのだけど良いかな?」
「うん?何だいユキちゃん。君からお願い事とは珍しいね。」
「ユキさんの頼みなら私、何でもしますよ」
沙羅さんは読んでいた本をテーブルに置き、俺の方に向き直った。愛里紗は…まぁ俺の横でうっとおしい位にべったりしています。
「実はゲーム内でのアイドルユニットの件で私、大会出場したいのでオープニングとエンディングは出れるけど大会のレポートは二人に任せて良いかな?」
「別に私は構わないよ。元々、正式サービス待ちの人間が、仕事として他の人より先にゲーム世界を堪能出来るだけでも役得だからね。ユキちゃんはβでの実力確認などやその集大成として参加する権利があるのだし、私たちや仕事の為にその権利も失うのは可哀そうだ。」
「そうですよ。私としては逆にぜひ参加してユキさんの勇姿を直接拝めることこそ、報酬です。」
二人とも俺の出場中の仕事を引き受けてくれてホッとした。やはり、この友人たちの為にも良い所見せないといけないな。帰ったら装備の試案と制作、レベル上げ計画をしっかり組んで後悔の無いようにしないとな。
「伝え忘れる所だった。ユニット名はAdventureSnowになったから。」
「私が、ゲーム内でも冒険するユキさんを思い提案しました。」
なぜ、3人ユニットで俺だけユニット名に名前が入るのだろうか…決まっちゃったんだよね?花音に笑われるなこれは…
ユニット名を聞いて少し、憂鬱になりながら、仕事を終わらせて家路を急いだ。
実はこの物語で苗字が出ているのはモデル仲間の愛里沙、沙羅、クラスメイトの桜だけなんですよね。βの話が終わった位で、各登場人物の名前やアバターのネームなどを載せれたら良いなーっと思っています。




