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freedomfantasy  作者: 黒猫の手
βテスト編
24/78

横道 ルナの冒険譚

今回は妹の話です。

「…トドメ…」


自分の身長と同じ大きさの斧を振り下ろして狼は絶命した。剥ぎ取り用のナイフが無いため魔石を残して消えた魔物を一瞬だけ見て次の獲物にターゲットを切り替えた。


「ルナちゃん、大丈夫?」


黒髪ポニを揺らしながら私の横へ来たアヤメさんが私の状態を確認してきた。


「特にHP的には問題ない。けど精神的には疲れてきた。」

「そう、けどあと少しだし頑張ろうか」


目の前に来た、狼3匹に向かて私とアヤメさんはお互いに武器を構えた。


「りょ~う~。3匹こっちに流れてきたぞ!」


敵を前方で食い止めているリョウさんに文句を言いつつ狼の攻撃を避けながらダメージを与えていくアヤメさん。

現実でも武道を嗜む完璧超人(中身は廃ゲーマーのおっさん)なだけあって、避ける動きに隙が無く的確に攻撃を加えていく。


「無茶言うな!一人で15匹の狼を防げるわけ無いだろ!」


そう、私たちはレベル上げ中に大きな狼の群れに遭遇して、「やっちゃおう!」と言いながらアヤメさんが特攻したことでこのような状況になっているのだ。

文句を言いつつも8匹の狼をキープしているリョウさんもやはり凄い。


戦斧閃せんぷせん


斧スキル初期単体技を狼に喰わらせる。丁度、襲い掛かるタイミングと一致した為、狼が吹き飛ばされ地面に叩き付けられたが、ビクビク動いていた。うん、一撃では倒せないか。

スキルの硬直中に吹き飛ばされた狼は態勢を立て直したので追い打ちが出来なかった。


「はぁ、早く終わらせてユエ様に会いたい」

「はぁいはぁい!なら纏めて焼き尽くそうか?」


私とアヤメさんの後方で何やらやる気のない発言をしている吹雪とおっかない発言の華月が立っていた。

金髪のロングでエルフ耳のナイスボディの吹雪と金髪ツインでロり体型の華月の凸凹姉妹は杖だけ構えて的確に補助や牽制をしてくれているがこちらも少しバテて来ているのでこの均衡が崩れるのも時間の問題かもしれなかった。


「よし!華月ちゃん、リョウ諸共焼き尽くせ!」

「合点!アヤメの姉御」


アヤメさんの許可が下りた瞬間、元気な返事と共に魔力を杖に込めながら呪文を唱える華月。

このゲームはPTメンバーの範囲技でも巻き込まれダメージが発生するため範囲系の魔法や技は使い勝手が悪いのだがこのPTに限っては関係なかった。


「ちょ!まじかよ!ディフェンダー、守りの陣、耐える」


アヤメさんと華月のやり取りを聞き、慌てて防御スキル3種を重ねるリョウさん、【ディフェンダー】は剣士のスキルで防御特化のスタイルにする。【守りの陣】はタンク役ばかりしていたリョウさんが取得したジョブ守護のスキルでPTメンバーの防御を上げる効果、【耐える】は守護のスキルで攻撃出来ない代わりにその間のダメージに対して軽減効果がでるまさにタンク必須のスキルだ。


「燃やし尽くせ!ファイヤーストーム」

「なら私も斬空剣ざんくうけん


炎の嵐がリョウさんの周囲に発生して燃え盛り、炎も嵐に向かって斬撃が飛んでいく。


「リョウさん死なないかな?」

「大丈夫ですよ。HP1残れば私が回復しますし、それに戦闘には大小関わらず被害が出るものです。」


その被害が身内が出したものなのは如何なものなのだろうか?それに戦闘が早く終われば良いと思ってる吹雪にとってはこの手が一番効率が良いと判断したのだろう。


「リョウさん、強く生きてね」


私は魔法から逃れた狼と対峙しながらリョウさんに憐みの言葉を捧げた。





「いやー。相変わらず華月ちゃんもルナちゃんもかわいいなー。お姉さんもう骨抜きになりそうだわ」


私と華月の小さい子メンバーを抱きしめながらアヤメさんが戦闘後の息抜きをしていた。

正直、美人な顔が台無しな位、デレっとしているし、私の背中に当たる弾力が少し私の神経を逆なでしてくる。


「ルナ様、ルナ様、私もお姉ちゃんやアヤメさんみたいなボインになれるかな?」


そう、私と華月は絶壁なのだ…後ろのアヤメさんと目の前の吹雪はそれはそれは立派な物が付いているのに…吹雪の設定を貧乳にすればよかった。


「私も巨乳設定入れてくださいよ」

「嫌です。絶壁同盟を裏切るのですか!」

「無い乳も私は愛せるよ。いや、逆にその気にしてる表情が堪らない。」


やめて!鼻血が付く!アヤメさん本当に女ですか?生まれる性別間違えました?身の危険をかなり感じますが…


「あ~すまん、誰か一人でも俺の心配してくれても良いんじゃ無いでしょうか?」


燃え後からリョウさんがこっちへやって来た。

本当に、イケメンさんなのにギャグ担当ですよね、リョウさん。おいしいよ!


「無表情なはずなのにルナちゃんがニタニタしてるように見えるのは、俺の幻覚か?」

「すみません。おいしいキャラでナイスと思っていました」

「ハッキリ言うな~。俺も好きでやってるんじゃないぞ!ユエ~お前の妹も性格悪いな!」


リョウさんは、街の方へ叫んで居るがはた迷惑ですので斧を軽くぶつけて、黙らせた。


「そろそろ、鉄の斧に変えるべきなのかな?」

「今も冒険者シリーズだよね。私たち前衛は。うーん攻撃力上げるならそろそろ、強化も出来る鉄系の武器に切り替えるべき何だろうけど…」


うん、アヤメさんも悩む理由はわかる。冒険者シリーズは鉄系の武器と同じ初期攻撃力を持ってて消耗もしないから手入れの心配が無いのが魅力で、デメリットは強化が出来ない。すなわち、これ以上の攻撃力が付属出来ないのだ。NPCの説明には無くて武器屋へ強化しに行ったときに発覚した事実で、その日以来、買い替えるべきかまだ我慢するかずーっと悩んでるのが前衛3人なのだ。後衛の二人は即決で新しい杖を買い替えていました。


「そうですね。もしかしたらユエ様に相談すれば何か作って頂けるかも知れませんよ。」

「兄さんに?」

「はい、このアクセサリーは昨日、ユエ様が作って頂いた物ですし、ご自分の武器も作っていましたので、鍛冶のジョブは最低でも取得していると思うので素材だけ用意すれば引き受けて頂けるのでは無いでしょうか?」


昨日、吹雪が居ないと思ったら兄さんと遊んでいたのか…うらやましい!


「そうか、ユエが作れるのなら明日にでも話を通そうかな。」


アヤメさんがニヤっと笑いながら私の頭を撫でて言った。

兄さんが作った武器で戦闘か、楽しそう!良い斧作って貰おうかな。


そんなことを考えてるとメールが届いた。

誰からだろう?メールを確認すると宛先が運営からだった。

アヤメさん達にも届いているのだろ、内容を読んで驚いた表情をしている。リョウさんに至っては「マジか!」と大声で叫んで居た。

メールに書かれていたことはβ組にとってはサプライズな内容だった。早速、ログアウトしている兄さんにも伝えようかな。



誤字修正しました。

黒上→黒髪

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