ようこそ、カラーパレットへ(2)
カーディナルの呼びかけに反応して、ぞろぞろと色が出てきました。
青、緑、黄、紫、橙……。
様々な色が物陰から出てきました。
そして、最後に他の色とは明らかに違う子が出てきました。
その子は人間の女の子でした。
「管理人、ちゃんと連れて来たぜ」
「ありがとう、カーディナル」
管理人、と呼ばれた女の子は笑顔を浮かべました。
そうか、この子が。
固まった思考の中で虹色はカーディナルが言っていた人間の管理人のことを思い出しました。
一歩一歩虹色に近づきながら、女の子は言いました。
「はじめまして、虹色さん。
私はここの管理人です」
固まっていた虹色も女の子の声でようやく我に返りました。
女の子は自分よりも少し背が低く、様々な色を身につけていました。
色々な色を身につけられるのは、人間特有だからでしょう。
虹色はしばらく管理人を見ていましたが、慌ててお辞儀をしました。
「は、はじめまして!虹色と申します!」
「そんな固くならなくても大丈夫だよ?」
慌ててお辞儀をした虹色に管理人は優しく声を掛けました。
少し頬が熱くなるのが分かりました。
私よりも年下のような感じなのに、しっかりしてる。
顔を上げると、管理人は先程と変わらない笑顔を浮かべていました。
「虹色さん、カーディナルから色々なこと聞いたのかな?」
「はい、たくさん色んなことを教えてもらいました」
「そっか」
虹色の言葉を聞き、管理人はカーディナルの方へ目を向けました。
カーディナルは既に他の色と話をし始めていました。
この子に任せて、正解だった。
管理人は頬が自然と緩むのが分かりました。
再び、虹色のほうへ視線を動かしました。
「さて、虹色さん。
管理人として、一言いわせてね」
「な、なんでしょう?」
一つ咳払いをして、管理人は虹色を見つめました。
虹色は自然と肩に力が入りました。
静寂が部屋を包み、真剣な表情をしばらく浮かべたまま、見つめあいました。
他の色もそんな二人を見つめていました。
そして、またか……と溜め息を吐く色もいました。
そんな静寂を破ったのは、管理人が真剣な表情を崩し、ニカッと笑顔を浮かべて発した言葉でした。
「ようこそ、カラーパレットへ!」