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イロトリドリ  作者: 灰猫桃
プロローグ
6/10

ようこそ、カラーパレットへ(1)


 しばらく、他愛のない話が続きました。

カーディナル自身のこと、他の色のこと、カラーパレットのこと。

たくさんのことを話しているうちに、二人はカラーパレットの玄関についていました。


「わぁ…」


 虹色は思わず声を漏らしました。

見上げたカラーパレットは、様々な色で溢れていました。

その階に住んでるであろう色達を基調として、色分けがされていました。


「さ、中にどうぞ」


 カーディナルが少しだけ、笑顔を浮かべました。

淡い色で“カラーパレット”と書かれた白い看板が上に飾られた玄関を通り、二人は中に入りました。

玄関も様々な色があしらわれ、白に近い灰色の壁紙に茶色と黒のタイルが敷き詰められた床。

右側にはセピア色のソファに茶色のテーブル。

玄関といっても、談話ができるような物が置かれていました。

左側には“管理人室”とプレートが下げられた扉がありました。

奥には各階に行く為の階段とエレベーターがありました。


「綺麗な場所ですね!」


 真紅の瞳を輝かせながら、虹色は言いました。

まるで、小さい子供の様に。

カーディナルはその言葉を聞き、得意そうに答えました。


「だろ?

 管理人が毎日掃除とかしてくれてるからな。

 話をしたりする時は、ここで話したりしてるんだ」

「素敵です!

 こんな所でお話し出来たら、会話も楽しくなりそうです」

「まぁな。

 毎日のように、女子たちはここで話しこんでるよ。

 …それは、いいんだけど」


 その光景を思い出して、少し溜め息を吐きました。

楽しそうに喋ったあとに残されたお菓子のゴミ。

忘れていった雑誌。

話すのはいいんだけど、ちゃんと片付けてくれよな。

溜め息に首を傾げた虹色は不思議そうな顔をしました。


「どうかしたんですか?」

「いや、ちょっと嫌なことを思い出しただけ。

 気にしないで」


 苦笑いを浮かべ、カーディナルは“管理人室”の扉に近づいていきました。

手をかけたところで、虹色の方へ振り向きました。


「ここで、皆待ってるんだ。

 それで俺がこの扉を開けたら、虹色さんが先に入ってくれないか?」

「はい、分かりました」


 なんでだろう、と思いながらも虹色はカーディナルが扉を開けるのを待ちました。

軽い音を立てながら、静かに扉が開きました。

虹色はゆっくりと中を覗き込むと、中は真っ暗でした。

不安になり、後に立つカーディナルをもう一度見つめました。


「虹色さん、中に入って」

「は、はい」


 恐る恐る中に入ってみると、軽快な音を出して何かが鳴りました。

それがクラッカーだということに気付くのに、時間はあまりかかりませんでした。

パチっという音と共に明かりがつきました。

そして、辺りに舞う紙吹雪を見て、虹色は何度も瞬きをしました。


「え、え?

 これは、なんですか?」


 驚きのあまり、固まってしまった虹色の後からカーディナルが前に出ました。

イタズラっ子っぽく笑みを浮かべて、後の方を見ました。

そして、大きな声でわざとらしく言いました。


「皆、隠れてないで出てこいよ」

 

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