第十一話 俺と僕と…
「チヤ」
名前を呼ぶ声だけが、やけに静かだった。
「僕ね。
本当は――」
空間が歪む。
「君に、
隣にいて欲しかった」
チヤが、わずかに目を見開く。
「同じ高さで。
同じ景色を見て。
笑ってさ」
世界が、圧縮される。
「……でも」
灯は、泣いていなかった。
「それは、僕じゃなかった」
本気の一撃。
逃げ道を、全部潰す。
「だから消す。
ちゃんと。
君を、選ばなかった世界ごと」
ーチヤの中でなにかが戻る
「糞ったれだな!コノヤロー!」
チヤが「絶望」に「混沌」を混ぜる
世界線はまだまだ広がっていく
「選んでみろ!千夜!選ばせてやる」
チヤの意識が飛びそうになる
「解釈」が入り意識が少し戻る
「解釈」を「解釈」する
「混沌」が暴発
「絶望」が「希望」に刺さり
「希望」が「絶望」にめり込む
「ヒィイカぁぁるぁぅ!」
ヒカルは灯をはじめて見る
似ている
膨大な情報量
開かれた世界線
解釈された解釈
混沌の暴走
ヒカルは不思議と落ち着いていた
「灯…お前の方が強い」
絶望が溶けていく灯
「お前なんかぁお前なんかぁあ」
ヒカルは灯をぶっ飛ばす
「けど似てねーな」
世良はチヤの方を向く
「お前」
チヤが泣きそうになる
「今回はへーき」
灯の近くへ歩くヒカル
「ー…」
「違うんだよ」
違わない。
でも、違う。
「全部終わると思ったんだ」
笑う。
「……終わんなかったけどさ」
「…終わったんだ」
「…俺が終わらせた。」
なりたかった俺は
なれなかった僕にそう告げた




