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声劇用台本「聖木の森」男女1:1  作者: 木山京


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◆シルヴェストロの小屋。*ルチアの存在は、シルヴェストロには認識できていない状態。


◆ルチア

マスター? 起きてますか、マスター?

朝ですよ、マスター・シルヴェストロ。


◆シルヴェストロ

ああ…もう朝か。

おはよう、ルチア。


◆ルチア

おはようございます、マスター。

ふふっ、やっぱりマスターって、朝が弱いですよね。


◆シルヴェストロ

歳を取ると、あちこちガタが来ていかん。

…そろそろ引退を考えるべきかもしれんな。


◆ルチア

またそういうことを。

街の人、マスターを頼りにしてるんですよ?


◆シルヴェストロ

弟子が精霊になどならなければ、私が往診する必要もなかっただろうに。


◆ルチア

う…そ、それは…。


◆シルヴェストロ

もうそろそろ一年だったか。

厄介なものだ。

目が戻ったせいで姿は見えん、声も聞こえん。

果たしてお前は、どこにいるやら、いないのやら…。


◆ルチア

…ごめんなさい。


◆シルヴェストロ

謝ってはくれるなよ。


◆ルチア

あ、あはは…お見通しですか…。


◆シルヴェストロ

ふぅ…ルチア。


◆ルチア

…はい。


◆シルヴェストロ

お前は、そこにいるのだよな。


◆ルチア

…はい。


◆シルヴェストロ

見えなくとも、聞こえなくとも…お前は、いるのだよな。


◆ルチア

…ええ、マスターのお側に。


◆シルヴェストロ

道を決めるには早すぎる、と。

最初に教えたというのに。


◆ルチア

ずるいですよ。

すっかり忘れてたクセに。


◆シルヴェストロ

…だがそれが、お前の決めた道なのだからな。

ないがしろには出来んだろう。

…もっとも、師に世界を教えたいとは、どうにも…。


◆ルチア

生意気、ですか?


◆シルヴェストロ

…いいや。

万事を知ったつもりで、世捨て人を気取るには…私は確かに未熟なのだ。

…世界は広い。

街ひとつ往診するのも手一杯なほど。


◆ルチア

キリがないですよね。

人嫌いだった聖木の元守り手が、無条件で治療してくれるんですから。


◆シルヴェストロ

毎日毎日、満足に休む暇もない。

だが…これも忘れていた。

人の感謝に、己も救われるということを。

…ルチア。


◆ルチア

…はい、マスター。


◆シルヴェストロ

ありがとう。

私を救ってくれて。

お前は、もう立派な癒し手だ。


◆ルチア

…ええ。

ふふっ、師匠の教えがいいんです。


◆シルヴェストロ

ふぅ…では、行くとするか。


◆ルチア

ええ。

あ、マスター、これ忘れてますよ。


◆シルヴェストロ

うん?

…ああ、あの護符か。

もう忘れるな、と…教え子に言われるとはな。

…忘れないとも。


◆ルチア

…ええ、わかってます。


◆シルヴェストロ

それにしても…。


◆ルチア

なんです?


◆シルヴェストロ

今日も、いい日差しだ…。

眩しいほどに。


◆ルチア

ええ…眩しいくらいに。

そろそろ行きましょうか、マスター・シルヴェストロ。

みんな待ってますよ。


◆シルヴェストロ

行くとしようか、ルチア。

あまり待たせるわけにもいくまい。


◆場面転換。

◆ルチア(独白)

私が生まれたこの世には、魔法使いと呼ばれる人たちがいた。

科学と共存しながら、人ならざる力を使役する彼等。

時に尖兵として戦い、時に学徒として探求する魔法使い。

癒し手と呼ばれる治療師も、そんな魔法使いの生き方だった。

私は、そうなりたいと願っていた。

だからあの人のもとを訪れたのだ。

私に光を与えてくれた、あの人に。

あなたに示してもらった世界には、そんな光がたくさんあったと伝えたくて。

そしてどうか、あの人にもそんな世界で生きてほしい。

今も私は、この人の背中をただただ見守り続けている。

聖木の森の、サー・シルヴェストロの守り手として。

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