魔力測定2
リディアの頭が混乱でパンク寸前の中で、さらに次の名前が呼ばれる。
◆ レオンハルト・アルヴィード=ルミナリアン
レオンハルトが前に進むと、ざわついていた教室が波のように静まり返った。
魔石に手を置いた瞬間、
白い光がすっと広がり……
次の瞬間、
火、水、風、土、雷、氷――
多属性の色が重なり合って一気に弾ける。
教師「……光以外すべて反応。魔力量、非常に高いです」
教室「え…………?」
「全部!?」「いや、殿下チートでは?」
私は胸の前で手を握りしめる。
(ここは、原作通り多属性なのね。
原作でも“光を除く全属性持ち”って設定だったし、そこは想定内……想定内なんだけど……)
殿下が私にだけそっと微笑んでいる。
(……いやいやいや、なんでこっち見るの!?
私に微笑むイベントなんて原作にはなかったのよーーー!!)
その光景を周囲の令嬢たちがざわつく。
「見た!?殿下、今リディア嬢に……」
「すでに深い関係なのかしら…」
「羨ましいわ…」
(やめて、誤解しないで!私はモブでいたいの!
“穏やかで波風立てない令嬢ランキング1位”を狙ってるの!!)
必死に心の中で叫んでいると、教師が名簿をめくった。
「続いて――ああ、ソフィア嬢については補足があります」
教室がふっと静まる。
教師「聖女ソフィア嬢は、すでに王家と神殿にて祝福と魔力量の測定が完了しています。よって本日の測定は免除となります」
生徒達「そりゃそうよね」「特別枠だし」
ソフィアは水色の髪を揺らしながら、
控えめに優しく微笑んだ。
その微笑みに、私は胸を押さえる。
(ああ……やっぱりソフィアさん、可愛い……
可愛いけど……断罪の中心人物……
でも可愛い……ほんと複雑……)
こうして魔力測定は終わったが――
私の動揺だけは終わらなかった。




