いざ!学園へ!
馬車の窓から見える学園は、想像を超える壮大さだった。
白い大理石の校舎が朝の光を受けて輝き、広い庭園には季節の花が咲きそろっている。
魔導灯が規則的に並び、淡い光で新入生を歓迎していた。
(ついに入学。
ここから本編が始まっちゃうのよね……!)
胸の奥がぎゅっと縮む。
私は息を整えようと深呼吸をした。
隣ではリアンが馬車の揺れに合わせて静かに座っていた。
落ち着いた表情だが、赤い瞳は外の様子を細かく見つめている。
「姉さん、緊張していますか?」
「そ、そんなことないわ!すごく余裕よ!」
完全に声が裏返っていた。
リアンは小さく笑ったが、その目は周囲を冷静に観察している。
(守ってくれているのね。頼もしい弟だわ)
私は素直にそう思っていた。
馬車を降りると、爽やかな風と花の香りがふわりと漂った。
見上げれば、高く伸びた学園の塔。
地面の石畳には魔法紋が光り、新入生の足元を優しく照らしている。
(学園って、こんなに綺麗なの……?)
私は思わず見とれてしまった。
「姉さん、段差です。こちらを」
リアンが自然に手を添えて誘導してくる。
私は素直に従いながら、きょろきょろと周囲を眺めていた。
庭園の噴水は虹色に光り、校舎の壁には古い紋章。
新しい制服を着た子供たちがあちこちで談笑している。
(すごい……本当に私、学園に来たんだなあ)
そんな感慨に浸っているうちに、
案内役の教師に誘導されて大広間へと入っていった。




