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父と母の苦悩


アーヴェント公爵邸。


王城から帰宅した日の夕刻、応接間でクラウス公爵とイザベル公爵夫人は静かに紅茶を飲んでいた。



「……リディアは殿下との対面、どうだった?」


「ええ、とても緊張していたけれど、礼儀正しく振る舞っていたわ。可愛らしかったわね」



イザベルは穏やかに微笑む。


その横でクラウスは腕を組み、ふうと息を吐いた。



「問題はリディアではなく、リアンだ」



「まあ……あなた、気づいていたの?」



「当然だ。リアンのリディアを見る瞳…ただの義弟がする瞳ではない」



イザベルは一瞬だけまばたきを止め、


すぐに柔らかく微笑んだ。



「……過保護なだけよ。あの子にとってリディアは命の恩人だもの。大切に思うのは、自然なことだわ」




「自然の域を越えている。


……あのまま育てば、いずれ気持ちが“義弟”では収まらなくなるかもしれん」




イザベルは気づいているのかいないのか、柔らかい笑みを浮かべてクラウスを見ている。



クラウスは目を閉じ、静かに結論を出した。



「リディアが幸せなら、どんな形でも構わん。


問題は、周囲がどう動くかだ……とくに殿下が」




二人とも、“未来の嵐”がまだ遥か遠くにあると思っていた。




それは甘い誤算だった。



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