第8話 焰の中の新生、冒険の始まり
ルクスは暗黒の深淵に沈む。死寂で虚無の世界だ。
突然、白い焰がポッと現れ、消えそうに揺らぐ。彼女が光に近づくと、焰がゴウッと盛んになり、映像が浮かぶ。
画面の左、男の姿が鮮明だ。金髪短く、顔は凛々しく剛毅、赤白の華麗な鎧をまとい、強壮で堂々。手に青光を放つ巨大な両手剣、側顔に太陽の紋章が白く輝く。
右側、光影がぼやけ、たくさんの人影が光源の中心を取り巻く。
映像が流れる。金髪男が怒り笑い、剣を掲げ、光源にズバッと跳び斬る。剣が落ちる刹那、白焰が揺らぎ、グワッと膨張、視界を覆う。
ルクスは無意識に手を伸ばして止めようとする。だが、押し寄せる白い焰が彼女を完全に飲み込む。予想の灼熱や焼ける痛みはなく、言い表せない温かさが広がる。
直後、信じられないほどの力が洪流のように全身に流れ込む。この純粋で壮大な力は、操影者リオの雑で苦しい魔力とは違う。
ルクス、痛みゼロ、新生の狂喜に震える。
「何だ!?」
狩魔人ケイン、目の前の異変に驚く。さっき焦炭みたいに死にかけだった少女ルクスが、地面の「冒涜者の欠片」をガブッと噛んだ後、全身が突然燃え上がる。
「早く止めろ。」ブラッド、ポカン、慌てる。「1183閃金幣、燃えて消えたら、8閃金幣の水晶が無駄だ!」
だが、ルクスは消えねえ。彼女を包む白い焰は天と地を繋ぐ白い焰の竜巻となり、雲を突く。
刹那、竜巻の中心に人影の輪郭。
焰の竜巻がドカンッと炸裂、消える。
ルクス、現れる。
半空に浮かび、戦闘の傷は一切なし。
左頬に、簡素な図形の薔薇紋章、赤紅に輝く。
「何だ、これ!?」ケインとブラッド、声を揃える。
ルクス、影の長袍を凝らし、関節がパキパキ。「よし、準備運動終わり。次は……俺の反撃だ、クソ野郎ども。」
「ニャー。」指間の【野良猫の指輪】がピョコッと鳴く。
ルクスの姿、シュッと消え、空中に残影だけ。
「こいつ……なんでこんな速え!?」ケイン、心でビビる。目はかろうじてルクスの軌跡を追う。彼女が消えた瞬間、頬の薔薇紋章の赤光がギラッと燃える。
ルクス、ケインの横にシュッと現れ、双手を影で包み、腰にドンッ。ケイン、怒り、巨爪で迎撃。黒影の触手が爪をガッチリ絡め、ルクス、腰を曲げクルッと回転、【黒熊の篭手】にチェンジ、野良猫の加速でケインの胸にバンッ。
「ドンッ。」ケイン、吹っ飛び、数回転、爪で地面をガリッと掴み、止まる。
頬の薔薇紋章、ルクスの魔法飾品にバッチリ強化効果を与える。
「ケイン、お前のせいで水晶無駄にした。1690閃金幣の女、さっさと捕まえりゃ楽だった。」ブラッド、吠える。
「ブラッド様、今は争ってる場合じゃねえ。この兄妹を守る嬢ちゃん、二人で倒さねえと。」ケイン、冷静。
「いいか、ケイン! これからの戦い、10閃金幣以上の魔力水晶のコストは、賞金から引く! 残りを三七で分ける! お前のミスで、俺は高い水晶使わされた! もし、合計100閃金幣超えたら……」
「分かった! 全部同意だ! いいだろ!?」ケイン、ブラッドにガッと吠える。今すぐこのバカで欲深い野郎をズタズタにしたい気分。だが、神の加護で魔力無限の沐恩者、勝てねえ。
ケイン、唇を噛み、血の味。今日の戦い、初めての血だ。
「お前ら、仲いいな。一緒に死ねば、楽しいだろ?」ルクス、ニヤッ。
「死ね。」「1680閃金幣のクソ女。」ケインの骨鞭とブラッドの飛弾、レーザーがルクスにビュンビュン。
ルクス、クルッと揺れ、【黒影披風】で遠距離をガキンッ、【野良猫の指輪】がピカッ、飛弾レーザーをスイスイ、骨鞭を転がり避け、鞭のラインをズバッとケインに。
「お? 俺に近づきたいか、嬢ちゃん?」ケイン、ニヤリ。
「なら、熱い抱擁礼でもするか。」ケインの【骨刺鎧】に密刺がゴゴッ、両鞭を地面にガツッと縮め、弾丸みたいにルクスにドンッ。
「プシュッ。」衝突の瞬間、ケイン、肉に刃が刺さる音をハッキリ聞く。温かい血が骨甲にバシャッ。
だが、驚く。骨甲の目隙の真ん前、細い白い少女の指、二本。
「嬢ちゃんって呼ぶな。ルクスでいい。」指が目隙にズッと入り、影触手がグネグネ、ケイン、叫びたく、暴れたく!
だが、体内に侵入した黒影触手、喉にガッチリ、声全部塞ぐ。
「嫌だ……平民で死にたくねえ……まだ……貴族に……」
ケインの鎧、巨爪、両鞭、水気のない落ち葉みたいに、枯れ、腐り、剥がれ落ちる。
最後、頭がスポンジみたいに穴だらけ、歪んだ怖え死体だけ。
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「ケイン!」ブラッド、ビビり叫ぶ。「このクソ女、俺の手下殺した。ぶっ殺すぞ!」
声、キンキン。「お前の死体と欠片で1680閃金幣……いや、ケインの親にちょっと分けなきゃ……」
ルクス、沐恩者の叫び無視。左手でケインの穴だらけの頭をガシッと掴む。
ケインの死体、シュッと分解、血と肉の紐になり、ルクスの掌にズズッと吸い込まれる。
一瞬で、死体は消える。
ルクスの左手背、ちょっと肉が膨らむが、すぐ平らに。今回の吞噬、魔力増えず、傷癒しと魔力回復だけ。
「何!?」ブラッド、ルクスを震え指す、声歪む。「魔鬼。邪祟。」
「かもな。けど、正解でも報酬ねえよ。」ルクス、ブラッドにズバッと突進。魔力爆発で血紅の髪と瞳、空中で危険な赤い弧を描く。
ブラッド、コスト計算放棄。操れる全魔力水晶をガンガン召喚。透明な翼の色とりどりの水晶、蝗の群れ、ルクスにガバッと襲う。
爆発! 爆発! 爆発!
だが、火光と煙塵の中、ルクス、無傷。【骨刺鎧】をまとい、ブラッドにズバッ。「【悪獣の足環】:白い骨の尖刺足環、低級の血肉と白骨操作魔法。」
ブラッド、両手をバチッと合わせ、頭上に一メートル超の巨大な円形棱水晶。高速回転、どんどん速く、光がギラギラ。
最後、前のどの攻撃より太く熱い光柱、回転水晶からビュッと噴く。沿道の全てを焼き、遠くの山にドカンッ、数十メートルの熔坑。岩がグツグツ、溶岩になる。
「死んだだろ?」ブラッド、ホッと息。だが、瞳がギュッと縮む。
ルクス、焦土からヌッと現れる。さっき光柱が来た瞬間、【悪獣の足環】で爪を操り、地下に潜り、【黒影披風】で体をガッチリ包み、攻撃を避けた。
「クソくらえ!」ブラッド、咆哮。
ブラッド、水晶の力、前に分厚い光盾をガッと作る。
ルクス、ブラッドの周りをグルグル、反撃避けつつ、影魔法と骨刺をガンガン放ち、攪乱、攻撃。
ブラッド、すぐ気づく。ルクスの攻勢、防御を破れねえ。
ブラッド、ニヤリ。「バカ、沐恩者の魔力は神からだぞ? 無限だ。魔法使うのに金払うだけ……財福教、そこのとこダメだな……いや、神を責めてねえ! お前、クソ雑貨をバカにしてんだ!」
「それに、さっきの戦いのドタバタ、紫人様にバレちまった!」
ブラッド、ドヤ顔。「紫人様が来たら、お前終わり! 俺、紫人様と協力して『冒涜者の欠片』持つ大罪人を捕まえた! 賞金、たっぷりもらえるぜ! ハハハ!」
「そっか……教えてくれてサンキュ。」ルクス、頷く。「なら……サクッと終わらせねえとな。」
「何?」ブラッド、ルクスの言葉、ピンとこねえ。彼女、骨肉魔法で手に骨の長剣を凝らし、影魔法を絡め、不気味な黒霧が剣にグネグネ。剣先、ブラッドにズバッ。
「【捨身斬】!」
ルクス、大声。
彼女、バッと跳ぶ。
空中、姿勢、剣の軌跡、さっき白焰で見た金髪男の最後の斬りとそっくり。
この剣、夜を裂く。
剣光、落ちる。
「カチャッ!」光盾、グシャッ。
骨剣、ブラッドの肩から心臓までズバッ、剣も砕ける。
ブラッド、痛みで倒れる。「俺、どんだけ金……」計算終わらず、意識が消え、死ぬ。
「ん?」ルクス、目の前、ちょっとキョトン。
ブラッド、死体残さず、陽に照らされた雪みたいに、シュッと溶け、細かい光点になり、消える。
戦い、終わる。
強烈な脱力感、ルクス、全身グニャグニャ、体支えきれねえ。
【捨身斬】の重い副作用だ。
「行かねえと。けど、北、どこだ? 戦いの時、道聞くの忘れた。」
その時、ボンヤリした手、視界にポッと現れ、林の奥のどこかをそっと指す。
「ミティ、お前か? ミティ。」ルクス、空にガッと叫ぶ。
返事なし。指した手、まるで最初からいなかったみたい、シュッと消える。
だが、ルクスの心、「希望」って感覚がポッと湧く。
ルクス、頬の薔薇紋章をそっと触る。紋章、皮膚にズッと潜り、消える。
「見つけるよ、ミティ。」ルクス、指された方向を見上げ、目がキラッ、堅い決意。
「絶対、見つける!」
ルクス、疲れ切った体を引きずり、知らねえ方向へ歩く。