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第7話 瀕死、絶望の戦い

ケインの巨爪が膨らみ、爪背に獠牙のような倒刺がズラリと生える。彼はルクスにガッと爪を振り、ルクスは急いで影魔法を動かし、黒盾を凝らす。「バンバンバン」と衝撃音が林に響き続ける。


「もう打ち疲れたか?」ルクスが叫び、両手をグイッと前に押し、黒い波がケインにドンッと襲う。


ケインは双爪を胸前でクロスさせ、黒波がゴウッとぶつかり、彼を数十メートル押し退く。巨爪の表面はボコボコ、足元に深い溝が二本。数秒後、傷は全部シュッと癒える。


「君の魔法……魔力は結構あるな。」ケインが淡々と評価する。「ただ、技が下手すぎ。魔力を無駄にしすぎだ。」


「なら、これどうだ?」


漆黒の影が鮫のように四方からケインに飛びかかる。一部はドカンッと炸裂し、黒刺となって彼を突く。残りはケインの周りをグルグル、隙を探し、すぐ囲む。


ルクスは掌を広げ、五指をギュッと握る。「しまえ!」黒影の鮫がケインにガバッと飛び、細かい黒刺に炸裂し、暗影の殺網を織る。


「【骨刺鎧】!」ケインが叫ぶ。白光の骨刺が腕、腿、胴からゴゴッと生え、全身を包む。目だけ露出。黒刺が骨甲にガキンガキンとぶつかり、全部弾かれる。


「ついでに教えてやる。」ケインの声、骨甲から、得意げな笑み。「この【骨刺鎧】、リオの野郎に対抗するために死ぬほど鍛えた技だ。狩魔学院卒業でやっと完成。今日、君で試すぜ!」


ケインの背が裂け、血肉の長鞭が二本、シュッと飛び出す。鞭の先、鋭い骨刃がヒュッと危険な音。彼は巨爪で変な騎士礼。「新米嬢ちゃん、本物の魔法戦、見せてやる!」


ケイン、ルクスに突進。巨爪が合わさり、地面にドンッ。ルクス、横に転がり、地面がボコッ。鋭い骨刺が土を突き破り、彼女の足の裏をグサッ。ケイン、血肉の長鞭を振り、骨刃がキンキンと唸る。ルクス、影壁で一本をガキンッと受け、だがもう一本が地下からシュッと、顔を狙う。


ルクス、円形の影盾を凝らし、ガッと偷襲を防ぐ。鞭刃がクルッと反転、肩にガツッ、骨まで刺さる。ルクス、歯を食いしばり、影刃を凝らし、鞭をザッと切ろうとするが、途中で止まる。鞭の芯は硬骨、グイッと引っ張り、ルクスをケインへ引き寄せる。


「引きずられちゃダメ!」ルクス、心で叫ぶ。影刃で自分の肩をザッと切り、肉と骨ごと断ち、血肉が鞭に巻き取られる。「勇気あるな、嬢ちゃん!」ケイン、ちょっとゼエゼエ、驚き声。


ルクス、後退。胸の【癒花】がピカッと光り、魔力がドクドク。足の裏と肩の傷がシュッと癒え、跡なし。だが顔は真っ白、息が荒い。「戦って血流して、魔力カラッポだ!」


「治癒魔法!? 双属性!?」ケイン、ビックリ、布花をガン見。「魔法道具? いつ作った……」


「知りたい? 有料だよ。一問一閃金幣。俺を逃がせば、月額無料で答えるぜ。」


「結構。どうでもいい。」ケイン、冷たくニヤリ。


【硬く戦っても勝てねえ。アイツの変身、魔力めっちゃ食うはず。引き延ばせば勝機が! でも……】ルクス、心で焦る。


「オイ、ケイン! 何してんだ!? こんな時間かかって、1690閃金幣の小娘をまだ片付けられねえ!?」遠くの夜空、貪欲でイラつく声。財福教の沐恩者ブラッド、赤い晶石二つを踏み、ユラユラと空中から降りてくる。「急ぐのに、魔力水晶20藍銀幣も使っちまった!」


【今どうすんだ? もう完全に終わりだ!】ルクスの心、谷底に沈む。最悪の事態、ついに来た。


「ブラッド様。」ケイン、ブラッドが降りてきて、恭しく報告。「この小娘、強力な治癒道具持ってる。俺一人じゃキツいっす。」


「何!? 治癒道具!?」ブラッド、ポカン、目に貪欲な光がバチッ。「競売場なら、手数料引いて700閃金幣! 三七で、俺が490!」


「お前、1690閃金幣の価値だ!」ブラッド、ルクスをガン見、興奮と貪欲、金の山を見る目。「親愛なる1690金幣嬢ちゃん、俺の口座の金になってくれ! コスト10閃金幣超える前に!」


ブラッドの掌に彩晶が浮かび、長いエネルギー翼が生え、流光の砲弾、ビュンビュン、ルクスに攢射。


密集した攻撃、ルクス、避けきれねえ。


影魔法をグッと集め、体を包む。黒影、晶石の暴雨にドカドカ、爆発は花火、樹木は燃え屑、地面は深い穴だらけ。


【耐えきれねえ!】ルクス、歯食いしばり、全力で防ぐ。劇痛が全身を走り、影壁が薄くなり、崩れる寸前。


「よし! 爆晶30個、12紫幣!」ブラッド、満足、吠える。「ケイン、やれ!」


ルクス、骨がズキズキ、防御解き、頭出す。ケインの悪獣の影、ズバッと突進。「う!」ルクス、急いでガッと防ぐ。影盾と巨爪がガキンッ、ブラッドの遠くから晶光ビカッ。数本の光束、ビュッと空を切り、一本がルクスの腰をチリッ、拳大の穴、焦げ臭が漂い、外れた光束が後ろの木をドカッと燃やす。


ケイン、爪を地面にガツッ。森白の骨刺、荊の森みたいにボコボコ飛び出す。


ルクス、後ろにバッと跳ぶ、ギリ避ける。体がふらつき、ブラッドのレーザー晶弾がドカドカ覆い被さる。


ルクス、風の葉、ドンッと古木にぶつかり、スルッと滑り落ちる。


「ぷっ。」ルクス、血を吐く。耳目、聞こえず見えず、体ブルブル震える。


【癒花】、傷を癒す暇なし。極端な危険の直感、意識がモヤモヤの縁で、ルクス、全力で影盾を前に広げる。


影盾ができた瞬間、小さな手押し車サイズ、透明なエネルギー翼六対の巨大水晶爆弾、影盾にドカンッ。触れた刹那、耀眼な光が爆発。


爆心地、二十メートル、木が全部グシャッ、蒸発、消滅。


五十メートル、灌木は焦げ灰に。百メートル、木々がガンガン燃える。


火光、夜空の半分を赤く染める。


煙塵がユラユラと散り、孤零な人影が現れる。正確には、人影じゃねえ。かろうじて人型を保つ、焦げた……黒炭だ。


橙黄色の水晶がボロボロの服からコロッと地面に。青い肌の男が託した「冒涜者の欠片」だ。


「ハハ! 完璧!」ブラッド、狂笑。「8閃金幣、10炫紫幣、20藍銀幣、超お得! 道具ガード、俺、大儲け! 欠片も持ってる! ケイン、早くこの1690閃金幣嬢ちゃんを掴め!」


「了解、ブラッド様。」


【俺……死ぬのか……】ルクスの意識、モヤモヤと散っていく。


【ミティ……ごめん……お前を守れなかった……俺もすぐ死んじまう……ミティがこんな俺見たら……絶対悲しむよな……それに……ケーキ、一個も……ミティの分、食えなかった……このまま死んだら……ミティに会った時……なんて言えばいいんだ……?】


ルクスの思緒、瀕死の縁でガンガン閃く。時間、この瞬間、止まったみたい。


突然、世界がスゲエ明るくなる。まるで純粋な光の国にいるみたい。


【ここ……死後の世界か? 俺……やっとミティに会える……】ルクスの意識、解脱のような静けさが湧く。


【じゃ……こうやって死ぬか……でも……】


【……やっぱ、ちょっと悔しいな……】


「その欠片……喰え……」その時、空霊で、漂う、でもどっか聞き覚えのある少女の声が、ルクスの脳奥で響く。


【誰? 誰だ? ミティ……お前か?】


「その欠片……喰え……」声、また響く。今、ルクス、ボンヤリ、細い白い手が見える。地面のどこかを指してる。


見えず、聞こえず、でもルクス、全力で口を開き、声の示す方向にガブッと噛みつく。


「カチャッ。」


喰った。


青い肌の男が託した、水晶の欠片。


【吞噬……発動!】


意識が闇に沈む最後の瞬間、ルクス、心で嘶吼する。

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