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第41話 精霊の夜曲

「デラスカさん!」アシェルはガッと声を張り上げた。そこには、すべてを賭けた決意と、狂気じみた興奮が混じる。まるで逆転の切り札を握ったかのように!


「そして、すべての精霊の皆さん!」彼は木板車を覆う黒い布をギュッと掴み、最後の瞬間、喉を裂くように叫んだ。「君たちは精霊が生まれながらに高貴で、永遠に精霊だと信じてる! 植物人やカバラは、生命と自然の神が適当に作った下等な存在で、森の食材だと決めてる!」


「今、俺が真相を暴く!」アシェルはバサッと布を剥ぎ、夕陽の下、隠されたすべてが露わになった。


「なに!?」「え!?」「これは……」精霊たちがドッとどよめいた。


そこには精霊の亡骸。半身は裂けた大地のようで、歪んだ根やツルが傷口から狂ったように伸び、干涸らびた死体に毒瘤のように絡みついていた。首は不気味に捻れ、死因らしい。苦痛と解放、相反する感情が、ボロボロの顔に奇妙に凍りついていた。


「デスク……」ある精霊が小さく呻いた。二ヶ月前、禁忌を犯して追放された精霊、デスクだ。


「これが真相だ!」アシェルは両腕を広げ、空へ吠えた。


「神殿に追放された精霊は、みな『終焉の河』の死の領域に送られ、二度と帰らない! なぜかって? それは——」アシェルは運命の舞台の指揮者のように、百年の悲劇を最高潮に押し上げる。


「彼らは植物に変えられた! 君たちの見る、妙な果物や野菜の怪物に! 『カバラ』と呼ぶあの怪物、実は君たちの精霊の同胞だ!」


精霊たちは沈黙に落ちた。


「この亡骸が精霊の姿を残してるのは、変身の途中で自ら命を絶ち、残酷な拷問を止めたから! 君たちが戦利品や食材にするカバラは、かつて強大な魔力を持った精霊が変えられたもの! 魔力がないか弱い者は、俺のよう、君たちが奴隷にし、好き勝手『味わう』植物人になる! 数百年前、精霊の系譜から消えた先祖たちが、今、君たちの食卓の『ご馳走』だ!」


「こんな結末、俺たちにふさわしくない! 俺たちは同じ森の子、共に陽と雨に浴してきた。植物人は精霊の栄光を忘れたかもしれないが、遠い過去、君たちの親、戦友、友だったかもしれない! 今みたいに、一方が他を『食材』と見る歪んだ関係はダメだ!」


「これが俺たちの運命じゃない! ここにいる君たちの未来でも、絶対にあってはならない!」


「同じ空の下、同じ森に住み、同じ空気を吸い、同じように喜びや悲しみを感じる。俺たちは……同じように生きてる!」


「『食材』と『捕食者』、天敵なんてもんじゃない! 血を分けた同胞、助け合う友であるべきだ! だって、俺たちは——本質は——精霊なんだ!」


アシェルは叫び終え、ゼエゼエと息を切らし、胸がバクバク。両腕を再び広げ、「希望」の種をすべての精霊の心に蒔いたと信じた。


「ハハハ! バカバカしい! 笑える!」精霊たちが震撼と沈黙に飲まれる中、デラスカがキンキンと耳障りな笑いを爆発させ、アシェルを蔑んだ。「下賤な植物人が、高貴な精霊と肩を並べるだと?」


「俺は精霊だ!」アシェルは一歩も引かず、ギラギラした目でデラスカを睨んだ。


「ふん、拾った『精霊の干尸』に枯れ枝を詰め込んで、俺たちを騙せると思ったか?」デラスカはジリジリ近づき、ちっぽけなアシェルを見下ろした。


「偽物じゃない!」アシェルは興奮で叫び、両手をブンブン振った。まるで最後の絶望の戦いにわずかな力を足すように。「この亡骸、俺が命がけで終焉の河の下流から持ち帰ったんだ!」


「下手な偽造だ!」デラスカはバカにしたように手を振った。ドドンッと地面が割れ、太い木の根が飛び出し、枯れ枝ごと精霊の亡骸をガリガリ砕き、地下に引きずり込んで消した。


「こんなしょぼい手口なら、普通の精霊を騙せるかもな。」デラスカは両腕を広げ、呆然とする精霊たちにドヤ顔で叫んだ。「でも、このバカキノコが、こんな笑い話で生命と自然の神教の沐恩者を騙せると思うか? 俺の人生で一番のギャグだ!」


「嘘じゃない!」アシェルは唯一の証拠が消えたのを見て、驚きと怒りでガクガク。けど、諦めず最後の力を振り絞って吼えた。「信じないなら、君たちが『カバラ』と呼ぶ同胞の遺物を持って、変身したカバラに会いに行け! 反応するぞ! 精霊の記憶は消えてない! 心に消えない過去が残ってるんだ!」彼は腕を振り乱し、精霊に伝えようとした。もう同胞の植物人を無神経に殺して、食うな! いつか植物人が精霊として堂々と生きられるように……


「ハハハ! このキチガイキノコ、まだ自分が精霊だと思ってやがる!」デラスカ、沐恩者の体裁もかなぐり捨て、アシェルを指さしてゲラゲラ笑った。


その笑い、疫病みたいに広がった。すぐ一人がクスクス、二人目、三人目……あっという間に城門は哄笑の嵐。まるでさっきのは、命を賭けた真相の暴露じゃなく、ただのドタバタ劇だったみたい。


その時、輝光の空地の中央花壇の魔音装置がユラユラ鳴り出した。陽気な曲が城壁を越え、耳障りな嘲笑を潮のようにかき消した。


アシェルはボーっと立ち尽くし、乱れた笑い声を聞いた。歪んだ音符が、優雅な精霊の曲と混ざり、めっちゃくちゃな交響詩を奏でる。聴衆は……アシェル一人。


彼は笑い声にズブズブ溺れた。顔には絶望、痛み、呆然、魂に根付いた恐怖が絡み合う。彼が聞いた最も狂った、吐き気する曲だ。


アシェルの両腕、力なくダラン。もう二度と上げられない。


彼、負けた。完膚なきまでに。


なのに、笑った。惨めに、狂ったように。笑顔は目の前のキチガイじみた光景に溶け、まるで「精霊」みたいに狂ってる。


彼はゆっくり振り返り、夕陽に染まる、深海みたいに黒い森を見つめ、囁いた。「最後は……君たちに託すよ……」


そして、口を閉じ、デラスカへ歩いた。まるで諦めた、従順な、歩くキノコ。


デラスカは手を振ると、従者の精霊が彼を厨房へ連れてった。


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