第4話 ケーキと狩魔人
中街、賭場、酒場、娼館がゴロゴロ。空気は安酒、怪しい香水、汗臭でグチャグチャ。底辺チンピラの楽園だ。
血滴幫、店の半分を牛耳ってる。
ポニー、幫派のボス。左街の保護費を巻き上げ、中街に居座る。ルクスみたいな小盗賊は、定期的に「貢ぎ物」を納めなきゃなんねえ。
払わねえと、ポニー本人は動かねえけど、他の幫派やチンピラが絡んでくる。
ルクス、可愛い妹がいるせいで、五倍払いだ。
ルクス、紫の岩でできた五階ビルに向かう。門前、チンピラがカードでワイワイ。ルクス、ちょっと雑談して、硬貨を数枚渡す。一人が中へ案内。
五階、ドッシリした木のドア前。案内人がノック、許可もらってギィッと開け、すぐ出て、ルクスに「入れ」と合図。
「ポニー親分、こんにちは!」ルクス、入るなりニコニコ、恭しく挨拶。
部屋、薄暗え。酒とスパイスのカビ臭がキツい。壁に下品な裸女の絵。真ん中、革ソファにデブの中年、ポニーがドスン。横にゴツい男が数人。
ポニー、光頭、金ピカの首と指、蛇の刺青がデブ肉に絡む、キモい花園だ。矮人城の輸入拡大鏡で、鳩の卵サイズの宝石をガン見。
ポニーが無視するから、ルクス、ドア脇でジッと待つ。
「ん? サムか。」ポニー、ノロノロと宝石を布に包み、テーブルにポン。ルクスをチラ見。「顔、どうした? 何の用?」
「ポニー親分、道でバカなチンピラが絡んできて、全部ぶっ倒しました。もう来ねえっす!」
ルクス、ちょっと止まって、超謙虚に。「今日、邪魔してすみません。出城の通行証、二枚欲しいんです。離れた親戚の噂聞いて、兄妹で探しに行こうかと。」
「通行証? 簡単だ。」ポニー、腹をバンッと叩く、鈍い音。「出城して帰らねえつもりじゃねえよな?」
「絶対そんなことねえ!」ルクス、ニコニコ。「この通り、兄弟に借金返してもらってねえし、戻らねえわけねえっす!」
「まあ、いいな。」ポニー、宝石の指輪をクルクル。
「俺、お前気に入ってる。しばらくしたら店何軒か任せて、小親分にすっぞ。」
「マジ感謝、ポニー親分! ガッチリ働きます!」ルクス、腰曲げ、感謝を装う。
「もういい、用ねえなら消えな。バーガー、サムにチケット渡せ。」ポニー、イラついて手を振る。ゴツいバーガーが応じ、ルクスを連れ出す。
ドア、ガチャン。ポニーの顔、ドス黒。「死拳のクズ。俺に寝返ったクセに、ガキ一人も奪えねえ。」
烈酒の瓶をガシッと掴み、グビッ。酒がデブ唇からダラダラ。手下、ピクリとも動かねえ。
「クソくらえ。」ポニー、三段顎をガシガシ、目で怪しむ。「コイツ、なんか変だ。」
「親分、俺たちが……始末します?」手下、ビクビク。
「バカ野郎!」ポニー、振り向き、唾飛ばす。「俺が部下を潰す話、街中にバラす気か!?」
酒をグビグビ。「コイツ、俺の用心棒じゃねえ。必死に金貯めて、兄妹連れて逃げる気だ。獣族の血か……それとも、クソくらえの呪われ者だ。」
「待つ気ねえ。」ポニー、ニヤリ、獰猛。「狩魔局にチクって、ついでに賞金だ。あの可愛い妹、死ななきゃ俺の部屋で『可愛がる』ぜ。」
狂った笑い、急にムカムカ。「何ボケっとすんだ! さっさと綺麗な女、連れてこい!」
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ルクス、通行証をギュッと握り、足取り軽く中街を抜ける。雑貨屋で中古の手押し車をゲット。【荷物少ないけど、農場遠い。家具もいるし、車のが楽。】
車、キーキー、ルクス、家へ。ガタガタの道、掏摸がコソコソ、小商人がギャーギャー、客が値切り、遠くの工房、ガンガン。底辺のあがき、紫の都の本当の色だ。内城の貴族? ルクス、見たことねえ、まるで別の世界。
ふと、ミルクと甘い焼き菓子の匂い、クンクン。ルクス、顔上げる、ミラン菓子屋。老夫婦が始めた店、今は娘のリサと婿のジェイミー。伝統ケーキに城外の変な味、住民に大人気。
ミティ、この店大好きだ。
誕生日や祭り、ルクス、ミティ連れてケーキ選び。
ルクスの誕生日? 甘いのは苦手、ミティが新作料理、成功率五分五分。
「いらっしゃい!」風鈴チリンチリン、リサ、でっかいお腹でニコッ。「サム、ミティ来てねえ?」
「家にいるよ。彼女にケーキ買う。」ルクス、リサの腹をチラ見。「リサさん、ジェイミーは?」
「厨房でバタバタ。赤ちゃんできてから、なんの仕事もさせねえよ。」リサ、愚痴るけど、声甘い。
「ジェイミー、マジ優しいな。このリンゴクリームケーキ、俺が詰める。」ルクス、赤いケーキ指す。
「サムもいいお兄ちゃんね。」リサ、布袋渡し、ニコッ。
ルクス、ケーキ詰め、払って、バイバイ。店出て、温かい店を振り返る。ミティ連れてくると、彼女、目キラキラ、名残惜しそう。
【もうすぐだ。】ルクス、心で呟く。【ケーキ、農場で……いや、ミティの食いしん坊、道で食っちゃうな。】
車、キーキー、パン屋に着く。「ミティ、荷物まとめた?」ルクス、ケーキ持って、ドアをギィッ。
【ヤバい!】開けた瞬間、血と知らねえ匂い、鼻ツーン。背筋ゾクッ。
ルクス、街の勘で心落ち着け、死拳の魔法ネックレスを装着、右手に袖の小刀を握る。
「ミティ、リンゴケーキ買ってきたぜ。」ルクス、わざと明るく、ドアをグイッ。
中、テーブル椅子グチャグチャ、新パン、床にバラバラ。
メイベルおばあちゃん、倒れてる。胸、丼サイズの血の穴、折れた箒握り、息ナシ。捨てられたパン、腐るの待つだけ。
ミティ、壁に寄りかかり、首と肩、ズタズタ、血で服真っ赤、でも生きてる。
ルクスを見ると、ゴホゴホ、途切れ途切れ叫ぶ。「お兄……ゴホッ……早く逃げて……」
「バタッ。」ケーキ、落ちて、赤いグチャグチャ。
「ミティ!」ルクス、狂ったように突進、手を握ろうと。
その瞬間、クルッと振り向き、小刀をシュッと背後に。「キン!」刀、黒い影に、カチンと跳ね返る。
「やだやだ、鋭いチビ助。どうやって俺に気づいた?」ふざけた声。黒い影、グニャッと蠢き、でっかい口みたいに裂け、変な人影がボロッと現れる。
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黒いローブの男、ヤバい顔、焼け傷の瘢痕だらけ、隠さず。茶のベレー、斜め。黒いローブ、体に巻き、濃い黒影、蝙蝠の翼みたいにグネグネ潜む。
ルクス、無言、赤い瞳でガン見、突進する。【ミティ、持ってろ!】
男の足元、漆黒の円、シュシュッ。黒い棘、槍みたいにバババッと飛ぶ。
ルクス、走りながらクルクル、棘のほとんどを避け、肩と腿、チラッと掠め、血がチョロッ。
近づいた瞬間、右手、ズバッと【黒熊の篭手】出現。モフモフの熊の手だ。
ガツン。「ドン!」黒影の盾、ガキンッ。衝撃で家具、ブンブン揺れる。
「お。いきなり魔法道具か?」男、ルクスと篭手を面白そうにジロジロ。
「一人専用だろ? しかも……」
男、ローブが膨らみ、でっかい黒翼、巨大な口、ルクスをガバッと喰う勢い。
ルクス、篭手を消し、【野良猫の指輪】にチェンジ。銀のリング、ちっちゃい猫頭。
体が軽く、シャッと転がり、攻撃をスルリとかわす。
「使いすぎると、魔力すぐ尽きるよな?」男、リオ・ブラックウッド、ニヤニヤ、キーキー笑う。
「忘れてた、俺、リオ・ブラックウッド、狩魔局の『操影者』だ。」彼、ルクスの顔、楽しそうにガン見。
ルクス、ゼエゼエ、怒りギュッと握り、構え直す。
「今日、俺、超ラッキー!」リオ、黒い鞭、シュッと振る。キンキン、耳障りな音。
ルクス、避け、赤い瞳がピカッ。鞭、肌スレスレ、肉がパッと飛び、木の棚にバキッ、半分真っ二つ。
「超、超、超ラッキー!」リオ、歯軋り、ギシギシ、ゾッとする。「こんな男の子のチビ、ヒヒッ!」
涎、口角からダラダラ。「神職、祝祭で酒とメシに夢中。俺たち、たっぷり時間、ゆっくり『遊べる』。なあ、俺の好物、知ってる?」
ルクス、キチガイの戯言を無視、横からグイッ、【黒熊の篭手】を再装着、ガツンと叩く。【黒熊の篭手:モフモフの熊掌、でかい石も砕ける力!】
床、ボコッと隆起、黒い地槍、ズバッ。ルクス、後ろにクルッ、髪が切れ、頭皮掠める。
「俺、男の子のタマ、大好き!」リオ、変態の欲望、ガラガラ声。「ガキ縛って、熱々のタマ、ガブッと喰う!」
黒影、ドカンッと爆発、黒い潮、床をブチ壊し、家具パキパキ、木屑バサバサ。
「今、俺の独り占めのご馳走タイム!」リオ、狂った笑い、両腕広げ、陶酔。
ルクス、両足でガッと蹴り、天井をブチ抜き、二階へ。
「ドカン!」床、黒い円、グワッと広がり、黒い石柱、ズドンッ。リオ、ヌッと現れる。
「逃げろ、ベイビーボーイ!」
「うっせえ!」ルクス、怒鳴る。「お前の顔、タマみたい! キモいタマ顔!」
「おお?」リオ、ちょっとビックリ、ニヤニヤ濃く。「口硬えな、ますますタマの味、気になるぜ!」
黒影、腕に這い、巨大な掌、ガバッ。ルクス、避け、黒掌の端、ドンッと彼女に。壁にバンッ。「グッ!」血吐き、骨バラバラ寸前。
「止まった? 止まるなよ!」リオ、ジリジリ迫る。
【ダメ! 野良猫の指輪、追いつかねえ! 黒熊の篭手、防御破れねえ! 悪犬の首飾り、嗅覚と牙だけ、近接必須! 道具、三つしか……ミティのため、動かなきゃ!】
首の悪犬の首飾り、ピカッと光る。狂暴な力が四肢にドクドク。ルクス、体が熱く赤く、バッと跳び、部屋をグルグル。リオ、もっと興奮、黒影ドカン、数十の黒棘、ビュンビュン。壁、床、天井、穴だらけ。
「ハハ、面白い!」リオ、狂笑、棘を操り、ルクスを追い詰める。「動け、動け、タマが美味え!」
ルクス、加速、壁を登る、魔力ギリギリ。
彼女、壁をガッと蹴り、リオにドンッ。「黙れ!」右掌【黒熊の篭手】、顔面にズバッ。
リオ、足元、黒棘、ルクスの右腕、グサッ。
「ブシュッ!」焼き串みたい。ルクス、隙に右掌で白い粉、ザーッ、リオの目に。リオ、黒影で顔をガード、粉を弾く。
その瞬間、ルクス、左掌【黒熊の篭手】、胸にバンッ。
「ドン!」リオ、吹っ飛び、窓ガシャン、ドカンッと外へ。
【いや、鋼鉄みたい!】ルクス、リオの黒影ガード、ダメージゼロっぽい。