表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/49

第30話 ルクス爆裂斬



ルクスはショクブツジンの捕獲作業に加わらなかった。無論、誰も彼女の助けを必要としなかった。


逃亡者を追った精霊ラミアとカイルも、七八人の固く縛られたショクブツジンを連れ戻った。


ざっと数え、今回の作戦で三十数人が捕らえられた。無論、精霊を怒らせ、かつ彼らの食欲を刺激し、その場で「食われた」哀れなトマト人を除く。


今、精霊たちは村の隅々を捜索し、隠れた者を探す。やがて、地窖から震えるショクブツジンの子二人を引っ張り出した。


ルクスは気づいた。最初に捕らえられたのは、頑強な男ショクブツジンだ。彼らは村の守衛として、婦女子の逃亡を遅らせようとしたのだろう。


後に連れ戻されたのは、女ショクブツジンや子供たちだった。


『ショクブツジンにも……性別があるんだ……』


ルクスは、外見の奇異さを除けば、彼らは人間と何ら変わらぬと確信した。


彼女は村を見回した。隅に干された粗末な衣、地面に石や枝で描かれた拙い落書き――子供の乱塗りだろう。


泥や粗悪な煉瓦の簡陋な家には、粗木の「机」と呼べるものが置かれていた……全てが語る。ここに住む者も、かつて人間の如く生きていた。一緒に飯を食い、語らい、子供たちは空き地で遊び、平凡で退屈かもしれないが、確かに「生きていた」日々を。


ルクスの視線が彷徨う。家々、散らばる品々……やがて、大きな石板で積まれた貯蔵庫の入口に止まった。


暗い石板の隙間から、一対の……目が覗く。


ルクスは静かに近づいた。


隙間の奥に、小さな影が縮こまる。


蘑菇人の少年だった。


彼は恐怖に満ちた目で、隙間から外の惨状を凝視していた。


ルクスと目が合う刹那、少年の恐怖が溢れんばかりに。


ルクスは即座に「静寂、停止」の手信号を送った。精霊の手振りだが、蘑菇少年が理解できるか不明。幸い、少年は彼女の信号を見て、叫びを抑え、恐怖に震えつつ動かず。


ルクスは周囲を見た。


数人の精霊が遠くの家を捜索中だ。


すぐこちらへ来るだろう。


時間がない。ルクスは躊躇を捨て、隙間の少年に両拳を握り、両手を広げる信号――ルクス即興の「逃げろ」だ。


次に、密林を指し、エミリーの教えた「後方迂回」の信号で、精霊の視線を避け林から逃げるよう示した。


少年がどれだけ理解したか、ルクスは構っていられない。


彼女にできるのは、逃亡の機会を創ることだけだ。


最後に、ルクスは四指を揃え、鷹爪の如く曲げる――「行動準備」!


「ルクス爆裂斬!!」ルクスは跳び出し、大喊した。


鉄剣を掲げ、体内の魔力を剣身に集め、全力で空き地に叩きつけた。


「ドン――!!!」


魔力爆発、土と碎石が村を覆い、煙塵が視界を遮った。


「人間!! この呪われた狂猿! 何やってんだ!?」サブリナの怒声が飛塵を貫き、皆の鼓膜を突き刺さんばかり。


「ごめんごめん! さっき、閃いたんだ! 超すごい必殺技を思いついた! インスピレーションが急に来て、すぐ掴まないと逃げちゃうから、試してみたの。将来、隊に強力な力を貢献するためさ。残念……あと一歩で、技は完成しなかった……」ルクスは惜しむ調子で言った。


眼角で石板の隙間を盗み見る――よし、蘑菇少年は混乱に乗じて逃げた。


『上出来!』ルクスは内心、安堵した。


だが、サブリナは見逃す気がない。


金髪精霊はルクスに詰め寄り、鼻を指して咆哮した。


「お前の保証人が誰か、知ってる!? お前の愚行と存在が、エミリー隊長の名声にどれだけ悪影響か、知ってる!? 三ヶ月後の祝祭が隊長にどれほど重要か、知ってる!? この呪われ、自私で愚かな人間! お前は何も知らん!!」


まあ、ルクスは罵られる覚悟済みだ。


サブリナが一日罵っても、受け入れる。


だが、声でかすぎだろ!?


精霊族に、声で人身攻撃を強化する魔法でもあるのか?


「いい加減にしろ、サブリナ。」ルクスの耳が震えそうな時、エミリーの声が響いた。


「私がこの人間の保証人なら、彼女を叱るのは私でいい。」


「でも……エミリー隊長! この呪われた猿に、隊長が口を費やす価値なんて!」


サブリナの声は不甘と屈辱に震える。


だが、エミリーが再び手を振ると、ルクスを歯噛みし、去った。


失礼ながら、ルクスは本気で思った。エミリー、次はサブリナに首輪を付けろよ。


「大変申し訳ありません、エミリー隊長!」ルクスは真摯な謝罪の顔に切り替えた。


「謝意を込めて……靴磨きします! えっと……隊長の靴を脱いで渡していただければ、ピカピカに磨いて返送します……」


エミリーはルクスの言葉を無視した。


彼女はルクスを見据え、言った。「今、蘑菇人を逃がしたな?」


ルクスはエミリーの洞察に驚き、咄嗟に誤魔化そうとした。


だが、碧緑の瞳に射られ、諦めた。


解雇確定だ。追放だけで済むといい。シルヴィの元に戻り、一日でクビの話を語らねば。


「はい。」


ルクスは正直に認め、エミリーの目を見つめた。


その碧緑は、深く、捉えがたい。


「自分が何をしてるか、分かってればいい。」エミリーはルクスと見つめ合い、そう言い残し、去った。追及の意思はないらしい。


ルクスは呆然と立ち尽くした。


解雇されない? シルヴィの家に夜逃げしなくていい?


それが良いことか、今、彼女には全く分からなかった。


✦•······················•✦•······················•✦

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ