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第22話 解放と纏衣(煩わしき精霊)

白石の囲壁に守られた緑茵訓練場。


門はなく、場内は二つの区域に分かれていた。


一つは天蓋なき露天の広場、整然と刈り込まれた芝生が地を覆う。


もう一つは屋根に蔽われた室内訓練室、墨緑の紋様が刻まれた奇妙な木板が床を成す。ルクスは一瞥して、黴に冒されたかと錯覚した。


今、訓練場は無人、異様な静寂に包まれていた。


エミリーはルクスを室内訓練室へ導き、場を管理するアクリダーに身分晶盤を示し、代価を払った。


アクリダーは入口に札を掲げ、この区域が貸し切られたことを示した。


「さて……これで、ようやくあの戦技、『魔力解放』と『魔力纏衣』の習い方を教えてくれるよね?」


ルクスはがらんとした訓練室を見回し、軽い調子で言った。


「まさか、虚空を相手に独りで学べってんじゃないよね? それ、めっちゃ無茶だよ。一日で新言語を創って、即興で演説するレベルで無理!」


「これ。」エミリーは肩袋から薄い冊子を取り出し、ルクスに差し出した。


ルクスが冊子を開くと、暗号めいた文字と、線や記号の羅列が目に入った。


「字、読めないよ。」ルクスは胸を張って宣言した。どこか誇らしげに。


場によっては、「無学」をさらけ出すことが、かえって切り札になる――彼女はそう信じていた。


「……裏に図の解説がある。」エミリーはルクスの反応を予見していたかのように答えた。


ルクスは冊子を裏返した。


確かに、図解が添えられていた。


だが、その図はひどく難解で、不可解なまでに曖昧だ。奇妙な結節、線、矢印、回転の印、人体に描かれた球形の花模様……ルクスには、何を意味するのかさっぱりわからなかった。


それでも、知らぬ文字よりは、ほんの少しマシか。


ルクスは脇に立つ二人の精霊をちらりと見た。腕を組み、監視者の如く佇むエミリーとサブリナ。


今日の修練は、どうやら自力で切り開くしかないらしい。


「エミリー隊長、ほら、この愚猿! 図すら解けないんじゃない? この人間、ただの滑稽な道化、つまらぬ笑いものよ!」


エミリーは冷たく応じた。「今日中に修められなければ、夜陰に紛れて輝光の空地を去らせ、野の寝床を探させるだけだ。」


「隊長、英断! この愚猿にぴったりの末路!」サブリナが哄笑した。


ルクスにとって、野で眠るなど些事だ。


だが、この二人の精霊はあまりにも喧しい。


「アダ! アダ! アダ!」


ルクスは意味不明な喊声を上げ、冊子の図に倣い、体内の魔力を掻き立て、解き放とうとした。


彼女は決めた。この二人が雑音で彼女を苛む前に、こちらの喊声で黙らせてやる。


「この野猿、何を喚く!?」ルクスの音の刃に、サブリナは耳を塞ぎ、叫んだ。


傍らのエミリーは眉をひそめ、不快を顔に刻んだ。


「この……リズムの喊声は、精神を研ぎ澄まし、魔力を解き放つ助けになるんだよ。」


ルクスは言い訳した。「それと、この図、剣が必要っぽいよね? 今、手ぶらだよ。まさか、床を剥がして木剣を削れって?」


「……奥の壁に武器架がある。訓練木剣があるから、勝手に取れ。」エミリーは苛立ちを抑え、答えた。


ルクスは訓練木剣を手に取り、振りながら、冊子の図を再び思案した。


その間、サブリナが口を開くたび、ルクスは「アダ! アダ!」と喊声を上げ、彼女の言葉を断ち切った。


幾度も繰り返すと、毒舌のサブリナもついに沈黙した。


だが、妨げが消えても、事態は好転しない。


この冊子は……まるで解読不能の謎だ。


魔力の流れを示す結節、方向を指す線や矢印、魔力の回転を表す奇妙な印……ルクスは、このまま読み続ければ、体が尽きる前に頭が砕けそうだと感じた。


それでも、退く道はない。輝光の空地に留まるため、聖殿に潜り、勇者の欠片を手にし、ミティを蘇らせるため……今は、ただ修練を重ねるしかない。


ルクスは深く息を吸い、気を取り直し、冊子の動作を真似し始めた……

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