第12話「木屋と裁縫」
その後、「野人」ルクスは精霊少女シルヴィに連れられ、土の道を抜け、巨大な古木に寄り添う奇妙な木屋のそばにやってきた。
古朴で自然の息吹に満ちた木屋は、まるで二階建ての高さだった。
この土地から自然に生えたかのような印象を与えた。
巨大な古木が木屋の根元を優しく抱きしめ、窓には厚い葉で編まれたカーテンのような覆いがかかっていた。入口の扉もまた「自然」そのもので、動かせる木杭のようだった。まるで童話の挿絵のような木屋が、静かな丘の上に佇んでいた。
「ようこそ、『ガイア』へ。これは私の小屋の名前よ。」シルヴィは微笑みながら木の扉を押し開き、ルクスを招き入れた。
屋内に入ると、ルクスは空間が広くはないが、清潔で整然としていることに気づいた。
中央には簡素な木のテーブルと椅子が置かれ、テーブルクロスすらなかった。隅には陶製の食器と水を入れる粗陶の瓶が並んでいた。
「お茶、飲む?ダンデライオン冷茶しかないけど。」シルヴィは木の杯を取り、瓶から茶を注ぎ、ルクスに手渡した。
「ありがとう。」ルクスは杯を受け取り、軽く一口飲んだ。冷茶なのに、清香が口に広がり、微かな花草の芳香とほのかな甘みが混じっていた。
「中に花蜜を少し加えたのよ。」
「美味しい。」ルクスは率直に評価した。
「浴室はここの部屋よ。」シルヴィはルクスを隣の部屋に案内した。
そこには一人分の入浴が可能な大きな木桶があり、傍らには半人分の高さの木製水甕が立ち、すでに半分以上が冷水で満たされていた。
「ここに人間の商人から買った石鹸があるよ。それと、これは輝光の空地特有の薬草花蜜液。髪を洗うのにぴったりだよ。」
「シルヴィ、めっちゃ親切!本当に本当にありがとう!」シルヴィの熱烈な歓待に、ルクスは少し戸惑った。
「気にしないで!」シルヴィは両手を振って大したことないと示し、すぐに笑顔が少し曇り、寂しげな口調で言った。
「だって、ずいぶん長い間……私の小屋に客が来なかったんだ。ルクスが来てくれて、本当に嬉しいよ。」
ルクスはその孤独な響きを聞き、頷いて言った。「これから何か手伝えることがあれば、遠慮なく言ってね。」
「うん、約束だよ!」シルヴィは笑顔を取り戻した。
そして、柔らかな青いタオル、青い短裙と上着、下着を置いて、ドアを閉め、部屋を出た。
ルクスは清水と石鹸で念入りに体を洗った。
身体を拭き、シルヴィの服に着替えた。
案の定、めっちゃ合わなかった。特に上着の胸元はスカスカで、異様に緩かった。
ただ、服のデザインは控えめでしっかり覆うタイプだったので、露出はなかったが、全体的に……ちょっと変だった。
「シルヴィ、洗い終わったよ。」ルクスは服を整え、浴室のドアを開けて出てきた。
シルヴィは木のテーブルに座り、淡緑の布と針糸を持ち、縫い物をしていた。
「うわ、やっぱり合わないね。」
シルヴィは少し残念そうに言ったが、すぐに縫っていた布を掲げた。
「でも大丈夫!今、ルクスの新しい服を作ってるよ。早く来て、ちゃんと測らせて!」
「えっと……それは……いいかな?」
ルクスはシルヴィの熱意がちょっと過剰で、対応しきれなかった。
だが、なぜかシルヴィの好意を断るのは、かつて「悪獣」ケインと沐恩者ブラッドを同時に相手にした戦いより、よっぽど難しく感じた。
結局、シルヴィの強い勧めに、ルクスは折れ、彼女に巻尺で身体を測られるままになった。
「その、普通の上着とズボンでいいよ。」
「え?せっかく可愛いのに、もったいないよ。」
「大丈夫、これに慣れてるから。」
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シルヴィの巻尺による採寸は、すぐに終わった。彼女の動きは手慣れていたが、ルクスの胸囲を測る際、シルヴィの目に一瞬の憐憫が過ぎるのをルクスは見逃さなかった。
「これでいいと思うよ。布が節約できてさ、私には完璧な体型だよ。」ルクスは冗談で気にしてないと示した。
だが、シルヴィの「なんて可哀想な子」と同情する表情がさらに濃くなり、ルクスは乾いた笑いを浮かべるしかなかった。
「よし、採寸完了!」シルヴィは巻尺をしまい、ルクスを振り返り、再び提案した。
「ルクス、本当に考え直さない?エーテルフルール・スカート作ってあげるよ。軽やかでふわっとした感じ、絶対あなたの雰囲気にあうと思う!」
「いや、本当にいいよ、親切に感謝!」
ルクスは慌てて手を振った。
「それに……ズボンとシンプルな布の上着のほうが動きやすくて慣れてるんだ。」
「そうなの?でもさ……」シルヴィの碧い瞳は想像の輝きに満ちていた。
「ルクスがエーテルフルール・スカートに、フェイライト・ブラウスを合わせたら、めっちゃ爽やかで生き生きして、絶対可愛いと思うんだ!」
彼女は話しながら、脳内で魔法の着せ替え部屋を展開し、ルクスに想像の精霊装を着せ、満点の評価を下していた。
まあ……ルクスには、この精霊少女をどう断るか、まるで分からなかった。
だが、幸い(ルクスにとっては)、シルヴィはエーテルフルール・スカートの裾飾りに使う「常香花」という特別な花(百年経っても腐らない)の在庫が足りないと気づいた。
やむなく彼女は精霊裙の製作を諦め、ルクスの希望通り、動きやすいズボンとシンプルな布上着を縫うことにした。
「この辺には基本、私しか住んでないよ。他の精霊も、めったにここには来ない。だから、屋内にいるのが退屈なら、気軽に外を散歩してね。」
シルヴィは顔を上げ、ルクスの「弱点」に気づいたように、親切に忠告した。
「でも……絶対遠くまで行っちゃダメだよ!」
「大丈夫、わかってる。近くをぶらぶらするだけ、遠くは行かないよ。」
シルヴィの裁縫を邪魔して屋内にいるのも悪い気がした。
ルクスは胸元が緩い青い裙装を着たまま、ガイアの小屋を出て、周辺を散歩し始めた。
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