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第23話 私の槍は

「少将様…どうしてここに?」

「いろいろ……と言いたいが、全部教えよう」


初日の午前だったら全部答えたか怪しいが、もう私は受け入れる事にした。

そうしないと正解に進めないと思ったからだ。

とはいえ全部話すと長い。

軽くまとめて話すとしよう。



「____というわけだ」

「そうだったんですか…」


彼女は私の直属の部下だったが、辞めた当時のみフローライ少将と共にヘンデリュート国の警戒に当たっていた為、辞めた経緯も私が行方不明状態で生きていた事も知らなかったという。

でもさっきの反応は私が初めから生きている事をわかってたかのような感じだったが…。

死んでいないと思っていた…という事だろう。

もちろん10年前の事だけじゃなく、今回入隊した経緯も簡潔にだが話した。

アリシューザが元気にしていると聞いて喜んでいたな。

入った月が違うが、二人は同じ年に入隊している。

そういえば私が行方不明だったのはともかく、アリシューザはどういう扱いになっていたんだろうか…。

私と同じように行方不明という事にされてたんだろうか…。

それか、私について行ったという事にしなかったのか…。

どちらにしろ、アリシューザかシュネルに聞かないとわからないだろう。

今はそれよりも、彼女に聞かなければならない事がある。


「それで、今度は私が聞いてもいいかな?」

「はい。少将様にならなんでも…」


なんでも…だと!!?

…いや、しないですよ?

それよりも彼女には聞きたい事がある。


「どうして、槍術講師に?」


私の記憶が正しければまだ20代のはず、アリシューザの1歳年上だったかな…?

私の一回りも二回りも若い彼女が、どうして戦列を離れたのか。


「もしかして、私のせいか?」


もしそうだとすれば謝らなければならない。


「いえ!そんな事はないですよ!むしろ少将様には感謝していますので…」


感謝…?

何か感謝されるような事を私はしただろうか…。


「えーっと?まず槍術講師になった理由ですね!」


正直、私には見当もつかない。

彼女の槍に関しては、フローライ少将を除けば最強格に位置付く。

だからこそ理由がわからない…。


「私ー…人を殺す事が苦手だったんです」


いや、それは誰もがそうだと思うんですけど…。

私だって初めて人を殺す時は抵抗あったし…。


「何て言うんでしょうね?別に人を殺す事自体に抵抗があったわけじゃなく…」


えっ…。

それはそれで怖いんですけど?

よくよく思い出してみればシルビィは稽古初日、稽古の為なら他人を攻撃してもいいと言っていたな…。


「私の槍は、人を傷つける為にあるものじゃないって…思ったんです」

「…じゃあ、何の為だと思ったんだ?」


本当にそのままの意味で捉えるなら、私のように武器を置くはず。

だが彼女は槍を置かなかった。

それなら…


「私の槍は、自分自身で高めるもの。私自身の強さこそ、私が求めた槍なんです」


やはり…。

彼女は10年前…私に何度も勝負を仕掛けてきた。

彼女は手合わせのつもりだったんだろうが、私からしてみれば打ち合いとほぼ変わらなかった。


「だから私自身が血を流しても、なんか違うなーって思っちゃったんです」


私はずっと彼女の槍の理由を考えていたから気づいていなかったが、彼女はずっと嬉しそうな顔で話している。

私に槍の道を変えた理由を話したかったんだろう。

何故か、その表情に少しだけ寒気を感じたが。


「それが私が少将になった頃に思ったのでー…今から7年か8年位前ですね!」


この子私が辞めた2年後に少将になっちゃったの!?

その時の階級大尉だったよね君…。


「ただ確信を持ったのが今から4年前なので…そっからですね!講師になったのは!」


なるほど…つまりこの子は僅か25歳で人に教えれるレベルまで達したという事か…。


「私は少将様に感謝しています。だって…少将様だけなんです…私のお相手をしてくださったのは…」


多分この子は、勘違いしている。


「他の皆さんは誰も私を相手にしてくれなくて…でも少将様だけは、一度も断らずに…」

「…」

「だから、ありがとうございます!少将様!」


今思えば、私も楽しかったのだろう。

だからこそ思う。

この子は相手にされなかったんじゃない。

誰しもがシルビィに敵わないと諦めてたから、皆が相手にするのを嫌がったんだ。

この子は今でも自分の強さを勘違いしている。


君の強さは、私の強さをも凌駕する。


本気だ、本気で私はそう思っている。

だからこそ、私は彼女に頼みたい事がある。


「…話が変わるんだが、さっき私の隣に女の子が居ただろう?」

「はい!えーっと、シャルロットちゃんですね!」


ちゃんと名前覚えてるんだ…偉ッ。

もしかして全員の名前覚えてるのか…?


「あの子に、槍の基礎を教えてくれないか?」

「基礎っていうと、構えから基本動作ですか?」

「ああそうだ」


シャルには余計な事を覚えさせるより、基礎だけを教えれば遥かに強くなる。

先程シャルは持ち前の身体能力だけじゃなく、動体視力も素晴らしいものを持っているとわかった。

私はあいつほど目利きがいいわけじゃないが…。

こればっかりは確信している。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「___というわけで、シルビィ中将にお願いしてきた」

「はい!お願いされました!」


まあ、予想通りというか、シャルはすごいきょとんとしてらっしゃる。

そりゃー私達全員自由に特訓してくださいって言ってた人が二日後急に自分だけに教えますってなったらビビるよね…。


「えっと…いいんですか…?」


その反応が普通だろう。


「はい!ただし、自主練時間の間だけですがっ!」


人差し指をぴんっ!と立ててそう言った。


「じゃあ今日から、お願いしていいですか?シルビィ中将」

「はい!任せてください!!」

「よ、よろしくお願いします!」


これでいい。

さっきも言ったが、こればっかりは確信している。

シャルが基礎を全て覚えれば…誰よりも強くなる。

それは私と肩を並べるとか、そういうレベルじゃない。

もはや誰にも太刀打ちできない強さになるだろう。

その真価が見れる日も近い。

何故なら、シャルロット・スイレーンは人間じゃないのだから。|

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