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第10話 槍術稽古講師


「お、こっちの覧は現役の『伝説』じゃねーか」

先ほどまで見てたのは過去と退役した『伝説』。

そしてこちらは現在もエイミー帝国軍に所属している現役の『伝説』である。

どうやら三人いるらしい。

私が現役の時も私含めて二人か三人だったからそんなに変わらないか。


一人目は『帝国の若き軍総司令』シュネル・クラン総司令。

エイミー帝国軍史上最年少である35歳で軍総司令となった若き天才で、私の義妹だ。

血はつながってないので私に似てはいないが、見た目は20代前半に見えるほど妖絶で美しい外見をしている。

まあシュネルとは年に二回必ず会っているのでよく現状を知ってはいる。


二人目は『帝国軍最強の槍使い』フローライ・アリソン少将。

現在の『伝説の少将』だが、その名称は私のイメージが強いせいか"最強の槍使い"のほうで有名である。

彼女はエルフで、エルフは本来物理より魔法が得意と言われているが、彼女は入隊後僅か7年で"槍使い"として少将までになっている。

確か彼女も私と同じく中将昇進を断っていたと聞いているが…理由は知らない。


三人目は『精密の怪物』キース・フェンネル大佐。

エイミー帝国軍史上最速かつ初の大佐で『伝説』の称号を受け取った名門出身。

精密機械の如く確実に相手の急所をどんな体勢、どんな状況だろうと突くという剣使い。

…と説明には書いてあるが、この人は私知らないな。

私が退役後に入隊したんだろう。


とまあ無言で私がこの覧を眺めていると…。

「でもやっぱり、本当の『伝説』はバースリー・クラン少将ですよ!!」

ちょっと、そんなに持ち上げないで?顔に出ないか心配しちゃいますよ?

「そ、そうなのか?わりぃ、俺あんまりそういうの知らなくてよ」

半笑いで答えるシュウヘイ。

「なんで知らないんですか!?常識ですよ常識!!」

「そんな事言われてもな~」

うーん、とのらりくらりとシャルの口撃を交わしている。

まあ二人とも若そうだし、私の現役を知ってたとしても子供だっただろうしね…。

知らないってのがいてもしょうがないよなぁ。

「ホリーは知ってる?」

知ってるも何も、本人なんですが…。

まあそう答えるわけにもいかないので

「もちろん知ってるよ。私と同世代だし」

こう答えるのが正解かな?

だがシュウヘイとシャルはそう答えた私を見てきょとんとしている。

あれ?私何かおかしな事言った?

「同世代って…お前いくつだ?」


あっ…。


これもしかして昨日と同じ流れか?

「48歳だけど…」

「「ええー!!?」」

めっちゃ驚くじゃないですか…やっぱ昨日も見たなこの光景…。

「確かに俺より年上だなとは思ったけどよ…」

「うん!私も30代前半くらいだと思ってた!」

これも昨日聞いたぞ!?

やっぱり私の見た目ってそんな若く見えるの!?

なんでだ?特におかしな事も若く見えるような事もしてないんだが…。

「ちなみに俺は28歳だ!」

「うそ!?私より年上だったの!!?」

そっちにまで驚いてたら色々疲れちゃうよ?

私には結構年相応の見た目だと思ったけどなー。

「なんだよ、俺がお前より年上じゃおかしいのかー?」

「だって脳筋でしょ!?私より若いからそんな事言ってるのかと…」

「んなわけねーだろ!おめーいくつだー?」

「私は24ー!」


そんな事を笑いながら言い合っている二人を眺めながらチラッと時計を確認する。

時刻は10時55分、つまりそろそろ動いた方がいいか。

遅れるわけにもいかないしな。

「そろそろ移動しないか?もう5分前だし」

そう言うと二人は色々言い合っていたのをやめ、二人とも時計を見る。

「そうだな、俺は二人と違って槍じゃねーから別の場所なんだ」

「それなら集合場所…終わったらどうなるんだろうか」

考えてみたが…んー、わからんなー。

「ならこっちは二人で居とくからシュウヘイは勝手に見つけてよ」

「ああ、もし終わって少しこの場所に残れるんだったらこの辺に居とくから」

そういう事ならと、お互いに場所と目印を確認しあってそれぞれ目的の部屋のある扉へ向かう。

私とシャルは同じ槍部門の場所へ、シュウヘイは駆け足でどこかの部屋へ向かっていった。

私達とは反対方向だったな。


扉を開けると右側にでっかく【槍術稽古場】と書いてあった。

あ、やっぱり稽古場というのが正しい名称なんですね。

しかし、まさか試験日当日からいきなり稽古とは…。

ちょっとさすがに予想してなかったな…。

でもアリシューザは昨日から今日までのホテルしか予約してなかったみたいだし…。

アイツは初めから知ってたんだろうなー。

見落としただけで帝国軍兵士募集の紙に書いてあった可能性もある。

集合時間である11時になり、私とシャル含めたおよそ30~40人くらいの槍を持った者達が部屋の中に集まった。

「はーい、皆さん揃ってますか?…と言っても確認しようがないのでそのまま続けますね」

槍術の講師の方だろうか、よく見えないので少し移動して見てみる。

白髪の、てっぺんにアホ毛みたいなのが二本ほど出ている女の子。

おっと…私あの子知ってますね…。

「えっと、槍術講師のシルビィ・ライラ。一応階級は中将だけどあまり関係ないかな、よろしくねー」

そう、確か私に憧れて入隊した子で、4年くらいには大尉くらいになって私の直属の部下になっていた。

目標が私だったこともあり、辞める時は無理に止めてなかったけどとても悲しそうな顔をしてたのをよく覚えている。

私が辞める時はまだ10代だったはずだから…まだ20代だよな…。

でも槍講師になってるとは…私が原因かな?

そうだとしたらとても申し訳ない。

「稽古なんですけど、皆さん自身の好きなように訓練なりトレーニングしてください!」

おっと…?

これはあまり類を見ないパターンの教え方だな。

私がそう思った通り、シャルを含めて大多数の者が困惑していた。

「私は皆さんと初めて会ったので、まだ教える事の出来るレベルまで知りません!なので今日からしばらくは皆さんの好きなようにお願いします!」

なるほど、しっかり筋は通っている…と思う。

どうだろう?私も人に何か教えるとかやって来てないから何とも言えないけれども…。

「あーそれと、皆さんの槍術を向上させる為なら他の人を攻撃しても構いません!」


…!?


うん前言撤回、よくわからん!

…まあ昨日の夜から朝までやった我流のトレーニングには支障はない。

むしろ好都合まであるが。

「それでは皆さん好きなように、お願いしまーす!」

終始笑顔で話した彼女は嬉しそうに鼻歌を歌いながらどこかに行く。

まあさすがにこの部屋から出る事はしないだろうが…。

こうしてエイミー帝国軍入隊初日。

試験日当日であったこの日より、槍術稽古が始まった。

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