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後輩のパンツと仲がいい二人

 そんな平和な放課後が終わろうとしている。


 素葉さんは職員室にに活動終了届を出しに行っている。


「今日はおつかれ、桃梨」


「あっはい、おつかれさまです!」


 元気に返事をした桃梨を見て、僕は驚いた。


 あれだよ。


 スカート、椅子に引っかかってめくれてるけど。


 しかも……パンツが。


 猫のキャラとリンゴのパンツであって欲しいと思った。


 だってさ。


 今僕の目に見えてる下着って、あれだよ、あの詳しいことはよくわからないけど、多分なかなかえっちなタイプの下着だと思う。


「先輩どうして固まって……あっ」


 桃梨も自分で気づいた。


「先輩、申し訳ありませんが……」


「はいなんでしょう?」


「今から書類の束で頭をたたくので、記憶を一時間分吹き飛ばしてくださりませんか?」


「いや、そんなことしなくてもよく見えてないし」


「嘘ですねそういうのは」


「まあそうかもな」


「じゃ、じゃあ記憶が薄れるまで来ないでくださいっ!」


「ええ……」


 まじかよ。


 これは、あれですね、反省文第二号を書かなきゃいけないやつだな。


 僕はため息をついて顔を覆ってなんかぶつぶつ言っている桃梨を置いて、退散した。


 さあ、今日家に帰ったらすぐに書くぞ。反省文。



  ✰   〇   ✰



「なかなかやりますね、素葉先輩」


 とある文化祭実行委員会の活動がない放課後。


 私は素葉先輩と、駅前のカフェでおしゃべりをしていた。


「な、何がやりますねってことなの?」


「それは、子供っぽい下着を思わず見せちゃったみたいなエピソードを作って笹野先輩の好感度を上げたことです。会話が聞こえてましたし、笹野先輩の反省文も見えてしまったので、お見通しです」


「……ふん、そういう作戦、悪くないでしょ別に」


「はい。大いに結構だと思います。ですので私も真似してみました」


「真似?」


「はい。私は見た目が子供っぽいので、あえて大人っぽい下着を履いてみて、それをさりげなく笹野先輩に見せてみました」


「ま、真似したのね?」


「はいそうです。どちらが好感度が上がったか楽しみですね」


「……」


 ふとした会話から二人とも笹野先輩が好きだと気づいてしまった私と素葉先輩。


 今日も今日とてくだらない好感度アップ作戦に関する争いをしている。


 多分だけど、私と素葉先輩の親密度の方がアップしている。


 なんだかんだで気が合うのでこうして活動がない日までおしゃべりをしてしまうのだ。


 そんな私たちは同じ人が好きなわけだけど。


 まあ、それも面白いんじゃないかと思う。


 だから今日もきっと、平和なのだ。


「それで……反省文はもらったの?」


「もらいましたよ。全部で3512字でした」


「ま、負けたわ。3501字だった。で、でも私の方がきっと心がこもっている反省文だと思うし!」


「ほんとですかねえ?」


「ほんとほんと」


 私たちのくだらない会話と、恋は続く。


 けどきっと、二日連続でパンツを見ても何も不思議に思わない笹野先輩は、私と素葉先輩の恋にも、しばらくは気づかないんだろうな。


 そんなふうに思って、窓の外を見ると、ちょうど笹野先輩が歩いていた。


 私と素葉先輩は思いっきり手を振った。


 笹野先輩が気づいて、カフェの入り口から入ってきた。


 その少しの時間で、私と素葉先輩は、優秀で上品な女の子に、あっという間に変わっていた。


お読みいただきありがとうございました!

主人公が書いた反省文よりも短い話でした。


もしよろしければ評価をしていただけたら嬉しいです。

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