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許された


 「先輩、こんなところで何書いているんですか?」


 文化祭実行委員会を追放されてしまった次の日。


 図書館の自習スペースで熱心に原稿用紙に向かっていた僕は、文化祭実行委員会の後輩に話しかけられた。


 名前は桃梨ももな


「いや……反省文を」


「反省文? 誰宛ですか?」


「素葉さん宛」


「え? なんでですか?」


「それは色々ありまして……」


 僕は濁した。


 素葉さんのパンツの件については、他の人に広めるのはだめだ。


 だからそうするしかない。


「喧嘩したんですか? なんか側からみると可愛らしい喧嘩しそうですもんねお二人は」


「ま、まあ……」


 そういうことにしておこう。


 可愛らしい喧嘩っていうのがどんなかよくわかんないけどね。



  さて、反省文が書き終わった。


 どんな反省文を書いたかというと、要は見てしまってごめんなさいということと、秘密にしますということと、あとは素葉さんの意外な一面がとても可愛かったですということだ。


 そう、だって普段しっかり者で、クールで、落ち着いてる委員長が、猫のキャラとリンゴのパンツ履いてたら可愛いよね。


 ギャップが可愛い。


 そういったことも反省文に盛り込んだ。


 きっと素葉さんは明るい気持ちになるはず!


 よし、渡しに行こう!


 僕は封筒に反省文を収め、素葉さんのクラスに向かった。


 

「素葉さん……いますか?」


「あ、いま……笹野くん……」


「これ反省文です、受け取ってください!」


 僕は封筒を渡し、速やかに退散した。


 頼むぞ、僕の反省文。ちゃんと効果を発揮して欲しい。


 



 次の日。僕は文化祭実行委員会室に呼び出された。


「失礼しますー」


「笹野くん」


「ごめんなさい」


「わたしこそごめんなさい。これからもよろしくお願いします」


 ゆ、許された!


 やったね。


「ね、ねえ、私が、子供っぽい下着着てるっていうのは可愛いの?」


「え? あ」


 その質問してきますか。


「あの、もらったお手紙の最後の方に書いてあったから」


「あ、そうですね。そうです。可愛いです! 問題なしです!」


 僕はとても大きくうなずいた。


 すると素葉さんはとても嬉しそうに笑った。


 そしてちょうどその時、桃梨が入ってきた。


「あ、お二人さん、仲直りしたんですね! おめでとうございます! やったです!」


 テンション高く祝福してくれた。


「ま、まあね。よし、今日からまた活動に参加するからよろしく」


「はいよろしくお願いします」


 結局なんで喧嘩してたんですか? とか聞かれる前に今日の活動に目を向けさせる作戦。


 少し強引だと思いつつやったが意外と大丈夫だったようで、桃梨と素葉さんは仲良く話ながら仕事の準備に取り掛かった。


 僕は僕でやることもあるし。


 久々にいつも通りの文化祭実行委員会を実感できているのであった。

 


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