死ぬまでのお話だ
「大丈夫か、おい」
途切れた意識がまた体へと繋がり目を開く。
そこには冒険者らしき三人がいた
状況を整理しようと辺りを見回した。体の傷口は治っていて血は止まっていた。
「治療してくれたのか」
「あぁそれより、何があったんだ辺りの植物もこの王城も枯れてるは壊れかけるは」
思い出した。いや、忘れてはいなかった。意識が完全に戻り全てを自覚させる
「行かなきゃ行かなきゃ」
「おい、どうした」
「どいてくれ、俺の仲間が」
「お前はすぐに動ける体じゃないぞ」
「そ、そうですよ、今はやめといたほうがいいですよアルトさん」
この人達も俺のことをいやそんなことどうでもいい。ミシェルのところに行かないと
体無理やり起こして今にも倒れそうな歩きで王城の赤いカーペットを歩く。
「待てよ本気で」
「頼む……行かせてくれ、俺は行かないといけないんだ」
三人が俺見つめる。
「わかった。あんたも冒険者なんだろ自分のことは自分できめろ」
「ありがとう」
ミシェルを探すためにギルドに向かう。王城を抜けると商業で賑わっていたはずの町が異様な静けさに変わっていた。
「なんだよこれ」
果物は散乱し、馬にひかれた人、剣で斬られた人の死体がそこにはあった。
恐怖と不安で歩みが速くなる。
ギルドにつくと扉は壊され中は荒れ果て冒険者と受け付けの人国の兵士の死体が散乱している。
「ミシェル!ミシェル!」
ギルド内の端に剣で串刺しにされて死んでいるミシェルの姿がそこにはあった。
「嘘だ!嘘だ!嘘だァァァア」
床に散らばる死体を踏んでいることも気にせず駆けよる。
「ごめん……ミシェル俺のせいで、助けてもらったのに助けられなくて……」
涙がミシェルの頬にこぼれ落ちる。
体温を感じられない手を握る。
ミシェルに刺さった剣を抜き、ミシェルを抱える。
ミシェルのポケットからペンダントと紙が落ちる。それを拾い紙を読む。涙がさらに流れる。
アルトにプレゼントだよそれと倉庫自由に使って私が残せる唯一のものだから
字は歪んでいて最後の最後に書いたことが伝わってくる。
「何もできなくてごめん……ミシェルッ」
俺はミシェルを抱えたまま丘に向かった。
「俺にできることはこれぐらいしかできない。」
不甲斐なさが自分の心を締め付けどうしようもなく許せない。
俺が殺してしまった。ミシェルを
埋葬する。
ハイライトのない瞳に涙を浮かべ誓う。
「俺が絶対にミシェルを殺した。ライデン達に復讐する。」
この命はそのために使う。
わかってる。これは彼女が望んでることじゃないこともそれでも……
そうでもしなきゃ自分が許せないんだ。
彼女が眠っているその場所に向かって言った。
「終わったら俺も向かうよ。」
まだ、夢だと思いたい自分がいて、それでも時間が経てば経つほどに自覚させられる。
オートに戻り俺のせいで死なせてしまった。人達を埋葬していく。
これは俺がこの人達にできる唯一のことだった。一人一人に手を合わせて謝罪する。
しばらく繰り返すと先ほどの冒険者が話しかけてきた。
「手伝うぜ俺らも」
「これは俺がやらないといけないことなんだ。俺が死なせてしまった。人達なんだ。」
「何があったのかわからないが、この中にもよ俺らと仲良くしてた奴らがいてよ、だから俺らもやらせてくれないか」
「わかった。手伝ってくれ」
三人のおかげで日が暮れる前に終わらせられた。
その頃には涙は止まり、現実に向き合っていた。それが、仕方なくも悲しい。
「名前聞いてもいいか」
「おう、俺はバルク」
「私はルフィ」
「俺はシルク」
「ありがとうバルクさん、ルフィさん、シルクさん」
「俺らもこいつらに手を合わせたかったから気にすんな、それで聞いてもいいか何があったか」
話すか迷った。この人達には知り合いがいて共に過ごした時間がある人もこの中にいる。だが、だからこそ殴られても恨まれても話さないといけないと思った。
全てを話した。
「そうか、この国の王達が全てをわかったつもりなわけではないが、辛かったな」
まさかそんなことを言われるなんて思っても見なかった。
「これからどうするんですアルトさんは」
「復讐するよこの命をかけて」
「その後はどうするんです」
「死ぬよ俺はミシェルや冒険者関係ない人を巻き込んで死なせたんだ。」
「あんたのせいじゃないでしょ。王達のせいだろ」
「俺がいなきゃ誰も死ななかったんだぞ!俺のせいだ」
「お前が自分を許せないならそうしろ。俺らもなにかあれば協力する。あいつらを殺されて俺も許さないからな」
「そういえばアルトってダナトル出身だよな」
「あぁ良く知ってるな」
「アルトが有名なのもあるけど、俺らそこに用があるんだけどついてきてくれない」
どうしよう。今すぐに復讐に向かっても殺されるだけだしなそれにお父さんも心配だし
「わかった」
「じゃあ明日この丘に集合で一人になりたいでしょアルトも」
気を遣ってくれたのか今夜は一人になりたかった。
ミシェルの倉庫に向かい誰にも荒らされないように周りを整備した。中はミシェルとの少ない思い出で大切にしたいためそのままにした。
その後丘の上にもどり一人ミシェルのお墓を前にまた泣き崩れた。
「やっぱりまだ、無理だよ止まらないよ。」
涙はきっとミシェルのことが時間と共に過去になったとき初めて止まるんだろう。だから今は泣こうこの時間が過去にしてくれるまでか、俺が十字架を背負って死ぬときまで、彼女のことで泣き続けるだろう。
「俺は忘れないよ、ミシェルの優しさ、温もり、料理全部忘れないで泣き続けるよ」
日は沈み夜が明ける
「全員きたな行くぞ」
「まさか、バルクが馬車のスキル持ってるなんて」
バルクにさん付けはやめろと言われたので三人のことは呼び捨てになった。
体が光だす。あぁそうだ俺は全部覚えてしまうんだ。
「すまない。SPを使わせて」
「気にしなくていいよ覚えておいて覚えて損はないから」
「ならいいが」
その後はダナトルにつくまで冒険者としての活動を聞いたり俺の話をしたりした。
「なぁこの街ってこんなに静かなのか」
「いや、そんなことないはず」
あの時と同じだ嫌な予感と不安感が呼吸を乱してくる
「大丈夫か」
「家に戻ってみる……」
「私がついていくので二人は街の様子を確認してください」
「わかった。」
家に着くまでの道に人の姿は見えなかった。
「帰りました。お母さん、兄さんお父さま」
返事が返ってくることはなかった
視界がぼやける。まさか、家族もなのか
家を片っ端から開ける。
二階の部屋を開けるとお母さまに多い被さってお兄さん二人が死んでいた。
バタ
「大丈夫ですか」
倒れていたようだ。
「ごめん……」
「気にしないでください。家族が亡くなっていたのですから」
「お父さまを探さないと」
「あの、落ち着いて聞いてくださいアルトさんのお父さんも亡くなっていました。」
「そうですか……やっぱり」
「ルフィ、アルトいるか」
「はい」
「どうだったアルトの家族は」
「亡くなってたよ」
「街の人はどうだった」
「同じだよみんな死んでた」
心の中でどす黒い感情が蓄積している。復讐心が悲しみを超えていく二つが大きくなっていく
「悪い……三人とも俺はもう奴らが許せないもう、全て奪われた…大切なミシェルも家族も街の人も!絶対に許さない!今からでも復讐してやるッ!絶対に殺してやる」
止まらない悲しみと復讐心爆発がしている。
「私達も許さないよ協力させて」
「させてくれ」
「協力するぞ」
「ありがとう、でもダメだ俺はもう誰かを失いたくない。それに俺はもう弱みなんてつくりたくない」
三人は黙っていた。多分迷っているんだ。尊重するかどうか
だけど、悪いなもうそんなの俺には関係なくなった。自分が許せない。何が無双ハーレムだよ誰も救えない守れない、俺は独りでいるべきだ。
ここからは俺が復讐して死ぬまでの物語だ