王にとっての価値 神様
「おは~よう」
ミシェルは腕を天井に伸ばしながら言う
「おはよう」
「今日はオートに戻るでしょ」
「うん……」
「早めに戻った方がいいよ午後は冒険者多くなるから」
「ミシェルはどうするの」
「私もオートに戻るよワイバーン討伐完了を伝えないとね」
「そういえばミシェルもワイバーン討伐だったな」
「アルトくんのおかげで何もしてないけどね」
「あははは」(苦笑い)
ゴ~
「そうだよね夜ご飯食べてないもんね作るよ」
「ありがとう、お願い」
スキルカードを覗くとやはりそこには料理スキル5と記載されている。SPは10と書いてある。
料理スキル0 飛行2
加速2 陰纏2
超身体強化3 心復2
グランドストーム5
森林支配5
液体呼吸発動1 1分につき1SP
この数字がSPの消費数か
「ご飯できたよ」
「わかった。今行く」
これは、美味しそうだ。味噌汁みたいなのとご飯となんかの魚かな
「「いただきます」」
ズーズッ
上手いこの味噌汁は何の味噌を使ってるんだヤバい毎日飲みたい。
「美味しい」
「本当ですか」
赤い瞳が輝く。
「あぁ毎日飲みたいぐらいだ。ところでこれは何の味噌つかってるんだ。」
「えっとですね。私のオリジナルでイノシシの臓器とワイバーンの肉、毒薬草を上手く混ぜるとこうなるんだ」
マジか、よ思わず顔引きつっちゃってるよ。どうしてその三つでどす黒くならないのか。
まぁいいや、魚を食べよう。
うまっ!魚自体も美味しいけどこの味付けが最高だ。今まで食べたこともない味だ。
「気に入ってるみたいだね」
どうやら顔に出てたらしい。
美味しいからいいけど
「俺の家で食べてる料理よりも美味しいよ」
「それは嬉しいな」
「料理スキル5ってすごいんだな」
「どうなのかな私はずっと一人だからわかんないや」
「悪いなやなことだった」
「ううん。もう五年も前だから」
五年って5歳の時からじゃ
「なぁミシェルもし良ければ俺とパーティー組まないか」
「えっ、どうしたの急に」
「俺は一人じゃ冒険者をやっていける気がしなくてな。それにご飯もまた作ってもらいたいからさ」
ミシェルが後ろを向く。
嫌だったかな
「嫌ならいいんだ」
「違う。嬉しかったの私あんまり人と話すの苦手なのだから冒険者になっても一人だったから」
「じゃあギルド行くとき申請しような」
「うん!」
俺達はご飯を食べて、準備をしてから倉庫を出てオートのギルドに向かった。
「パーティーの申請はこれで完了です。」
「ありがとうございました。」
登録と討伐報告をすませ俺は王の元に向かった。ミシェルにはギルド内で待っててもらうことにした。
「ライデン王今戻りました。」
「アルト・ナーグルよ心配したぞ、何があった。」
「ワイバーン討伐中にSPがなくなりました。」
「それほどの数がいたのか」
「いいえ、スキルを習得したときの消費と発動消費によるものです。」
「つまりアルト・ナーグルはスキルを習得するのにSPが必要なのか」
「そのようです」
「それで今のSPはいくつだ」
「10にございます」
「なに!」
ざわざわ、ざわざわ
「SPの消費は普通ではないのですか」
「それ自体は普通だ。だがなそこまで少ないのは以上だ。」
「そうなのですか」
「訂正しよう。神に選ばれた者の中でだがな。お前の元は32ぐらいだろう。それは本来なら高いがその能力においては低すぎる。以前神に選ばれた者は百はあったそうだ。つまりアルト・ナーグルは豚に真珠なんだよ。スキルは強くとも引き出す力がなさ過ぎる。それじゃあ普通の冒険者より弱い。」
「そうなのですか……」
「もうお前などいらん」
「えっ」
「お前は死刑だ」
「待ってください。なぜです。僕が普通に生きる分には問題ないじゃないですか!」
「そうもいかぬ、お前の噂はもう各地に広がっている。それがまさかとんだ使い物にならない冒険者だったなんて、なればろくに確認せず嘘のことを広めた王として私の信頼に傷がつく」
「そんなの訂正すればそんなことにならないですよ」
「黙れ!お前このことを知ってる人物はいるか」
「スキルのことならもちろん家族は知ってますがSPのことは誰も知りません。」
嘘だ。死刑なんて言う王にミシェルのことを言えば確実に殺すはずだ。
「本当だな」
「はい」
「ログあれを」
ログと呼ばれた男は俺にスキルを教えてくれたあの人だった。
「ボウズすまねぇな」
「えっ、」
「ブラフ」
「がぁッ」
なんだ今の
「もう一度聞くSPのことを知る者はいないのか」
「いませ、ガァァァァッ」
嘘をつくと体中に電撃がくるのか
「いるのか、それは誰だ」
「だからいないって、ガァァァァッ」
痛い。なんなんだこの痺れは
「もう一度聞いてやる誰だ」
「いねぇよ。ガァァァァッ」
ブハァ
口から大量の血がでる
「ここにいる兵士達はあらゆる手段を使って探し出せ」
「「「はい」」」
「待て!お前らクソッ超身体強化」
「ボウズ無駄だ。木々の蹂躙」
木々がアルトを捕らえる。
動けない。なんでだよ超身体強化でもかなわないのか
「ボウズ少なくともお前と俺では力が違いすぎる。お前の家族まで巻き込まれないために誰か言え」
家族、父さん兄さん母さん
ミシェル天秤にかけることなんてできないよ
「言え!」
「だからいねぇ~よガァァァァッ」
「拷問しろログ」
「はい。ドレイン」
その時だった。
キーン
あの感覚昨日散々味わった。あの音と痛み。どす黒い感情が体をむしばむ。
「ドレイン」
ギーン
次元が違う。痛みで頭の血管が破裂しそうだ。でも、死ぬなら変わらないか
「ドレイン、ドレイン、ドレイン、ドレイン、ドレイン、ドレイン、ドレイン、ドレイン」
「やめろ死ぬぞ!」
「グギガァァカガ」
もう頭は真っ白痛みなんてもう感じない。どす黒い感情とミシェルと家族のことしかない。
「森林支配」
「ライデン王逃げてください。」
「どうしたログ」
「アルト・ナーグルは壊れました。自分の体が無くなるまでスキルを放つでしょう。」
「わかった。後は頼む」
どれくらい経っただろうか、ドレインで王城は壊れかけている。
ドレインはあらゆる物からその力を奪えるスキルみたいだ。
冷静に分析しても体は動かない。
体は今も頭痛にさいなまれて
意識を持つので限界だ。
助けに行かないといけない人がいるのに巻き込んでしまったあの優しい人がいるのにもう何もできない
SPがないのにスキルを発動しすぎた影響で体からは血が永久的に流れて意識を奪ってくる。
あぁまた死ぬのか、大切な人達も守れず。何もなさずして、神様もう力なんていらないよ。俺の大切な人達を守ってくれよ……
神様は天から見てるなんて言う。それはもしかしたらそうなのかも知れない。だがそれは、傍観者であり、イジメのあるクラスのモブA君と同じ程度なんだよ……
それがどこの世界でも同じならば神なんていらないだろ……
何を生贄にしたって、犠牲にしたって、変わらない……
ブツ
意識が途切れる。