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ある魔物使いの成長物語  作者: 剛田タケゾウ
子供編
7/8

王都(1)

朝日が昇り始めたころに目が覚めた。

顔を洗い朝ご飯を食べ僕は準備を始めた。


「弁当、水筒、ハンカチ、ティッシュ....」

一つ一つ確認しながら鞄の中に入れた。


「カケル、準備終わった?」


「終わったよ~」


僕は鞄を持ち母のところに行った。

「体調はどう?ちゃんと元気?」


「元気だよ、ママ」

母は僕をぎゅっと抱きしめた。


「いっぱい楽しんでくるのよ」


「うん!!」

母はずっと抱きしめていた。


「熱いよ、ママ」


「そうね」

母は離れた。


「ちょっと鞄を貸してちょうだい」


「はい」

母は手渡された鞄に何かをつけた。


「何つけたの?」


「これはね、カケルを守ってくれるお守り、カケルが怪我しないようにって願いが込めてあるのよ」

僕は手に取り眺めた、お守りには古代文字のようなものが刺繍されていた。僕は不思議なお守りに魅了されていた。


「カケル行くわよ」


「はーい」

僕は鞄を背負い外に飛び出した。


「おじさん、おはようございます」


「おう、おはよう、おまえはこっちから乗ってくれ」

僕は馬車の荷台に乗り込んだ。


「カケルをお願いね」


「おう」

しばらくすると馬車はゆっくりと動き始めた。


「いってきまーす」


「元気で居るのよ」

母は手を振り見送ってくれた。


馬車はスピードに乗り始め家は見えなくなった。


「なんだこれ」

馬車の中にはぽつんと犬のぬいぐるみが置いてあった。一人さみしかった僕はぬいぐるみを抱きながら外を眺めていた。ぬいぐるみを抱いているなぜか安心できた。


「ボウズ、王都で行ってみたいところはあるのか?」


「大きな時計塔に行ってみたいです」


「そうか~そんなら明日には連れてってやるよ」

おじさんと少し仲良くなった頃にはお昼になっていた。


「これ、おじさんの分です」


「おう、ありがとな」

僕たちは弁当を食べた。

僕は再びぬいぐるみを抱きかかえ外を眺めていた。見たことの無い景色だったので飽きはしなかった。


やがて馬車は大きな門の前に止まった。門の近くに居た兵士が馬車に向って歩いてきた。


男は振り返ると。

「ボウズ、俺がいいって言うまで絶対に喋らないでくれ」


「わかった」

男は馬車に魔法を掛けた。


「入国紋を提示せよ」

男は首から下げていたものを取り兵士に渡した。


「確かに入国紋だ、次は荷台を確認させてもらう」


「おう」

兵士は馬車の後ろに行き荷台の布をまくった。


「何も無いな」

兵士は男のもとに戻り入国紋を返した。


「入国を許可する、通ってよし」


「おう、感謝する」

馬車は進み始め大きな門を抜けた。


「ボウズ、もういいぞ」


「うん」

僕が喋ると魔法が解けた。


「あと少しで家に着くからな、もう少し待ってくれ」

僕は馬車のから町を眺めていた。道の脇には貧相な家が並んでいたが、国の中心に向かうにつれて店が沢山並び、少し豪華な家が現れた。


「着いたぞ」

僕は犬のぬいぐるみを抱きかかえ、鞄を背負い馬車を降りた。僕が降りると馬車は男の指輪に吸い込まれるように消えてった。


「こっちだ、入ってくれ」


「おじゃましま~す」

家の中は素朴だったが裕福そうだった。


「あら、この子がカケルくん?かわいいわね~私アンナ、よろしくねー」

家に入ると明るいお姉さんがいた。


「よろしくお願いします」


「自分のお家だと思って過ごしてちょうだい」


「ありがとうございます」

元気に答えた。


「お~い、こっちだ」

僕は走って男のもとに向った。


「ここがおまえの部屋だ、好きに使ってくれ」


「ありがとうございます」

部屋にはベッド、机、クローゼット、箱が置いてあった。


「何か訊きていことがあったら俺に言ってくれ、あと、もう少しで夕飯だから、その箱を片づけたたらこいよ」

男は部屋から出ようとした。


「おじさん」


「おぉ、どうした?」

半分閉まった扉から頭をだした。


「このぬいぐるみ馬車から持ってきてしまったんだけど...」


「おぉ、それか忘れてたな」

男が魔法を唱えるとぬいぐるみは光り出した。おじさんは魔法を唱えると部屋から出て行った。

一瞬強くぬいぐるみは光った。


「ワン、ワン、ワン、ワン」

眩しくって目を閉じていた僕の顔を何かが嘗める感触がした。


「コロー」


「ワン」

僕は時間を忘れてコロとじゃれ合っていた。


「あっ、そうだった、おじさんに言われたことを済ませなくちゃ」

僕は鞄をベッドに起き部屋にあった箱を開いた。箱の中には僕の服がぎっしり詰まっていた。


「急ぐぞコロ」

僕は服をクローゼットにしまうとコロと部屋を出た。

今週金曜次話投稿予定

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