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ある魔物使いの成長物語  作者: 剛田タケゾウ
子供編
4/8

来訪者(1)

子犬の名前はコロになりました。

ピクニックから数日後


「トン、トン、トン」

扉を叩く音に起こされた。


母が扉を開くと、がたいの良いこんがり日焼けした男が立っていた。

「よぉ、元気してたか」


「元気よ、あんたは変わらないわね」


「まぁな」

男が家に入ってきた。


「ここに座って」


「おう、すまん」

母は男を机に座らせた。


「紅茶入れるわ、砂糖とミルクはいるわよね」


「おう、砂糖いっぱいで頼む」


「あんた、若い頃と同じ生活をしてたら病気になるわよ」


「俺は根っからの甘党だからな、大丈夫だ」

男は誇らしく言い、母は苦笑いした。


僕はベッドから出て母の居る方に向った。

「ママ、おはよう」


「おはようカケル、顔を洗っておいで」

黙って頷いた。


「おぉ、ボウズじゃねぇか大きくなったな~」

男は僕に近づき大きな手で僕の頭を撫でてきた。


「うぅぅぅ」

僕の頭は左右に揺らされた。


「すまん、つい強くしてしまったな」

僕は大きな手から解放されて外へ歩いて行った。外には馬車が置いてあり、その側でコドラが休んでいた。


「赤ん坊だったボウズがこんな大きくなっていたとはなぁ」


「もう、10歳ですからね、月日が経つのは早いわね」


「そうだな、あれから九年になるか...」


しばらくして

「はい、紅茶」母はこれでもかというほど砂糖を入れた紅茶を男に出した。


「おっ、ありがと」

男が紅茶を飲んだ。


「久しぶりに飲んだがエレナの入れる紅茶はやっぱ、うめぇな~」


「いつもありがと」

微笑みながら言った。


僕が顔を洗い戻ってくると

「朝ご飯出来てるわよ、ここに座って」


「はーい」

僕は机に座った。


しばらくすると、美味しそうな匂いに誘われコロがやってきた。

「おはようコロ」


「ワン」

コロは元気に挨拶をした。

僕とコロは一緒に朝ご飯を食べた。


朝ご飯が終わると

「カケル、今日はコロと一緒に外で遊んできてちょうだい」


「はーい」


「ワン」


僕は動きやすい服に着替えた。

「これお弁当だからお昼に食べてね、コロの分も入っているから」


「はーい、いってきまーす」


「気をつけていってらっしゃい」

僕とコロは勢い良く家を飛び出した。

=========================================

「おまえが俺を呼ぶって事は何か起こったのか」

母も机に座った。


「この前、ルコ山にピクニックに行ったとき奴らがいたの..」


「本当か、で何人いた?そつらの名前はわかるか?」

男は顔色を変えて言った。


「男二人で、残念だけど見たことない人」


「何か特徴は無いか?」


母は少し考えた後

「二人は兄弟みたいだったわ、兄のほうは奇妙な色のゴーレムを召喚してたわ」


「うぅ~ん」男は考え始めた。


「もしかすると、デコボコ兄弟かもしれんな」


「何体もの属性ゴーレムを召喚する兄デコワトルと超巨大ゴーレムを召喚し大地を砕く弟ボコルド、四年くらい前、学院の大会で上位に入っていたやつらだ」


「違うか?」

男は記憶を手の上に映し出す魔法を唱え母に見せた。


「おそらくその人達だわ、ゴーレムの色が同じだもの」


「てことは、デコボコ兄弟だな」


「奴ら、まだおまえを探しているのか、まったくクソやろう共だぜ」

母は微笑んだ。


「あんたに頼みたいことがあるのだけど...」


「俺に出来ることなら何でも言ってくれ、あいつにはデカイ借りがあるからな」男は微笑みながら言った。

=========================================

家を飛び出した僕は湖に向っていた。


「今日はキラキラな魚見つかるかな~」


「ワン」


「コロは見つかると思うんだな、今日はいつもと違う気がするもんな~」


「ワン、ワン」


湖に着いた。

「僕はこっち探すから、コロはあっちね」


「ワン」

僕とコロは湖の周りを駆け回った。


しばらくして

「コロー、そっちに居たかぁ-」


「ワゥ~」

コロと合流した。


「やっぱり見つからないな~、お腹すいたしお弁当にするかコロ」


「ワン!」


僕とコロは平らな岩に座って弁当を取り出した。

「これはコロの分な」


「ワゥ~」


弁当を開いた。

「うわぁ~大好きな唐揚げだ~」


「いっただきまーす」


唐揚げに箸をのばそうとすると

「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」


腹の鳴る音が聞こえた。

「コロか?」

コロは首を左右に振った。


辺りを見渡すと木の後ろからこちらを見つめている男の子が居た。男の子は僕の視線を感じすぐに隠れてしまった。


コロと僕は弁当を置き木に近づいて行った。

「ぐぅぅぅぅぅぅぅ」再び大きな音が響いた。


コロは木の後ろに駆けて行った。

「ワンワン、ワンワン」


「うわぁ、こっちくるな~」

男の子は、コロに押し倒され顔を舐められていた。


「やめろ、やめろ、やめてくれ~」

僕が男の子に近づくとコロは離れた。


「まったく、顔がベタベタではないか」

手で顔を拭いた。


「大丈夫?」


「大丈夫ではないわ、まったくしつけをしてないのかおぬし」

怒った様に言った。


「ワン、ワンワンワン」

コロは嬉しそうに男に再び近づこうとすると


「来るな、来るな、僕に近づくんではない!!おまえー見てないで早くその犬をどうにかしろーーー」


「ははは、コロは君のこと好きみたいだね」


「ワン」

元気よく返事をすると男に飛びついた。


「やめてくれぇぇぇぇーーーー」

再び顔を舐め始めた。

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