嵐の夜
今夜は嵐、絶えず雷が鳴り響いていた。
ピカ、ゴロゴロ、ピカ、ゴロゴロゴロ
「もう、寝る時間ですよ」
カケルは、母にだっこされベッドに一緒に入った。
僕は、眠れないで母を見つめていた。
「どうしたの?カケル」
「ママ、雷が怖いよぉ」
母は僕の頭を撫でた。
「それなら「魔物使いの伝説」の絵本を読んであげましょうか?」
「うん」
母は僕が眠れないときにいつも本を読んでくれた。
母はベッド近くにある本棚から一冊の本を取り僕に開いて見せてくれた。その本は他の本と明らかに古さが違った。
「昔々、ある邪悪な魔物が生きていた。・・・」
母は話し始めた。
===邪悪な魔物は、他の生き物を喰らいその生き物の力を得ることができた。魔物はそのことに気付きすぐに他の生き物を喰らい始め、魔物は強大な力を持つようになっていった。
やがてある土地のヌシ、何百年も生きている巨大生物すらもその魔物に敗れ魔物に喰われていった。山や海からは生き物が消えていった。
喰らうものがなくなった魔物は山の木や川の水などを喰らい始めた。木や水には自然の力が宿っていた。川は干上がり山は壊れていった。
さらに力を得た魔物は朽ち果てた土地から移動し新たな力を求めた。
魔物は人間を喰らい始め、賢さを得ていった。
多数の大きな村な国さえもその魔物に崩壊させられた。あらゆる生き物が邪悪な魔物怯え絶望していた。
そんなとき、ある男が邪悪な魔物のまえに現れた。その男は数体の小さな使い魔をつれていた。
「そんなザコでは俺様にはかてんぞ」邪悪な魔物は笑みを浮かべその男にいった。
「戦ってみなければわからないだろう」男も笑みを浮かべて魔物にいった。
「すぐに喰い殺してやる」魔物は男の言葉に激怒した。
戦いは始まった、邪悪魔物はすぐに決着がつくと思っていた。しかし邪悪な魔物は男におされていた。
男は不思議な力を使い、使い魔をもとの可愛らしい小さな生き物から感じたことのないオーラを纏う威厳のある魔物に変身させていた。
とうとう邪悪な魔物は追い詰められた。男が邪悪な魔物にトドメをさそうとしたとき、邪悪な魔物は最後の賭けにで進化を試み始めた。
不幸なことに進化は成功してしまった。邪悪な魔物は漆黒のオーラを纏い始めた。それを見ていた男は危機を感じすぐに邪悪な魔物を封印しようと試みた。封印は成功した、進化の過程で邪悪な魔物は膨大な力を使っていた。
邪悪な魔物が封印され世界は平和になった。===
「・・そして魔物を封印した男は英雄として語り継がれていったとさ、おしまい」
「寝てしまってわね」
母はそう言いカケルに毛布を掛け一緒に眠った。