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凡人と神様  作者: 遺志又ハ魂
第一部 【詰まらない物語】
20/72

第19話 『兎の穴の秘密』

「ただいま〜……って、誰も居ないか」


担任教師とクラスメイトの襲撃を受け、満身創痍で帰宅……とはいえ、傷一つないのだが。

しかしながら精神的に疲労困憊だ。休もう。


「ん?」


玄関のドアノブを開けると、そこは真っ白。

明るいとか、そんなことではなく、白い世界。

キョトンとして、中に一歩足を踏み入れると。


「バイバーイ! テクノ君」


背後から女の声がして、振り向く。

そこにはクラスメイトの女子がいて。

気さくな彼女は可愛くこちらに手を振って。

バタンと扉が閉められた。内側にノブはない。


こうして俺は、白い世界に閉じ込められた。


「とりあえず、休むか」


しばらくウロウロして、諦めた。

その場に座り込んで、寝転がる。

真っ白な世界。けれど、そこは乱雑だった。


床に色々な物が散乱している

寝転がりながら、一枚の紙片を手に取る。

そこには賞金首となった、俺の写真が。


金額は……いち、じゅう、ひゃく、せん、まん。

こらこら、ゼロが多すぎだろ。


だいたい40億円くらいの値がついている。

それが高いのか安いのかはわからない。

その賞金目当てに閉じ込められたっぽい。


このままどっかに引き渡されるのだろうか。


ぼんやりとそう予想しながら、手配書を読む。

そこには俺の蛮行が事細かに記されていた。

しかし、生徒会長との戦闘については憶測の部分が多い。俺は彼女を陵辱なんかしてない。


あの時は神の結界の中での戦闘だった。

だから、内部の出来事は詳細不明らしい。

その結界から、俺が1人で出てきたわけだ。


そりゃあ俺が犯人だと誰でもわかるか。


とはいえ、結界を張ったのは神だけど。

ともあれ、会長を陵辱した俺は担任を殺害。

この時点で吸血鬼であると疑われている。


ははぁーん。そういうことか。

これと同じものを見て、あのヤンキーは俺を襲撃したわけか。異能力者の新聞みたいだな。

一方的に感じていた運命とはいえ、生徒会長を殺された彼は復讐に駆られたのだろう。


いや、繰り返し言うけど、陵辱はしてないが。


なんだか陰口を聞いた感じがして鬱になった。

才能ゼロの時はこんなことなかったな。

俺が失敗しても趨勢に何ら関与しなかったし。


幼少時の記憶がよぎる。

ガキの頃、神の声が聞こえるって友達に話したらすげーって驚かれて、コックリさんをした。

すると、『ち ん ち ん』なんて有難い下ネタのお告げが盤上に示されて、大層喜ばれた。

もちろん、信じてくれなかったけどな。

それでも、笑い話で済んだのだ。


だから、人から嫌われるのは初めてだ。


手配書の自分と睨めっこしながら、へこむ。

才能を持つってのは、疎まれると同義か。

そのことを思い知らされて、ため息を吐く。


とにかく、気分を変えようと思い、床を漁る。

いろんな物が落ちていて、中には下着なども。

気さくなクラスの女子の下着は、黒だった。

しかもスケスケ。なんとTバック。マジかよ。


爽やかな明るい彼女はわりと人気者だった。

エロさは皆無で、会長とは正反対の性格。

男子とも分け隔てなく気軽に接する女子。


そんな良き友人がこんな下着を穿いてるとは。


遺憾だ。由々しき事態だ。けしからん!

俺は血眼になって、黒パンの片割れを捜索。

すぐに見つかった。黒のレースのブラ。


サイズを確認すると……Eカップ、だと?


そんな馬鹿な。おいおい、待ってくれ。


クラスでの彼女はせいぜいCくらいだった。

それがDを通り越して、Eに至っているとは。

俄かには信じ難い。実に不可解である。


考えられるとすれば、カップの偽証。

普段はあえて小さめのスポブラを着用して周囲を欺いているか、それともこれは見栄で購入したぶかぶかのブラで、気になる相手との勝負の際にしこたまパッドを詰め込んで相手をその気にさせているかのどちらかだ。


前者に関しては意味がわからない。

何故胸の大きさを隠す必要があるのか不明。

Eカップを隠されたこちらの身にもなれ。


後者に関しては完全に有罪だ。ギルティー。

男の夢を踏みにじることは絶対に許されない。

それに相手がその気になったとしても脱いだ時点で即バレが必死なので、その作戦はそもそも成功していないと思われる。無駄な労力だ。


考察をしながら、ブラの匂いを嗅いでいると。


「んん? なんだ、この薄い本は」


非常に薄い本を見つけて、拾い上げる。

タイトルは、『オネショタ万歳』。

表紙には年端のいかない少年と大人な女性。

開かずとも、中身が透けて見えそうだ。


……なるほどな。


どうやら気さくな彼女はショタコンらしい。

すると、このブラはその為のアイテムか?

大っきい胸を演出して、ガキを誘う道具か?


それとも、高3男子にはEカップを晒すつもりはないってことか。ふざんな。見せろよ。晒せ。


憤りながら、薄い本を熟読した。

立場はどうあれ、それなりに楽しめた。

かなりの蔵書があり、全て読み終えて、休憩。


目が疲れたな、と思って、思いつく。

そういや、水使いのスキルを手に入れたな。

冷たい水で目を冷やそうと思って、実践。


「それっ!……って、いってぇっ!?」


人差し指を目に向けて、噴射。

すると思ったよりも勢い良く目に当たった。

とはいえ、強めの水鉄砲程度であるが。


水を出したまま、悶絶して、転がる。

周囲はびちゃびちゃだ。えらいこっちゃ。

すると、部屋全体に悲鳴が響き渡った。


『冷たっ!? ちょっと、何してんの!?』


白い世界の天井が開いて、外の世界が見える。

気さくなクラスの女子の大きな瞳が覗く。

ずいぶん小さく収納されているらしい。


まるで兎の穴に転がり込んだアリスだな。


なんて思って見上げていると。

気さくな彼女はぎょっとして目を見開いて。

慌てたように何やら怒鳴り散らした。


『こらっ! 人の物に勝手に触らないで!!』


はて、なんのことだろう、頭を掻いて気づく。

パンツとブラを被ったままだった。

いやはや、恥ずかしいところを見られたなぁ。


なんて照れていると、ふわりと上昇。


「うおっ!?」

『さっさと出て来なさい! この変態っ!!』


女子からの変態呼ばわりもそろそろ慣れた。

俺は呼び寄せられるまま、外へと出た。

そこは、見覚えのない路地裏だった。


「早くパンツとブラを返しなさいよっ!」

「ああ、悪い。その前に、教えてくれ」

「何よっ!?」

「お前本当は何カップなんだ?」

「そんなことあんたに関係ないでしょっ!?」


顔を真っ赤にして、彼女は飛びかかる。

俺をそれをなんなく回避して、肩を竦める。

やれやれ。こうなったら、仕方ないよな。


「それなら身体に直接聞くまでだ」

「……手配書に書いてた事、本当だったのね」

「は?」

「テクノ君がそんな鬼畜だと思わなかった!」


手配書に書いていたこと?

あの会長を陵辱したって記事か?

そりゃ根も葉もない嘘っぱちだ。捏造である。

まあ、弁解しても誤解は解けそうもないけど。


とにかく、言われっぱなしは癪なので。


「俺もお前がカップ偽装のショタコンとは思ってもみなかったぜ。良い趣味してるよな」

「ぶ、ぶっ殺す……!」


火に油を注いだ形で、臨戦態勢。

別に積極的に戦いたいわけじゃないけれど。

彼女のスキルは魅力的だし、それになにより。


「お前のカップは必ず俺が暴いてみせる!」


何としても譲れない闘いが、そこにあった。

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