目覚めの同行者
早朝、窓から差し込む朝日で目を覚ましたアラキ・・・。寝ぼけた目を擦り、目線を下に向けていく。すると目を疑うような光景があった。そう、なぜか悲観狼が寝ているのだ。
どういうことだ!?あまりの驚きに動揺するアラキ。起きたばかりの脳をフルに働かせて、昨夜のことを思い出す。
確か悲観狼が食事の時、強引に横に座ってきて・・・。その後は疲れでベットに倒れこんだ・・・。あれ?悲観狼が俺の横に寝ている理由がわからない・・・。アラキはとりあえず悲観狼を叩き起こした。
アラキ「おい!起きろ!なぜお前が俺の隣で寝ているんだ!」
すると悲観狼は目を擦りつつ起きた。
悲観狼「もうMorningかい・・・?こんな早くに一体どうした・・・?」
アラキ「うるせぇ!いいから俺の質問に答えやがれ!なぜ貴様が俺の横で寝てやがる!」
悲観狼は答えようとしない。それどころか赤面している。アラキはなぜ赤面しているかはわからなかったが、悲観狼が自分に何かしたことは分かった。
アラキ「お前・・・、まさか・・・」
何かを察したアラキが発言しようとした瞬間、それを遮るかの如くノックがした。
ユミィ「アラキく~ん!おはよう!朝よ~」
ユミィが起こしに来た。だがこの状況を他の奴らに見られる訳にはいかない。変な誤解をされてここからの旅先、変に気を遣われるのは明白・・・。とりあえずアラキは普通に返事をすることにした。
アラキ「うるせぇ!もう起きとるわ!とっとと朝風呂にでも行け!」
ユミィ「もう・・・アラキ君・・・。朝からお誘い・・・?」
アラキ「なんでそうなるんだよ!いいから行ってくれ!」
ユミィ「わかったわよ・・・。じゃあ私はキレンコフさんと悲観狼さんを起こしに行ってくるわね!」
まずい!今ユミィに悲観狼の部屋に行かれたら・・・。悲観狼捜索網が張られるのは確実・・・!
アラキ「待てッ!悲観狼は俺が起こしに行く!」
ユミィ「あら?どうしたの?」
アラキ「な、何がだよ!とりあえず俺が行くからお前は木偶の坊を・・・」
ユミィは不思議そうな顔をして、キレンコフの部屋へと向かっていった。ふぅ・・・。とりあえずは一安心だな。そう安堵したアラキは、先ず悲観狼を部屋から追い出すことが先決だと判断した。
アラキ「おい、とりあえず部屋から出ていけ!」
悲観狼「Roomから・・・?OK・・・。」
お?やけに素直に部屋から出て行ってくれるようだ。
アラキ「じゃあ早く・・・」
悲観狼「一つ条件がある・・・。今日一日俺と一緒にSityを廻ってくれ・・・!」
アラキ「は!?なんでs」
悲観狼「廻ってくれないなら俺はお前と手を繋いで下に降りていく・・・。いや・・・これではRiskにはならないな・・・冗談じゃねぇ・・・。」
アラキ「わ、分かったから早く出て行ってくれ!ユミィ達が来る前に!」
悲観狼は渋々部屋から出て行った。しかし困ったことになった。今日一日、悲観狼とデートになってしまった。先ほどの安堵は絶望へと変わった。昨日会ったばかりの奴と、しかも男にデートの約束を取り付けられてしまったからだ。
ユミィ「アラキ君!朝食よ!皆もう集まっているわよ!ん?どうしたの?」
アラキ「あ・・・あ・・・」
蛻の殻になったアラキ・・・。彼はこの早朝の朝日を悲観した。孤独の中で・・・。