兵隊と貴族は大抵無能か悪人
第一部完成です
中世ヨーロッパの世界観を作るには大事な要素がある。
政治体制、そして兵士。
未だに代わる事がない議事堂の奥で、男は官僚に呼びかけた。
「僕も一人だと目が届かないから、全国に直属の部下が欲しい」
彼の頭の中に有ったのは大名や貴族では無く、欧州式の地方自治に近い何かだ。
自主性を持った地方が国に恭順する。
欧羅巴の貴族と君主の形とは全く違うが、彼はそもそも中世欧羅巴の事などなろうの中世ファンタジー以上の知識は無い。
魔法使いが居てオークが居て、とそんな具合でしかないから、自主性をもった貴族と自主性を持った地方自治体の政治家の違いなどなんとなくしか判らない。
「しかし」
官僚の一人は意見する。近代日本は中央集権国家で回してきた。と。
民主主義は死んでいるとはいえ、誰かがまとめなければならない。と
「なに。国って名をうつけどあくまで地方のお目付け役だよ。地方の意見を吸収するための形だけの自治さ」
そう言われれば、官僚も意見をひっこめる。実際地方議会はいろんな国にあるわけでそれの亜種だと思えば良い。
そしてその意見は通った。
志願者からくじ引きで選ばれた「貴族」達。彼らの認識は貴族らしく振舞おうなんて一ミリもなく「統治者のお手伝い」「現地での責任者」「立派な仕事を任せてられているから給料が高い」程度の物。
そしてその自治を象徴する形だけの地方軍が各地に配備された。武装は槍や剣。
日本刀はいささか街並みに似合わないと、洋式のサーベル拵えで配備された。
そして中央の彼はその上に立つ「王」としてただ降臨する。
このようにして、この日本国はなろうのなんちゃってファンタジーのような世界になったのである。
End
無論まだ続きます。