エルフがオークに襲われる話でマッチに文句をつけるあほう
ここで一つ、彼が思いもしなかった事が現れた。
服装の変化だ。どこから始まったのか分からない流行と言うもの。
町に合わせて中世風の服装を着るのが流行った。みなよく出来た合皮のジャケットを来て、綿と麻の間のような感触のナイロンのズボンを履いた。女性たちはスカートやズボン。人によっては男装なども好む人が出てきた。
そして彼はその勢いにまかせて、各種メディアを使って生活習慣の改革も煽った。
トマトを使った真っ赤な洋風の食事。ナイフとフォーク。タバコを呑む男たちに、燐寸。
和風の食事がしたければ、そう言った店に行けば良い。遠くの国からきた食事文化は物語のエッセンスとして大事な事だ。
そしてそれらは誰も知らない内に法律となった。
無粋な事を言えばズボンを履いた男装の女など近代以前はごく少数だったし、フォークは貴族のもの、トマトやタバコは新大陸だし、燐寸などは18世紀のもの。
でも「流行」においてそんな事気にする奴なんてただのオタクだけだし、彼もそこまで無粋な読者じゃなかった。それに急な改革も民衆としては別にインターネットとテレビ、まぁいつも通りの娯楽があれば文句をつけなかったし、彼もなろうの小説を読みたかったから王様らしくメディアや娯楽規制などしなかった。