1話
よろしくお願い申し上げます。
【生命の樹】
それはそれは大きな樹である。
そのれは天使族が産まれる命の樹、母なる樹だ。
かの樹には色とりどりの卵が実っており、揺ら揺らと風にそよいでいた。
樹の麓には赤・青・緑・茶・黄・白等の様々な髪の天使達。
彼等の中から白銀の髪の女性と黄金の髪の男性が前に進み出て、彼の木の前で膝を降り祈りを捧げていた。
「ーーーーーーー」
女性が言葉を発するとその樹は光り輝き、その幹に一つの虹色の卵の実を付けた。
その光景を目にした他の天使達は喜びの声を上げ、かの2人の前に膝をつき最大の敬意を示した。
その後彼等は1人の白色の髪をした少年を1人残しその地を飛び去った。
それから数十年後。
時が満ちるに連れ1人、また1人と色とりどりの卵から子供が生まれていった。
◼️◻️◼️◻️◼️◻️◼️◻️
その樹の前には、翡翠の瞳が印象的で、白い髪が映える緑の生地に金の葉の刺繍が施された縫い目が無く、裾が足首迄有るワンピースの様な服を着た青年が立って居た。数十年前に1人残ったあの少年だ。
青年は【生命の樹】に片手を添える様に置き何かの言葉を発した。
「ーーーーーーー」
すると生命の樹が光だし、生命の樹に成る一つの卵が白光を帯びて輝きゆっくりと地面に落ちました。
ー ⁇⁇ ー
何故私がこの場所にいるのか分かりません。しかし、凄く神聖な場所な事は分かります。周りの風景は一面野原で少し離れた場所に小川が流れている。
一体私に何が起こったのでしょうか。
「まさか…こんなに早くお生まれになるなんて…」
卵の木を見ながら考えていたら、透き通る綺麗な声が聞こえました。
その方向を見ると驚きの表情で此方を見ている翡翠の瞳が印象的な白色の髪をしたとても綺麗な青年がいました。
「あなたはだれ?」
「私は【生命の樹】の番人にして守護天使のラウリル」
「せいめいのき?」
「貴女様が産まれた樹の事です」
「どうしておどろいていたの?」
私の質問に文句も言わず優しく応えてくれるラウリルさんも、私の最後の質問には困った顔をして微笑み、膝をつき礼をとり話し始めました。
「この生命の樹は始め、親となる者が【祈りの祝詞】唱え、この世界の神【ゼウス=リウス】に認められた者の卵のみが身をつけます。そして私の様な番人がある一定の時期に【祈りの祝詞】を唄い卵を熟成へと導く儀式を行い羽化させるのです。その為彼等は1人だったり、複数だったりと生まれいでる時期はバラバラですが、その殆どの者がこの祈りの祝詞最低でも8回は行わなくては羽化はないのです。しかし…」
「わたしはそのかいすうをおこなうまえに、うかしてしまったのね?」
「はい。しかし、この後貴女様に行っていただくのは他の者と同じです」
早く羽化してしまい申し訳ない気持ちで落ち込んでしまった私の意識を変えるように、ラウリルさんはある方向を指差して話を続けました。
「ほら、あの小川の上流にある白い樹を目指してください。
本来なら私がご案内しなければならないのですが、何分私はこの場から離れられぬ身。ご了承下さい。世界樹までは危険は有りませんが十分にお気をつけ下さい」
ラウリルさんの言葉に私が頷くとふんわり微笑んで下さいました。目の保養になります。(←ちがうでしょ)