第21話 --ワタまるの大手柄?--
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和ら木の昼下がり。
三郎はお茶を淹れながら「今日はどんなお客さん来るかな」とぼんやり思っていた。
カリスはまだ現れていない。いつもなら「今日はこんな方を!」と連れてくるのに、不思議なくらい静かだ。
そのとき——
ちりん、とドアベルが鳴く。「来た!」と思ったら、入ってきたのは小さな少女。まだ10歳にも満たないくらいだろう。
きょろきょろと店内を見回し、不安げに立ち尽くしている。
「あれ、カリスさんは……?」
視線を落とすと、足元でワタまるが得意げに「ぽふっ!」と鳴いた。
どうやら自分で少女を連れてきたらしい。
少女:「あ、あの……」
「いらっしゃい。どうかしましたか?」
少女:「……お母さんを探してたら、ここに連れてこられて……」
「(……ただの迷子じゃないか!)」
ワタまるは胸を張って「ぽふー!」と鳴き、まるで「立派な相談者を連れてきました!」とアピールしている。
そこへカリスが遅れて現れる。
カリス:「あっ! 三郎さん! ……って、え? なんで子どもが?」
「いや、ワタまるが連れてきたんですよ…。」
カリス:「えぇぇ!? 相談者のスカウト権を横取りされたっ!?」
ワタまる:「ぽふっ(どやぁ)」
少女の不安げな顔を見て、三郎はすぐに決断した。
「市場に行きましょう。きっとお母さんも探してます。」
少女の手を取り、ワタまるとカリスを連れて町へ急ぐ。
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市場は人でごった返していた。
「娘を見なかったか!」と叫ぶ母親の声が響く。
少女:「お母さん!」
母親:「ああ、よかった!」
親子は抱き合い、涙ながらに再会する。
三郎は胸をなでおろし、ワタまるは「ぽふー!」と飛び跳ねて大はしゃぎだ。
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その後、和ら木に戻り、全員でお茶を囲んだ。
少女と母親は改めてお礼を言い、店を後にする。
「……うーん。これって相談解決って言えるんですかね?」
カリス:「まあ……笑顔になったなら、それで十分でしょう…?」
ワタまる:「ぽふ!(胸を張る)」
カリスは苦笑しつつ、仕方なさそうに宣言した。
カリス:「今回わたマルに……“頑張ったでしょう”+3ポイント!でも私の役割奪ったらだめだよー?」
ワタまる:「ぽふーーっ!(大満足)」
和ら木には今日も、笑いとちょっとしたドタバタが広がっていた。




