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番外編 --カリスのドタバタ相談者探索--


朝の和ら木。

いつものように掃除をしていた三郎の目の前に、突然カリスがふわりと現れた。


カリス:「ふふふ、三郎さん。今日は私の“お仕事裏話”をお見せしましょう!」


「お仕事……裏話?」


カリスは胸を張って宣言した。


カリス:「はい! 三郎さんに相談者をお連れしているのは私ですが……実は毎回、ものすごく大変なんですよ!」


ワタまる:「ぽふ?」



---


◆リオの場合


カリス:「最初はリオさん。あのパン屋さんで働いてた青年ですね。

あの日も実は、パンを買いに行ったら“ぐったりしてる人”が見えて……。

『あ、これは三郎さん案件だ!』と思って、強引にエプロンを脱がして連れ出しました!」


「強引だったんだ……」


カリス:「でもね、リオさん、パン生地を捏ねる手を止めてくれなくて! 私が台を押さえてようやく説得したんですよ!」


ワタまる:「ぽふー(目に浮かぶ)」



---


◆アルベルトの場合


カリス:「次は自称ジャーナリストのアルベルトさん。あれは……正直、連れてくるの悩みました!」


「だろうね」


カリス:「広場で“新聞”を大声で売り歩いてたんです。近づいたら、自分の名前をフルネームで名乗って止まらない! でも三郎さんなら正しく受け止めてくれると思って……つい、がんばっちゃったんです。」


「僕が泣くことになるとは思わなかったけど」


カリス:「あれは予定外でしたねぇ……」



---


◆アメリアの場合


カリス:「アメリアさんは……本当に難しかったです。子育てに悩む母親って、プライドもあるし、知らない人には心を開かないでしょう?」


「確かに」


カリス:「だから私は、あえて彼女の子どもと先に仲良くなって“お母さんも一緒にどうぞ!”って誘ったんです。

……ええ、子どもと一緒に泥んこになりながら!」


「(笑)その苦労は知らなかった」



---


◆ユリウスとリアンの場合


カリス:「ユリウスさんは……夜中に仕事で倒れてるのを見つけて。揺すっても起きないから、ワタまるに“ぽふぽふ攻撃”してもらってようやく起きてもらいました!」


ワタまる:「ぽふ!(誇らしげ)」


カリス:「リアンさんは窯の前で『これは失敗だ!』って器を叩き割ってて……危なくて仕方なかったから、私が必死に押さえ込んで連れてきました。

いやぁ、火花が散る現場でしたね!」



---


◆セリナ先生の場合


カリス:「セリナ先生は……学校で見たとき、あまりにも真剣で“怖い”って思ったくらいでした。

でも、帰り道で一人で立ち尽くしてる姿を見て……あ、この人、三郎さんに会わせなきゃって。」


「なるほど……」


カリス:「ほんと、みんな表と裏が違うんです。私、探すのも連れてくるのも命がけなんですよ!」



---


◆アークの場合


「じゃあ、アークさんは?」


カリスは得意げに指を立てた。


カリス:「あの方は旅人ですからね! 最初は“また長旅の人かな”って思ったんです。けど、目を見た瞬間、背負ってる人生が違うって分かりました。だから声をかけたんです。……そしたら、あの長い話! 三郎さんでも疲れたでしょう?」


三郎:「いや、疲れたというより……胸にきたけど」



---


最後にカリスは胸を張った。


カリス:「というわけで、毎回大変なんです! 三郎さんが『よくやってますよ』って言ってくれるけど、本当にドタバタなんですよ!」


三郎は苦笑しながら、深々と頭を下げた。


「……ありがとう、カリスさん。あなたのおかげで、僕は多くの人と出会えている。」


カリスは顔を真っ赤にして、ふわりと舞い上がった。


カリス:「……えへへっ、次もがんばって探してきます!」


ワタまる:「ぽふー!」


夕暮れの和ら木は、笑い声で満ちていた。



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