片想いの彼と、初めてのごはん①
12月22日(日)冬至の翌日。
17時に大阪駅の改札前で
待ち合わせをしていた。
すごい人の波で
頑張って見渡してみるけれど
彼の姿は見つからなくて
私は自分の位置を連絡した。
すぐ既読になったけど
そのあと数分音沙汰がなく。
もしかして…???
と一瞬にしてすごく不安になる。
急に会いたくなくなって
何か理由を考えているんだろうか…
なんて考え始めて
とびきりオシャレして
ひとりで立っていることが
とても恥ずかしくて。
カップルやグループが
たくさん行き交う中
急に心細くなった。
だけど
ちょっと待って!
と自分の中で声がした。
1年以上彼を見てきて
そう思うの?と。
いや!彼はそんなことしない。
それならそれで
行かないって最初に言うか
もっと前もって言ってくれる。
そう感じてから
「待つ」と決めた。
10分ほど経つと
彼から連絡が来た。
時間を30分勘違いしていて
今電車に飛び乗ったと。
お待たせしてすみませんと。
着いたらすぐに向かいますと。
私はほっとして
同時に彼らしいなと思って
安心して待つことにする。
でも今度は
胸が激しく鼓動し始めて
急に前を向けなくなった。
彼を探すことが
緊張してできない気がする。
彼にすごく会いたいのに
彼と目が合ってしまったら
どうしよう…とか。
キョロキョロ探すのは
ちょっとダサいかな…とか。
そんなことを考えてしまって
全くいじりたくないのに
スマホのアプリを
適当にひらいてはとじる
を何回か繰り返した。
ふと腕に目をやると
彼が何分に着くと言った
その時間になっていて
私はいっそう下を向いた。
胸はドキドキで
張り裂けそうだった。
そして
ついにそのときが来た!
顔を上げたら
そこに彼が立っていた。
息をついて
とても急いで
走ってきた感じがする。
1ヶ月半ぶりに見る彼は
とっても爽やかで
本当にかっこよくて
私の胸はまたいっぱいになる。
本当はずっと
見つめていたいのに
恥ずかしくて
私はすぐ視線を落とした。
彼はすっごく謝ってきたけれど
そのときの私には
遅れてきたことはどうでもよくて
ただ来てくれたことが
素直にとても嬉しかった。
あんなに長く感じた時間も
たった15分ほどだった。
2人でお店に向けて
歩き始める。
私は方向音痴だから
お店の場所を彼に伝えて
なんとなく斜め後ろよりの
彼の横を歩いた。
ときどき彼の着ている
ダウンジャケットの袖と
私の腕が当たって
カサっと擦れる音がした。
その音が聞こえる度に
私の胸は高鳴った。
“こんなに近い距離にいる”
そう思うと
それだけで幸せだった。
彼は本当にしっかりしていて
彼の横を歩くのは
想像よりずっと安心できた。
歩いている間は
本当にどーでもいいことを
話した気がする。
最近忙しいですか?とか。
寒くなりましたね〜とか。
僕は暑いです!とか。
ひとつひとつが
もっと味わいたいのに
スーッと消えていって
すごく名残惜しくて
大袈裟にきこえそうだけど
彼との1秒1秒が
すごくキラキラしていた。
②へつづく。