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◆不思議な箱

「イシル、イシルーッ!」



遠くの方から聞き慣れた声が聞こえ、次にばたばたと急いで走ってくる足音。

…絶対ルナだ。


シルバーグレイの髪を風になびかせながら立っていたイシルは思った。



「ねぇイシルッ、私凄いもの見つけたのよ!」


「……なんだ」



興奮気味のルナを見つめ、短く言うと彼女は目の前に何かを近づけた。

ほら見てみて。と言わんばかりに振ってみせる。



「宝箱。中に何か入ってるかも…。私がうさぎについて行ったら穴があって…」


「ルナ」


「はい?」


「近すぎだ。見えない」

「え?」


「箱のことだ。俺の目の前にある、これのこと」



あ…ああ、そうだね。

と言って四角い箱を少し遠ざけたルナ。




「綺麗な箱だな。…それで、中身は何が入っているんだ?」



俺は、少し興味を引かれた。

箱の表面に宝石が埋め込まれているのだから、中には相応の物が入っているに違いない。

箱はルナの頭ぐらいの大きさで少し小さめだが中身が金貨や宝石でこの大きさなら十分だ。

ルナにしてはいいものを拾って来たな…。



「中身?知らないよ、そんなの。まだ私、箱開けてないもん」



がくっ。

まだ開けてないのかよ…


「じゃあ、開けてみよう。いいものが入ってるかもしれないしさ」

ルナから箱を受け取り、力任せに上と下を引っ張ってみた。


・・・・・・・・が。



開かない。

びくともしない。

…なぜだ…?



「だらしないなーイシルったら。力無いんだから。

私にかして」




いや。

少なくともルナよりは力あると思うぞ?

…ってかもしこれでルナが開けたら男としての面目丸つぶれだし。


そんなイシルに構わずルナは箱を強引に奪い取ると同じ様に引っ張る。


しかしイシルで開かないものがルナで開くはずもなく…。



「……開かないじゃないのよ、この箱」



苛立ちを隠そうともせずに箱をぽかぽかと叩く。

「こうなったら…。えいっ」


ルナが箱を地面に投げつけた。



ぽちっ。



…ん?

微妙な音がした。

普通箱を投げつけたならがんとか、がつんとか、どん、とかであり、ぽちっ、は明らかにおかしい。

何の音なんだろう。


ルナもその音に違和感を持ったようで淡い金の月色の髪をふわりと揺らしながら箱に駆け寄る。



「何か変な音したよねぇ…ん、何これ」




宝石が散りばめられている宝箱。

その真ん中、一際目を引く大きな真紅のルビーが、前に見た時の位置からずれている気がする。


…気のせいかなぁ。


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