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1989年 夏 別れ
1989年 夏 別れ
別れは突然だった。かと言って、こうなることを薄々感じていた自分はいなかったと言えば嘘になる。直樹は勤務先で倒れた日から、より一層仕事にのめり込んでいた。
「ごめん、時間がほしい。だからってみちを引き止める気は無い」
ただそうやって別れる理由には十分でも不十分でもないセリフだった。そのあとは何を話したかも大して覚えていない。
覚えているのは、「お代は俺が払う」と「またな」と言って去っていく姿。
口の中でじわじわと広がるしょっぱい味、汗なのか、涙なのか、わからなかった。
2話連続投稿ですみません。ここまで書いておきたい!と言う意思が強くて連続投稿という形になりました。
人それぞれ恋愛には色々な別れがあると思います。私は去るもの追わずなスタンスです。