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エピローグ

こうやってまだペン走らせてるって自分自身おかしいなと思うよ。家内や子供達、そして姉ちゃんへのエンディングノートみたいなものは書き終えた。


今から書くことは俺の気持ちや考えを最後にまとめたものというか、生涯大切だった人に宛てた誰にも読まれないエンディングノートってやつかな。とは言いつつも、姉ちゃんにお棺に入れてくれって頼むつもりだから、多分姉ちゃんは開いてこれ読むだろうな。


映画名忘れたけど、何かの映画の台詞であったよな。「女の心は秘密に満ちた深い海のようなもの」だって。それは男でも同じだ。まぁ姉ちゃんにならこれから書く内容を知られてもいい。





みちへ、


初めて見かけたときのことはよく覚えてる。綺麗で笑顔振りまいてるくせに、人の話は聞いてない、なかなかな女だと思ったよ。なんか悪口みたいになっちゃったけど、結論いうとそんなみちに惹かれた。


「美人と合コンの組み合わせは嫌いなんだ」なんて言った記憶あるけど、まぁ少々酒も入ってたし、印象付けたくてそんなこと言った。その後も、誰かに誘われるたびに来るメンバー聞いて、みちが来るかもと思ったところには参加した。多分、みちのことだからそれも偶然だと思ってんだろうな。


付き合ってからのことは、言葉には上手く表現できないな。色々なことを経験したし、みちには教えてもらった。俺にもこんな感情あったんだなって正直自分でもびっくりするようなことが沢山あったよ。みちと過ごした約3年間は良い思い出も悪い思い出も昨日のことのように全て鮮明に思い出せる。


だから今思い返すと、余計に「時間が欲しい」なんて言ったことを後悔する。仕事柄、人の命というものを目の前にして、本来なら命より繊細で大切にするべきだった感情や俺たちの関係を見落としていた。それに気づいた頃には、みちは結婚する目前で。


最後に直接会ったあの日。俺1時間も前に喫茶店ついて、どうしたらみちを俺の元に戻せるか考えてた。どんなこと言えば良いかとかさ。でも、左手の薬指につけた婚約指輪とニコッと笑うみちを見て、そんな気は一瞬で消えた。俺には誰かの幸せを大きく覆してしまう度胸も、自我も、独占欲も、図々しさもなかった。みちにはただただ幸せになって欲しかった。それが俺とではなくても。


だから数年前にみちが電話してきたときは本当に胸が苦しかった。みちがどんな思いで俺に電話をかけてきたかを想像すると、喫茶店で結婚を止めとけば良かったって思った。俺にも家族がいるのに、全てを放り出したいとも思った。「俺に連絡しちゃいけない」って言葉は俺自身に向けて、一瞬開けかけた俺の中のパンドラの箱を無理やり閉めるために言ったんだ。決してみちと終わりにしたいという意味で言ったわけじゃない。


なんかこう言葉に書いてみると謝罪文みたいだな。すまないと思う気持ちもだけど、みちには本当はもっと違うことを伝えたい。どれだけ幸せだったか、どれだけみちのことを思ったか。一緒にいたのは数年だったけど、どれだけその数年が人生で辛かったときの光となっていたことか。今もそう、後悔もあるけど笑顔で俺の人生悪くなかったって断言できる。みちと過ごすことができたから。もし俺らまた生まれ変わってどこかで会えたら、その時は迷いなく一緒にいたい。みちも同じ気持ちなら良いな、なんて自分勝手なのは分かってる。それでもそう願ってる。でも、2人とも生まれ変わる前にみちには最後どんな姿であっても会いに行くつもり、俺、直樹としての別れというより「またな」を伝えに。


みち、本当にありがとう。そして俺自身のありったけの「愛してる」を込めて。


直樹より


「ありがとう、愛してる」シリーズ読んでいただきありがとうございました!このシリーズ、実を言うとフィクションとノンフィクションを交えています。作品の中でどこがフィクションでノンフィクションかは皆さんの想像にお任せします。


最後に!「女の心は秘密に満ちた深い海のようなもの(原文: A woman's heart is a deep ocean of secrets)」はどの映画の台詞かな? なんて思った方はググってみてください。私(作者)自身とても好きな言葉です。

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