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追放されるようです

「悪いが、このパーティーから抜けてくれないか?」


 剣士であり、パーティーのリーダーであるアレクはそう言い放った。


「なんだよ……それ……」


 言われた相手は愕然とした様子でそう呟く。


「これは俺だけじゃなくてパーティー全員の総意だ。もうお前は必要ない」

「――ふざっけんな! 納得出来ねえよ!」


 淡々と話すアレクに、相手は怒りを露わにしながら食い下がってくる。


「オレは今までこのパーティーでしっかりと戦士としての役目を果たしてきたつもりだ! お前達だってオレを頼りにしてくれていた! そのはずだろ!?」

「ああ……。それはこちらも素直に認めるよ」

「だったら、何で!?」


 今にも噛みついてきそうな剣幕のその相手に向かって、アレクは冷酷な事実を突きつける。


「何で、って……お前ではもうその役目を果たすことが出来ないからに決まっているだろう」


 そう言って、アレクは対面に座る相手の姿を上から下までじっくりと観察する。

 今一度、その事実を確認するように。


 長く、真っ直ぐに腰まで伸びた金色の髪。

 それは絹糸のように滑らかで、光を反射しキラキラと輝いている。

 

 質素な村娘の衣服を纏っているその身体は、細身ながらも均整の取れた、女性的で綺麗な体型をしていた。肌も傷一つなく、瑞々しくて艶やかだ。

 成育具合は十代半ばの少女といった程度だが、それが却って品のある清楚さを生んでいる。


 さらに、その相貌は、それら全てを凌駕するほどにこれまた美しかった。

 神が極上のパーツを寸分の狂いもなく正しく配置したような整い方。

 こちらもまた身体と同じく、少女という年齢特有の清廉な麗しさを感じさせた。


 今アレクが向かい合っている相手とは、そんな風に透き通るような――まさしく〝美少女〟であった。


「サーク……今のお前じゃ、戦士は無理だ。自分でもわかってるだろ?」


 改めて、目の前の相手――その美少女の姿。

 それが幻覚ではない、紛れもない現実であることを確認したアレクは嘆息しつつそう言った。

 それを聞いた美少女――サークはその美しい顔を真っ赤に染めて俯き、身を震わせる。

 それから顔を上げると、やけっぱちのような大声で叫んだ。


「思いっきり真っ当な理由で追放しようとするんじゃねえよ!!」

ここまでお読みくださりありがとうございます。

しばらくは毎日何話かキリのいいところまで投稿しようと思います。

この先も付き合っていただけると嬉しいです、よろしくお願いします。

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