第14話、エトリア街と冒険者ギルド
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今回うちにしては長いな…
「着いたぁ…」
「みゃーん」
あれから火を起こし、眠り、早朝に起きて歩き続けた。
そしてやっとエトリアに着いたのだ。
「ミルク、ココア、広がると危ないから腕の中においで」
屈んで腕を広げる。すると…
「うわっ!」
ミルクは腕の中に来たのだが、ココアは頭の上に飛び乗った。
「あっ危ないよ…?」
「にゃん!」
「…まぁいいか、安定してるし」
ミルクを抱え、ココアを頭に乗せて動き出す。
エトリアから出てくる人、入る人、その中の数人が私のことを見ている…異質だよなぁ…猫を頭に乗せてる人なんて他に居ないもん。
「まぁ入るかぁ」
エトリアが始まりの街なのは、恐らく入場制限がほとんど無いからだろう。
他の街だと身分を証明出来る何かしらが必要だけど、エトリアは余程怪しくない限り入れてもらえる。
種族も性別も身分も関係ない、皆が平等に生きるべき。これがここを収めている貴族の考え方だ。
因みにここはシルバート領ではなく、ほかの貴族が治めている。
誕生日会にも出席していた人の領地だ。
確か…バルハルーン侯爵家だったかな?まぁ私に関係はない。
取り敢えずは冒険者ギルドだ、ギルドに向かおう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
エトリアに入って真っ直ぐ進むと、大きな建物が見えてきた。
看板には『冒険者ギルド』と書いてある。
ギルドは14歳から入る事ができ、15歳になると正式加入をする事になる。
それまでは『見習い期間』と言われ、目的の職業に就けるよう、ギルドが協力してくれる。
ギルドの扉を開けると、騒がしい話し声が溢れかえっていた。
酒場も併設されている為、朝っぱらから呑んだくれている人も居れば、真面目にクエストを受けている人もいる。
周りを見回していると、ふと声をかけられた。
「新入りかぁ?若い嬢ちゃんだなぁ!」
何だこの酔っ払い…
「えと…新入りではありますかね?何か御用ですか?」
辺りは酔っ払ってこの状況を楽しんでる人や、喧嘩が始まるのではと焦っている人…様々な反応がある。
「御用も何もお前みたいなチビが冒険者になれる訳ねぇだろぉぉ!」
……チビ…だと?別に14歳の平均よりちょっと…ちょっっと小さいだけだが?
「へー…お兄さんは私みたいなチビに…チビに!態々構ってくれるんですか?わー!優しいですね!!」
「そうだよ俺は優しい…俺は親切心から言ってる!お前みたいなチビに冒険者はむ――」
「お兄さん優しいなら私の夢追いかけさせてくれますよね…優しいなら…チビにも追いかけさせてくれますよね!」
そう叫びながら、私は男の股の間に…思いっきり蹴りを入れた。
「グゥッ〜〜〜〜ッ!!」
「お兄さんこんなチビ野郎に蹴られてそんな痛がってるんですか??痛いんですね?そうなんですね?身長差余裕で30…いや40以上あるのに痛いんですね!頑張って下さいね!私は受付するので!では!」
男はまだ悶えているがそんな事私には関係ない。周りの視線が殆ど私に向いているのも関係ない。
私はただ冒険者登録をしに来たか弱い乙女だ。あの騒動に私は全くもって関係ない、私は何もしていない。
「新規登録お願いします」
「えっ…あっはい…えと、お名前と年齢を…」
「レイです、年齢は14歳」
「レイさんですね…えっと、14歳ですと見習いとなるですが、よろしいですか?」
「はい、それでお願いします」
「では、なりたい職業を教えて下さい」
「えっと…驚かないで下さいね?私がなりたいのは、《テイマー》です」
受付のお姉さん…胸元に着いている名札的に、ランプさんというらしい。ランプさんは目を丸くして驚いていた。
「《テイマー》…ですか」
「そうです」
「その…こういうのもなんですけど、《テイマー》って…所謂底辺職と言われるものですよ?」
そうだ、《テイマー》はこっちの世界では底辺…そう言われている。だが、前世ではかなり最強な方だった。
「はい、底辺職とは言われていますね。ですが私はなりたいんです」
「…分かりました、手続きを致しますので、ステータスの表示をお願いするです」
ステータス…そういえば1度も見ていなかった。
「〈ステータス〉」
────────────
名前:レイ Lv1→5
種族:人間
職業: 見習い
体力:40→54
魔力:45→59
攻撃:30→40
防御:30→40
俊敏:30→40
知能:23→33
筋力:23→33
器用:15→20
幸運:10→15
SP:1→5
スキル
────────────
あれ?名前がレイだ…有難いけど、本名じゃないんだ…
「もうLv5なんですね、凄いです!レイさんくらいですと、早い人でも3Lvくらいですよ」
「そうなの?この子達とずっと一緒にいたからかなぁ…」
《見習い》は経験値取得条件が広がる。
普通の職業だと、モンスターを倒したり素材採取をしたりで経験値が貰えるのだが、《見習い》は、生き物と関わったり、歩いたりするだけで貰えるのだ。
私はココアとミルク…ココミルとずっと一緒だったから直ぐに上がったのだろう。
「レイさんがテイマーになりたいならその行動は正解ですね」
「動物と関わる事がテイマーになる為に必要ですもんね…」
あっでも…テイマーになるのに必要だけど、食費がなぁ…食費…食費?
「あっ仕事!!!」
「わっなななんですか…?」
そうだ…暫くは持ってきたお金でなんとかなるけど、そう長期間は持たない…
「ランプさん!私でもできる仕事ありますか?!」
「えっと…家事出来るです?」
「できます」
「じゃあ何個かあると思うです、紹介するためにも、登録してきますので少々お待ち下さいです」
あっそうだまだ登録し終わってなかった…
数分待つと、ランプさんがバックヤードから出てきた。
「登録完了したです!これからレイさんは、[見習いランク]の冒険者です!こちら、冒険者カードとなるです」
貰ったおそらく金属製のカードには、名前とランク、発行した日時などが書いてある。
「ついに冒険者なんですね…」
「そうです!まぁ冒険者とはいえ、見習いですけど…」
「まぁそれでも嬉しいですよ…」
「そうですか…あっレイさん、お仕事紹介するですよ」
「あっありがとうございます!」
「こっちのカウンターに移動、お願いするです」
カウンターの上ら辺には、<お仕事相談カウンター>と書いてある。
「仕事専用のカウンターなんてあるんですね…」
「生産職の方とかよく利用されるです」
生産職…となると、修行場所かな。
「さて…レイさん、複数の質問に答えてもらうですよ!」
「お願いします…?」
「身長体重、どれくらいですか?」
「そ……れは必要あるんですか」
「接客業だとカウンターの高さとかあるですし、力仕事は体重がある方が良いです」
「そう言われると否定できない…」
でも…身長を言うなんて…まだ体重の方がマシ!
「たっ…体重は40くらいだったはず…」
「羨ましいですね…身長は?」
「……ひゃ…150くらいかなぁ………」
「…身長は?」
「………………141くらい」
「まぁ…私は小さい方が好きですよ?」
「私は嫌いですよ…」
「でも…140程となると…接客のホールとか、あっ着ぐるみとかもあるですよ!」
「着ぐるみは絶対いや、認めることになる…嫌だ、嫌だ」
「そんなにですか…となるとホールですかね…」
「ホールかぁ…」
「こういう人が苦手ーとかあるですか?」
「えー…こういうとかじゃないですけど、男が苦手ですかね…」
「男ですか…失礼ながら理由を聞いてもいいですか?」
「クズ野郎とかストーカとか……私呪われてると思うんです」
「なっ成程…何となく理解したです。苦労してるんですね…」
苦労したのは私じゃなくて…いや私だけど、正確には前世の私なんだよなぁ…今世も男運悪そうだけどね。
お父様とか、さっきの男とか…やっぱり悪いんだろうか…嫌だなぁ。
「うーん…男性が来店しない店とかほとんどないですよ」
「ですよね…完全にじゃなくていいので、ある程度でも…」
「となると…かわいい感じのお店ですかね…デートでは来るですが」
「別に良いです…それでお願いします」
「では少々お待ち下さいです」
そう言うとランプさんは席を立ち、バックヤードに入っていった。
デートかぁ…いや別にリア充爆発しろとか思わない…いや男がいい人そうだったら思うかもしれない…
それよりもデートに来るような可愛いお店ってなんだ…?ザッストはそれなりに色々な食べ物が実装されている。
ザッストはフルダイブ型VRMMORPG…意識を仮想世界に送って遊ぶ奴だ。
五感も勿論あるので、味覚もある。
美味しいのに食べても太らないという事で、とある所では有名だったり…するらしい。
まぁ折角五感があるんだからと、色んな食べ物がある。絶対このファンタジー世界では存在しないだろ的なやつすらある。
かわいい系…となると、パフェとかそういうのだろうか。
「お待たせしたですー」
「おっ」
ランプさんが紙を抱えながら戻って来た。
「これが店への地図になるです。通信用魔道具で連絡を入れて置いたので、店に行って従業員に名前をいえば面接してくれると思うです」
「ありがとうございます、行ってきますね」
「はい、お仕事頑張って下さいです!」
私は席を立って出入口へ向かう…さっきの男は私を見るとすごい勢いで後退りをして逃げた。
私なんもしてないのになーなんにも…
男に微笑み、ギルドを出る。左へ真っ直ぐ、先程貰った地図を元にお店へ向かう。
「店名は…『ランドルーシェ』…えっ…」
『ランドルーシェ』は有名なお店だ。私も知っている。
『ランドルーシェ』…店員がお客さんに御奉仕的なのをする、所謂…
所謂、メイド喫茶的なあれだ。
えってかメイド喫茶にデートで来るってどういう…?
お読み頂きありがとうございました。
感想等ありましたら励みになるので是非。
男とレイの会話書いてる時マジで何書いてんだって思った。なんで書いてたんだろう…
低身長って…いいよね
因みにレイの前世も同じくらい。