第13話、出会い
体内時計的には、森に入って1時間がたった頃だろうか。
「はぁ…疲れたぁ…」
ずっと歩き続けて、流石に疲れてきた。ある程度訓練は受けていたとて、私はさっきまでお嬢様だったんだ。流石に疲れてしまう。
「休憩しよう…」
ちょうどいい岩場を見つけ、腰掛ける。
「真っ暗だなぁ…月くらいしかあかりが無いよ…」
多分今は1時くらい…そりゃあ暗いか。
「今日はここで寝ようかな…」
野宿をするために必要な事は、出る前に散々アクティに教えられた。火起こしくらいできる。
「薪集めよっと」
そう思い、立ち上がる。
すると、少し遠くから草木を掻き分ける音が聞こえた。
「何?モンスター…?それか探索隊かも…」
モンスターなら、ここら辺には雑魚しかいないはず、走って逃げられる。
探索隊は…厄介だな。
落ち着いて動きを止める。音を出すと私がいる所がバレてしまうから。
「……」
徐々に音が近づいてくる。この足音は人じゃない、四足歩行…いや8?複数体かもしれない。
流石に少し怖い。いくら雑魚でもモンスターはモンスター、恐怖の対象だ。
よく耳を澄ますと、鳴き声らしき声が聞こえる。
この鳴き声は…ここら辺のモンスターでは聞かないような…って?!
気が付けば目の前の草が揺れていた、もう近くにいる…!逃げな――
「うわあああぁぁ!!」
顔面に2つの塊が飛んできた。攻撃?と思ったが…何かふわふわしている。
「いったた…何…?」
勢いで倒れてしまったが起き上がり、辺りを見回す、するとそこに居たのは…
「にゃー」
「みゃー」
「……猫?」
明るい毛色と、暗めの毛色の、2匹の猫だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「この子達は…あっ」
先程まで座っていた岩場に座り直して、2匹を見ようとしたら、森の方に走っていった。
「逃げた…?」
そう思いながら暫く座っていると、2匹の足音が聞こえ始めた。
2匹が戻ってきたのだ…口に枝を咥えながら。
「えと…薪を持ってきたの?」
問い掛けると頷く…なんなんだろう。
「君たちは一体…?」
「にゃーにゃんにゃにゃ」
にゃ…にゃーにゃんにゃにゃとは一体…
「えと…人語は喋れるの?てか知能があるの…?」
「みゃー」
頷く…私の言葉を理解しているのは確実そう…
「なんで私の事を手伝ってくれたの…?」
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ――」
「わかった!分かったからもう大丈夫!」
危うくにゃのゲシュタルト崩壊するところだった…あっそうだ。
「えっとさ、君達、私と一緒に行く?」
知能があって私に近づいたなら、もしかしたら一緒に行きたいのかもしれない。
「にゃん!」
「行く気満々だね、よろしく、えーっと…君達、名前はある?」
そう問いかけると、一泊間を開けたあと、地面を引っ掻いて文字を書き始めた。
「暗い方がココア、明るい方がミルクね…」
絶対色でこの名前ついてるな…
「よろしくね、ココア、ミルク。私はレイ、ただのレイだよ」
「にゃー」
「みゃー」
私の冒険初日、新しく2匹の仲間が出来ました。
私に猫語はわからないけど、何となく言いたい事が分かるように……将来的にはなりたいけど…
「なんで私の所に来たんだろ…」
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃーにゃんにゃにゃ――」
「ごめんさっきもやったけど答えなくていいから!答えるにしても私に伝わるようにお願い!」
流石にこれは、前途多難そうだ。
「みゃん…」
あっでも、何となくココアに対して、ミルクが呆れてるのはわかる気がする…
伝わるのが呆れている事なのって、どうなんだろう…
「…みゃんみゃみゃっみゃ」
「…言葉は伝わらないけど慰めてくれてるのは分かったよ…」
こんなんでこの先大丈夫だろうか…大丈夫にするしかないよな…
お読み頂きありがとうございました。
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にゃ がココアで
みゃ がミルクです…分かりにくいね