第10話、決意
大変遅くなりました!
そう毎回言っている気が…気を付けます。
総合評価がいつの間に100Pt超えてました!
皆様のお陰です!これからもよろしくお願い致します!
「ふぅ…よし」
アクティが部屋を出て暫くの間、私は深呼吸を続けた。
呼吸をしながらアクティに何を話すか、これからどうするかをしっかり考えた。
私は、この先…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お嬢様、紅茶をお持ちしました」
「ありがと、頂くよ」
アクティから紅茶を貰う。
その紅茶はとても甘い。甘みが苦手な人からしたら地獄に落ちるより辛いだろう。
ただ私にとっては天国のような甘みだ。
「今日も美味しいなぁ…」
「本当に甘党ですよね…虫歯になりますよ?」
「うっ…ちゃんと歯磨きしてるし!」
そんな親と子供のような会話をしつつ、私が紅茶を一杯飲み終わると、アクティが話し始めた。
「さて、お嬢様。このままティータイムを楽しむのもいいのですが…話して頂きますよ?」
「…まぁ逃がしてはくれないよね…私も、ある程度思考の整理は着いたし、いいよ、話そう」
お互いに向き合い、少し間を開け、話し出す。
「さて…一応話すには話すけど、細かくは言えない。そこは分かっておいて」
「…分かりました、お嬢様にもお嬢様なりの事情がありますよね」
「物分りのいい従者で助かるよ」
流石に前世の記憶があるとは言いずらい、だから私は、一部を隠しつつ話すことに決めたのだ。
「私が頭を打った時、異変が起きた…まぁ詳しくは言えないけど、記憶に少しあったんだ」
「記憶…ですか、その記憶がその他の問題に関係あるんですか?」
「そうだね、どっちから話そうか…」
「えっと…じゃあテイマーになりたい理由からお願いします」
「わかった…って言っても、その異変の起きた記憶の影響だからなぁ…」
「お嬢様、記憶の異変と言うのは、話しぶりから推測するに、何か様々な知識が入り込んで来たみたいな感じなんですか?」
知識の入り込みと前世の記憶の入り込み。大体は同じだろうか。
「そだねー…まぁそんな感じかな?その入って来た記憶には、テイマーの方が良いよー的なのがあってさ、だから私はテイマーになりたいと思ったの」
「成程…」
「で、次の話何だけど、例の、ノートに書いてあるのに見えない問題ね」
「私からしたら書いてあるってのも信じられませんが…」
「本当に書いてあるよ。で、そのアクティが言っていた見えないところってね、その入り込んで来た知識について書いてあるところなんだ」
「…私のように知識が入っていない人には見えない様になっているんですね」
「多分ね…私の様子が可笑しかったのは、何者かによって私が記憶を得た様に感じちゃって…怖かったんだ」
「確かに、これは怖いですよね…」
会話が途切れてしまう。だが私にとっては都合がいい。
アクティが戻るまでに考えた私の今後。今、話すべきではないだろうか。
「…ねぇアクティ」
「はい?どうされました?」
「アクティが居ない間に、少し今後について考えてみたの」
「はぁ…まぁ確かにこのままだと、お嬢様はなりたくない職業に就く事になってしまいもんね…どう考えたんですか?」
「少し言いにくいんだけど…アクティ、私が今から言う事、協力してくれない?」
アクティが少し、考えた様に目を伏せる。
だが、その素振りは一瞬で、直ぐに目を開き、改めて私に顔を向ける。
「私は、お嬢様に恩…とは少し違いますかね。まぁ何でしょう…思い入れのようなものがあるんです。その理由は私から口にすることではありませんから、教える事は出来ませんが…まぁ何が言いたいかと言うと、あまりに過激では無い限り、私はお嬢様の言う事を、何でもお聞きしますよ」
「そっか…まぁこのお願いは過激の部類に入るかもしれないけど…聞いてくれるんだね」
「はい、人殺しとかでなければ」
「流石にそんな事お願いしないよ…えっと、私の今後なんだけど…」
本当に言ってしまって良いのだろうか…もし過激と思われ、拒否られたら私はどうしようか…
「お嬢様、大丈夫ですよ」
「…うん」
そうだよ、アクティは言ってくれた…
従者を信じるのも主人の務めだ。
「えっとね…私、家出しようと思うの」
「…家出…とはつまり、家を勝手に出ると…抜け出すと…?」
「そう、その家出だよ」
「しょ…正気ですか?いえ、別にお嬢様の考えを否定する訳では無いんですけど…」
「正気だよ。アクティの言いたい事もわかる」
「でっでは何故…?」
「職業って、本当に些細な事で変わるでしょ?聖騎士訓練の内容と、テイマーになるためにする行動は全然違うからね…」
「確かに…この家にいる以上、訓練は避けられませんよね」
「そう、それにね?私、この世界を自由に旅したいんだ!公爵家令嬢だと自由にはなれないから…だから私は家出して、一般冒険者のレイになるの!」
「そう…ですか、良いですね、それ」
「でしょ?!だから…だからアクティにも手伝って欲しい。私だけじゃ出来ないんだ!」
「さっき言いましたよ…お嬢様が望むのなら、私は基本なんだってやります!」
そうして、私のやるべき事、やりたいことが決まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「…良い従者を持ったよ、お母様」
アクティが去った後、誰も居ないベランダで、夜空に向かって声を発する。
お母様に会ったことは無いけれど、何故か無性に報告したくなったのだ。
「頑張らないとなぁ…でも、夢を諦めることはしたくないんだ、頑張ろう」
よく晴れた夜空に向かい、そう決意した。
お読み頂きありがとうございました。
感想等ありましたら励みになるので是非。
やっと…やっと物語が進む。
祝10話…ありがとうございます